帝国データバンク(TDB)は7月7日、「物価高倒産」の動向調査(2026年上半期)で、物価高倒産は556件と発表した。
物価高倒産とは、燃料や原材料などの「仕入価格の上昇」により収益が維持できず倒産したことを指し、現在増加の一途をたどっている。
前年同期(449件)を23.8%上回っており、半期としては集計を開始した2018年以降で最多を更新している。また、このうち6月は113件発生し、単月でも過去最多だった。
26年発生分を業種別にみると、最多は「建設業」の151件だった。ウッドショックや円安による資材高、職人不足などの人手不足を受け、2024年5月のピークに単月で10~20件台の推移が続いていたが、ナフサ供給難による資材高や価格高騰が表面化した4月以降に増加し、6月に単月で最多となる36件が発生した。
次いで多かったのは「小売業」(118件)で、前年同期(90件)からは31.1%の大幅増となった。「製造業」(103件)は、2024年上半期以来、2年ぶりに半期で100件を超えている。
製造業のうち「鉄鋼業、非鉄金属・金属製品製造業」(16件)は前年同期比7割超の増加となったほか、「食料品・飼料・飲料製造」(27件)も3割を超える増加率を記録した。
一方で、「運輸・通信業」は前年同期比で大幅な減少が見られており、業種のなかでも「物価高倒産」が減少しているのは「運輸・通信業」のみだった。
2024年までは業種別で3位になるなど、これまでに多くの物流事業者が物価上昇によって倒産を余儀なくされており、現在事業を継続している企業は、相対的に物価高への耐性を備えている可能性がある。
また、「運輸・通信業」は物価高の影響を早々に受けやすく、価格転嫁も難しいことから、2025年までに倒産が多く発生した可能性も示唆された。
■関連記事
![]() |
物価高倒産/前年同期を3割上回る、運輸・通信業は建設、製造に次ぐ 2024年07月08日 |
中東情勢の急激な悪化に端を発した原油の供給不安やナフサ(粗製ガソリン)の調達難から、石油化学製品を中心に価格高騰や限られた在庫の獲得競争といった形で影響が顕在化してきた。
6月末時点ではナフサ供給難に伴う物価高倒産の発生は確認できなかったものの、価格面の影響は既に表面化しており、足元では石化製品の価格高騰に、恒常化する人手不足や賃上げによる人件費増、借入金利の上昇が重なるなど、企業収益を圧迫する要因は複合化している。
過去のコストショックの事例をみると、2021年に発生したウッドショックでは、木材不足や価格高騰が木造建築工事業者の倒産として表面化するまでに約3年を要しており、コストショックは一定のタイムラグを置いて倒産急増につながる特徴がある。
樹脂成形・プラスチック加工、包装資材、塗料・インキ、塩ビ管や断熱材など樹脂系建材、印刷といった建設業・製造業を中心に、円安進行による輸入物価の上昇も加わり、売り上げの上昇分を上回るコスト高で事業が行き詰まる「増収型」の物価高倒産が2026年後半から本格的に増加する可能性があり、今後の動向を注意深く見守る必要がある。
倒産集計/「運輸・通信業」前年比で大幅増、1月では2000年以降最多


