物流・サプライチェーンの未来像として世界的に注目される「フィジカルインターネット(PI)」の研究を推進するため6月1日、大学研究者らが中心となり「フィジカルインターネット・アカデミー(The Physical Internet Academy of Japan(PIAJ))」が設立された。
フィジカルインターネットは、物流をインターネットの通信ネットワークのようにオープンかつ標準化された仕組みとして捉え、複数企業が物流資源を共有しながら効率的に輸送を行う構想。欧米では産官学による大規模な研究コンソーシアムが組織され、配送最適化アルゴリズムや標準化コンテナ、共同配送ネットワークなどに関する研究・実証が進んでいる。
一方、日本では政府によるフィジカルインターネット・ロードマップの策定など実務面での取り組みが進むものの、学術的な研究基盤の整備や国際的議論への参加は発展途上にある。
物流2024年問題や将来的な輸送力不足への対応が求められる中、PIAJは日本初のPIの学術組織として、物流、情報工学、経済学、経営学、都市計画など多様な分野の研究者・実務家が連携し、「日本型フィジカルインターネット」の理論体系確立と社会実装の促進を目指す。
設立発起人には、大森峻一・早稲田大学教授、田中康仁・大阪商業大学教授、川崎智也・東京大学准教授、森隆行・流通科学大学名誉教授が名を連ねる。フィジカルインターネットセンター(JPIC)の後援を受ける。
運営体制は、森隆行氏と大森峻一氏が共同代表(Co-Chair)を務め、田中康仁氏が事務局長、川崎智也氏が監事を担当する。
活動内容としては、定期研究報告会の開催に加え、「技術・標準化」「ビジネスモデル・制度」「環境・都市」などのテーマ別ワーキンググループの設置を検討する。さらに研究成果発表会の開催や白書・政府提言書の作成、国内外の研究機関や関係団体との共同研究なども推進する方針だ。
<PIAJの会員区分>
| 区分 | 名 称 | 主な対象 | 役割のイメージ |
| 学術側 | ファカルティメンバー | 大学教授、准教授、公的研究機関の研究員 | 理論構築、論文発表、国際標準化の議論、分科会の主導。 |
| (個人) | 準ファカルティメンバー | 学生 | ― |
| 産業側 | インダストリーメンバー | 物流企業、荷主企業、ITベンダー、コンサルタント | 現場課題の提供、実証実験のフィールド提供、社会実装の推進。 |
| (個人) | |||
| 法人会員 | コーポレートメンバー | 法人 | |
| 特別 | International Senior Advisors | 研究会への戦略的助言。日本のPI研究を世界水準へと引き上げ、国際標準との同期を確実にする『知の羅針盤』としての役割。 | |
| 顧問 | Prof. Eric Ballot (Mines Paris – PSL) | ||
PIAJには大学研究者や公的研究機関の研究者を対象とした「ファカルティメンバー」、物流企業や荷主企業、ITベンダー、コンサルタントなどを対象とした「インダストリーメンバー」、学生を対象とした「準ファカルティメンバー」のほか、企業向けの法人会員制度を設ける。
またフランスのパリ国立高等鉱業学校(Mines Paris-PSL)のエリック・バロー教授を特別顧問に迎える。同教授はフィジカルインターネット研究の世界的な第一人者として知られ、日本の研究活動に対して国際的な視点から助言を行う予定だ。
運営は会員の年会費と寄付金によって行う。会費は個人会員が年額1万円、学生会員が年額3000円、法人会員が年額10万円。入会には原則として既存会員2人以上の推薦を必要とするが、設立時は発起人による承認をもってこれに替える。
PIAJは今後、幅広い分野の研究者や実務家の参画を呼びかけるとともに、JPICをはじめ産業界・学術界・行政機関との連携を強化し、日本の物流システム改革と持続可能な社会の実現に向けた知的基盤の構築を目指す。
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