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3PLで物流センターが急拡大
靴EC・ロコンドの成長の舞台裏

2020年02月12日/物流最前線

宅配クライシスはEC業界全体で取り組むべき課題

2012rokond09 - 3PLで物流センターが急拡大<br>靴EC・ロコンドの成長の舞台裏

――  ECの宅配に対する対応が物流業界で課題になっています。ロコンドとして対策は。

中村 配送サービスを拡充する取り組みの一環として、2017年9月から「急ぎません。便」というサービスを提供しています。これは、商品を購入から1~3日後に発送する代わりに、配送料を割り引きするというものです。

当時はアマゾンやZOZOなどがこぞって当日配送を始めていて、配送スピードの過当競争が進んでいた時期でした。ロコンドとしてはあまり競争に乗りたくはなかったのですが、業界の流れを汲んで導入せざるを得なかったため、当日配送サービスの準備をしていた過程で生まれたのが「急ぎません。便」です。

たまたま、当日配送のシステムを組んでいた時に、「ちょっと待てよ、急いで欲しい人もいるだろうけど、逆に急がなくてもいい人もいるんじゃないか」と。真逆の発想ですよね。その直後にヤマトショックが始まり、世間でも配送スピードの過剰性を疑問視する声が増えたこともあって、蓋を開けてみると「急ぎません。便」には想定を大きく上回る反響がありました。ロコンドがバズったのはこの時が初めてですね、正直驚きました。

――    どの位の反響があったのですか。

中村 本当に凄かったですよ。物流のドライバーさん達が疲弊しているという問題が浮き彫りになったときに、多くのユーザーから「そうなんだよ、急がなくていいんだよ」という声が寄せられました。サービス開始の翌日からテレビ局の取材も来て、土曜日でしたが急遽取材対応で駆り出されました(笑)

――    「急ぎません。便」の開始による効果は。

中村 ロコンドの物流センターでは、土曜から月曜日にかけて出荷が集中します。「急ぎません。便」を始めたことで出荷を後ろ倒しでき、出荷量の平準化が可能になったことで、商品を運ぶ運送業者さんの負担削減につながったと思いますし、ロコンド側でも作業の平準化で恩恵を受けました。

ただ、当初想定していた配送スピードに余裕を持たせるという点では、はっきりとした効果が表れていないのが現状です。大手運送業者さんの配送スピードが高水準で標準化されており、逆に配送に余裕を持たせるといったことに対応していないためです。

ロコンドだけなく、他社でも「急ぎません。便」のような取り組みが進むことで、初めて運送業者さん側もそれに対応したシステムを組めるようになります。運送業者さんに対して、荷主側で何かしら寄与する仕組みを構築するべきです。それは業界を挙げて取り組まなければいけない課題だと思っています。

――    最後に今後の展開を聞かせてください。

中村 GLP八千代IIとIIIを合わせて3万4000坪…、もう想像を絶する広さなので検討もつきません(笑)。

ですが、創業からの事業成長スピードを見ると5年後には2施設とも満床近くになって、次の施設が必要になってくる可能性もあるのではないかと思っています。それが八千代市に建てられるのか、もしくは別のエリアにできて八千代と2拠点化せざるを得ないのかは分かりませんが、できれば八千代市の中でというのが理想ですね。

――    関東以外、例えば関西に拠点を設けることは。

中村 今のところは全く考えていないです。靴はサイズピッチがありすぎて、人口比率からいっても両端のサイズはそんなに量が必要ないんです。関西にも拠点を作ったら、単純に在庫量が2倍必要になりますので、そのリスクがあります。

日本は狭いですから、関東に拠点が1か所あれば全国配送に十分対応できます。それでも、物流コストの低減は図れると思うので、今後、売上が伸びて在庫リスクを考えなくても良い位になったら関西との2拠点化も視野に入ってくるのかと思います。

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■プロフィール
ロコンド オペレーション本部ロコポートシニアマネージャー
中村 知貴(なかむら ともき)
1989年、大学卒業後、アパレルメーカーに勤務。都内百貨店への営業から生産管理、物流管理、MDを担当。
2001年、婦人靴メーカーに転職。大手チェーン専門店・ECサイトへの営業から、発注管理、MDを担当。
2010年11月より現職。

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