タイ政府のEastern Economic Corridor Office(EECO:タイ東部経済回廊事務局)は5月25日、バンコクで「フィジカルインターネットのための実証実験の場としてのEECキャピタルシティ」をテーマに、フィジカルインターネット(PI)政策対話を開催した。タイ国内でPIをテーマとした公式会議は初めて。
会議には、チュラ・スクマノップ博士(EECO事務局長)をはじめ、EECO関係者、タイ運輸省、大学研究者、大手物流企業など約50人が参加。日本からは森隆行・流通科学大学教授(フィジカルインターネットセンター理事長)、池田雄一郎・シグマクシスマネージングディレクターが出席したほか、韓国物流研究所(KIL)からも2名がオブザーバー参加した。
会議はルース・バノミョン教授(タマサート大学教授、EECキャピタルシティ開発委員会 委員長)がモデレーターを務めた。
冒頭、チュラ事務局長とルース教授が、EEC開発と次世代物流インフラ整備の重要性について説明。続いて森教授が「The Physical Internet: Global Direction and Japan’s Experience」と題し、欧州や日本を中心に進むPIの国際動向、日本国内での取り組み状況を紹介した。
このほか、シグマクシスの池田氏やアピチャート・ソパダン教授(チェンマイ大学)など4つの講演が行われ、PIの社会実装へ向けて、活発な議論が行われた。
PIは、物流資産や輸送空間を企業間で共有・接続し、効率化と持続可能性向上を目指す次世代物流の概念。欧州を中心に政策化が進む中、アジアでも社会実装に向けた動きが本格化しつつある。
今回、EECを実証フィールドとしてPI導入を検討する背景には、タイ政府が進める東部経済回廊(EEC)開発がある。EECOは開発・投資誘致を担う政府機関として、高速鉄道や港湾、空港など大型インフラ整備に加え、先端技術・イノベーション企業の誘致などタイの経済成長を牽引する役割を担っており、物流・サプライチェーン高度化と親和性が高い。
特に、EECO主導で議論が進むことで、推進する多くのプロジェクトの初期段階からPIの概念を組み込める点が大きな特徴となる。
今後は、ルース教授やアピチャート教授らを中心にホワイトペーパーを作成し、タイにおけるPI導入の方向性や制度課題を整理する予定。今回の政策対話は、タイ物流の高度化に向けた第1歩として位置付けられそうだ。
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