帝国データバンク(TDB)は7月9日、2025年度の「平均年間給与」動向調査結果を発表した。
2025年度決算期(2025年4月-26年3月期)の全上場約3700社における平均年間給与は692万6000円で、5年連続で前年度を上回り、2003年度のデータ取得開始以降、最高を更新した。
前年度(2024年度)の671万1000円に比べて21万5000円、3.2%増、月換算にして約1.8万円の増加となり、平均給与・前年度からの増加額、伸び率ともに過去最高となった。なお、中央値は661万6000円だった。
また、平均給与別では「1000万円以上」が235社で6.4%となり、社数ベースでは初となる200社越えで過去最多となった。
人手不足を背景とした採用競争の激化から、新卒入社社員の給与引き上げが既存社員の給与テーブルにも反映される形で、上場企業における平均給与額増が目立った。
産業別にみると、全産業において2003年度以降の集計分で過去最高額を更新。このうち、上場する製造業で平均702万6000円(前年度681万7000円、20万9000円増、3.1%増)となり初の700万円を超えた。非製造業で平均686万8000円(前年度665万円、21万8000円増、3.3%増)となった。
このうち、最も平均年間給与が高い業界は「海運業」(1120万1000円)で、全業界で唯一1000万円を超えていた。2025年度に大手の日本郵船や商船三井が高水準のベースアップを実施したことで話題となった。海運各社では、好業績を背景に人材確保や物価高に対応した賃金の改善を続けており、全産業でも特に平均給与額の上昇ペースが高い。
前年度から最も伸び率が高かった産業は「ゴム製品(製造)」で、13.2%増の695万6000円だった。製造業全体の平均とほぼ同水準にあるものの、化学産業など給与額がより高い他産業への人材流出などを防ぐ目的で、大手を中心に給与額の引き上げなど人材への投資を積極的に進める動きが反映された。
多方面で表面化した人手不足への対応などを背景に、上場企業でも賃上げによって人材を確保する動きが進んできた。2025年度における上場企業の給与水準は年間平均692万6000円となり、過去20年間で最高額を更新した。また、東証プライム上場の平均では800万円に到達する勢いで、2026年度決算では全上場企業の平均が初めて700万円台に到達する可能性もある。
バブル崩壊以降、長期間にわたり続いた「デフレ経済」からの脱却の象徴として捉えられる半面、成長産業やグローバル展開による利益で賃上げ原資を確保する企業と、原材料高の転嫁や低収益の中でも人材の確保・採用を目的とした防衛的な賃上げが限界に近付きつつある企業の二極化も進んでいる。


