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YAMATO NEXT100に向け
ヤマトのDX戦略構築

2022年04月11日/物流最前線

<「YAMATO NEXT100」ロードマップ>
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構造改革プラン「YAMATO NEXT100」とは何か

――  「YAMATO NEXT100」とはどのようなものですか。

中林  その前に、ヤマトグループの現状をご説明します。当社は、1919年に創業し、103年の歴史を持つ企業です。2021年3月期の営業収益は約1兆6958億円、荷物の取り扱い個数は、21億個、個人むけ会員サービス「クロネコメンバーズ」は5000万人を超え、法人向け会員サービス「ヤマトビジネスメンバーズ」は約130万社、取扱店は約18万4000店、車両約5万7000台、営業所約3500拠点、トラックターミナル77拠点を抱えています。ここで扱われるデータには様々なものがあり、まさにビッグデータといえます。

――  当初は、宅急便が11個から始まったという話は有名ですね。

中林  まさに桁違いの進展です。これまで宅急便を中心に事業を拡大してきました。事業を拡大した結果、物理的な接点とリソースも数多く抱えています。従来は、モノを運ぶためのIT整備は構築できていました。一方、そこで発生したデータと、物理的接点やリソースを組み合わせ、事業や経営に効果的に活用することができていませんでした。そこで「YAMATO NEXT100」では、3つの基本戦略を定めました。

――  その3つの基本戦略とは。

中林  まず1つ目は、「お客さま、社会のニーズに正面から向き合う経営への転換」です。顧客に正面から向き合い、経営と事業の距離を縮め、真摯に対応するということです。2つ目は、「データに基づいた経営へ転換」です。デジタルトランスフォーメーション(DX)による物流オペレーションの効率化、標準化に加え、データ分析に基づく業務量予測、経営資源の適正配置、プライシングを上位レイヤーで迅速に意思決定するデータ・ドリブン経営へと転換し、第一線の現場が顧客にしっかりと向き合える環境を整えることです。ここで明確にDX戦略を推進することを挙げています。そして、3つ目は、「共創により、物流のエコシステムを創出する経営への転換」です。ここでは自前主義に拘るのではなく、様々なステークホルダーとオープンな物流インフラを共創し、共に成長する企業へ進化する、ということです。後に述べますが、様々なベンチャーやスタートアップ企業との共創もすでに始まっています。

――  中林さんの担当部門が、2番目の「データに基づいた経営への転換」の部分ですね。

中林  3つのその基本戦略を推進するため、3つの事業構造改革と3つの基盤構造改革を掲げています。3つの事業構造改革では、「『宅急便』のデジタルトランスフォーメーション(DX)」、「ECエコシステムの確立」、「法人向け物流事業の強化」、3つの基盤構造改革では、「グループ経営体制の刷新」、「データ・ドリブン経営への転換」、「サステナビリティの取り組み~環境と社会を組み込んだ経営~」を掲げています。

――  こう見ると、DXの部分が多方面に関係してきますね。

中林  DXは、構造改革の軸となります。宅急便の裏側を支えるデジタルの仕組みやAIを活用した業務量予測、ロボットの活用などで効率化を図り、改善していく。そうすることでセールスドライバーの負荷を軽減し、さらに様々な付加価値サービスの提供を目指しています。そして、物理的な接点やリソースを数多く持っているため、拠点の統廃合でコスト効率を図ることや、あるいは拠点を拡充することで、荷物を取り扱うキャパシティを増やすことを目指しています。

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