帝国データバンク(TDB)は5月28日、全国2万3083社を対象に実施した「改正物流効率化法(改正物効法)」に関するアンケート調査結果を公表した。
「改正物効法」は2026年4月1日に施行され、一定規模以上の特定事業者には中長期計画の作成や定期報告が義務付けられた。これに先立ち、2025年4月には、すべての荷主および物流事業者に対し、物流効率化に向けた取り組みが努力義務として課された。
調査によると、改正物効法について「内容を知っている」と答えた企業は16.8%に対し、「内容を知らない」と回答した企業が69.7%と7割近くを占めた。
69.7%のうちでも、「名前も聞いたことがない」という回答が35.9%を占めており、法改正の認知が進んでいないことが明らかとなった。
なお企業からは、「改正物流効率化法は、当社にとって規制への対応ではなく、持続可能で効率的なサプライチェーン構築に資する取り組みと捉えている」(機械製造)という前向きな回答があった一方で、「適正な運賃での取引が実現していないにもかかわらず、制度だけが先行している」(運輸・倉庫)や「現場の実態とかけ離れており、机上の空論に感じる」(運輸・倉庫)といった、現場からの厳しい指摘も見られた。
業界別では、トラック運送など物流事業者が多くを占める「運輸・倉庫」が61.8%と突出して高かった。
他方で、原材料調達から出荷まで物流依存度の高い荷主側である「製造」(20.2%)や、「卸売」(18.7%)も全体を上回ってはいるものの、いずれも2割前後と低い水準にとどまった。
さらに、「小売」は9.2%と全体の16.8%を大幅に下回り、主に着荷主として物流との接点が多いにもかかわらず、認知は低水準だった。荷主間でも特に着荷主中心の業界では認知が進んでいない実態が浮き彫りとなった。
物流の停滞に対し、重要と思われる改善対策を聞くと、「関係事業者間での連携の強化」が39.3%でトップとなった。「運輸・倉庫」「製造」「卸売」のいずれも4割に達しており、当事者にとって物流課題は自社単独では解決しにくいとの認識が広がっていることがうかがえる。
一方で、「物流に関する責任者の選任」(5.3%)といった組織体制の整備に加え、「輸送用器具(パレットなど)の活用による効率化」(7.3%)や、フォークリフト、バース、人員の適正配置などの「荷役作業が円滑に行える環境整備」(9.8%)といった現場における荷役作業の効率化に関する項目は、いずれも低水準にとどまった。
同改正法では、一定規模以上の貨物輸送量や車両数を有する企業に対して義務が課される一方、それ以外の企業には努力義務にとどまっている。そのため、回答企業の85%が中小企業である本調査では、法改正に対する認知が十分に進んでいない結果になったと想定される。
しかし、2030年には国内で輸送される9億トン超の荷物が運べなくなるとされる、いわゆる「物流の2030年問題」が懸念されており、その回避には、企業規模を問わず、物流に関わるすべての企業が対応を進めることが不可欠だ。
今後は、デジタル技術の活用による自動化・効率化に加え、物流事業者におけるドライバー確保に向けて賃上げ原資を確保するための価格転嫁を進めやすい環境整備の強化など、多岐にわたる取り組みが重要だろう。
人手不足/正社員不足50.6%、「運輸・倉庫」は65.9%に悪化


