連載 物流の読解術 第41回:物流施設から配送先への配送頻度 -物流施設の配置計画を考える(5)-

2026年08月25日/コラム

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配送頻度の考え方

前回(第40回)では、消費地に設ける物流施設について、「都心からどの程度の距離に置くべきか」という位置について考え方を示した。

今回(第41回)は、配送頻度(週に何回など)について、商品特性を取り上げ、発荷主と着荷主の負担するコストを比較しながら、物流施設から配送先への配送頻度について考える。

商品特性と配送頻度

商品特性には、品質特性や物理的特性がある。品質特性には、時間(賞味期限、使用期限)、温度(冷蔵・冷凍品、常温品)などがある。商品の物理的特性には質量(重量)や容積がある。

ここでは、商品の物理的特性に着目し、小型軽量物と大型重量物ごとに、多頻度配送と少頻度配送が成立する条件を考えることにする。

多頻度配送の成立条件と成立理由

多頻度配送の主な目的は、発荷主にとって鮮度維持と低配送コストの実現であり、着荷主にとって鮮度維持と低在庫コストの実現である。このため、多頻度配送が成立する条件は、発荷主にとって配送頻度が多くても配送コストが微増の場合であり、着荷主にとって少頻度配送では在庫コストが急増する場合である(表1参照)。

「小型軽量物」の多頻度配送の例には、新聞配達やコンビニの店舗配送などがある。新聞は日々新たな情報を届けるために、毎日配達されている。今は少なくなった牛乳配達も新聞と同様に、毎日新鮮な商品を届けている。また、コンビニの店舗配送でのおにぎりやサンドイッチも、同じように鮮度の維持が重要である。

この小型軽量物の多頻度配送を発荷主の立場でみると、狭い配送地域で集中的に多くの配送(多点配送)をすることで配送単価を抑えることができ、配送コストが微増で済む。着荷主の立場でみると、多頻度だからこそ在庫スペースを小さくすることにより在庫コストを削減できる。

また「大型重量物」の多頻度配送の例には、大都市における建設現場の資材搬送がある。建設現場では保管場所も限られているため、大型資材の搬入は工程と搬入時刻に合わせて(同期化)多頻度で搬入している。

この大型重量物の多頻度配送を発荷主の立場でみると、配送を平準化して何時間かおきに高積載で資材を送りこむことで配送コストを抑えることができ、配送コストが微増で済む。着荷主の立場でみると、大型かつ重量物の資材用の在庫スペースの用意を回避し、JIT配送(厳密な時刻指定の配送)により在庫コストを削減できる。

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表1 配送頻度と荷主行動

少頻度配送の成立条件と成立理由

少頻度配送の主な目的は、発荷主にとって工程との同期と低配送コストの実現であり、着荷主にとって適正在庫の維持と低在庫コストの実現である。このため、少頻度配送が成立する条件は、発荷主にとって多頻度配送になると配送コストが急増する場合や、着荷主にとって少頻度配送であっても在庫コストが微増の場合である。

「小型軽量物」の少頻度配送の例には、中山間地などの過疎地域に巡回する軽トラックなどでの移動販売がある。移動販売では、顧客が広い地域に散在しており走行距離も長くなるため、少頻度にならざるを得ない。

この小型軽量物の少頻度配送を発荷主の立場でみると、配送頻度を少なくして(週に1回程度)走行距離の急増を回避し、かつ顧客のまとめ買いにより1回あたりの販売量を確保できる。着荷主の立場でみると、まとめ買いによる商品単価の低下を期待できるとともに、保管場所を容易に確保することで在庫コストも微増で済む。

また「大型重量物」の少頻度配送の例には、工場の資材搬入(印刷工場へのロール紙搬入など)がある。消費量が一定であれば資材の補充期間も一定となり、在庫スペースが確保できれば少頻度配送が可能となる。

この大型重量物の少頻度配送を発荷主の立場でみると、高積載の車両で一定間隔で少頻度配送できれば、走行回数の削減により配送コストを削減できる。在庫コストを負担する着荷主は、最適な在庫量も維持できるため、在庫コストも微増で済む。

今回の補論では、配送頻度に対する発荷主が負担する配送コストと、着荷主の負担する在庫コストを考えながら、多頻度配送ないし少頻度配送となるような状態について考えてみる。

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【補論】:数字とグラフで読み解く「物流の課題」 
(その23) 発荷主と着荷主のコストからみた配送頻度

中央大学経済学部教授 小杉のぶ子​

配送頻度の考え方

物流施設から配送先に商品を届けるとき、発荷主(商品を発送する者)と着荷主(商品を受け取る者)でコストの考え方が異なる。

発荷主が負担する配送コストは、原則として配送頻度が多いほど高くなり、配送頻度が少ないほど低くなる。着荷主が負担する在庫コストは、原則として配送頻度が多いほど低くなり、配送頻度が少ないほど高くなる。

ここでは、発荷主の配送コストと着荷主の在庫コストに着目して、配送頻度との関係をグラフで考えてみる。なお、配送頻度にともなうコストの変化は、簡単のために直線で表す。

配送頻度が多くなる例(多頻度化)

配送頻度が多くなるケース(多頻度化)として、以下の2つを考える(図1参照)。

第1のケースは、配送頻度が多くなっても、発荷主が負担する配送コストの増加が小さい場合である。一般に、配送頻度が多くなると、発荷主の配送コストは一定の割合で増加する。この増加の割合が標準的な状態と比べて小さいとき、多頻度化しても配送コストはそれほど大きくならない。

これを図1(1)のグラフで説明する。標準的な状態(図1(1)の破線)における点P1を基準に考えると、同じ配送頻度のとき、配送コストが微増の場合(図1(1)の実線)は点P1が点Q1に移り、配送コストは減少する。ここで、標準的な状態の点P1と同じ配送コストを負担できるのであれば、配送コストが微増の場合は、点R1における配送頻度まで増やすことも可能となる。よって、実際の配送頻度は、点P1と点R1の間で選択することができる。

第2のケースは、配送頻度が少ないと、着荷主の負担する在庫コストの増加が大きい場合である。一般に、配送頻度が少なくなると、着荷主の在庫コストは一定の割合で増加する。この増加の割合が標準的な状態と比べて大きいとき、配送が少頻度になるほど在庫コストは大きくなる。

これを図1(2)のグラフで説明する。標準的な状態(図1(2)の破線)における点P2を基準に考えると、同じ配送頻度のとき、在庫コストが急増する場合(図1(2)の実線)は点P2が点Q2に移り、在庫コストは増加する。ここで、標準的な状態の点P2と同じ在庫コストを維持したいのであれば、在庫コストが急増する場合は、点R2における配送頻度まで増やす必要がある。さらに在庫コストを削減したい場合には、点R2における配送頻度よりも多い配送頻度を選ぶことになる。

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図1 配送頻度が多くなる例(多頻度化)

配送頻度が少なくなる例(少頻度化)

配送頻度が少なくなるケース(少頻度化)として、以下の2つを考える(図2参照)。

第1のケースは、配送頻度が多いと、発荷主の負担する配送コストの増加が大きい場合である。一般に、配送頻度が多くなると、発荷主の配送コストは一定の割合で増加する。この増加の割合が標準的な状態に比べて大きいとき、多頻度化により配送コストはより大きくなる。

これを図2(1)のグラフで説明する。標準的な状態(図2(1)の破線)における点P3を基準に考えると、同じ配送頻度のとき、配送コストが急増する場合(図2(1)の実線)は点P3が点Q3に移り、配送コストは大きく増加する。ここで、標準的な状態の点P3と同じ配送コストを維持したいのであれば、配送コストが急増する場合は、点R3における配送頻度まで減らす必要がある。さらに配送コストを削減したい場合には、点R3における配送頻度よりも少ない配送頻度を選ぶことになる。

第2のケースは、配送頻度が少なくても、着荷主の負担する在庫コストの増加が小さい場合である。標準的な状態において、配送頻度が少なくなると着荷主の在庫コストは一定の割合で増加する。この増加の割合が小さければ、少頻度化しても在庫コストはそれほど大きくはならない。

これを図2(2)のグラフで説明する。標準的な状態(図2(2)の破線)における点P4を基準に考えると、同じ配送頻度のとき、在庫コストが微増の場合(図2(2)の実線)は点P4が点Q4に移り、在庫コストは減少する。ここで、標準的な状態の点P4と同じ在庫コストを負担できるのであれば、在庫コストが微増の場合は、点R4における配送頻度まで減らすことが可能となる。なお、実際の配送頻度は、点P4と点R4の間で選択することができる。

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図2 配送頻度が少なくなる例(少頻度化)

概念的な理解と実務での応用

今回の補論は、簡便のためにコストの増減を直線で示しており、配送頻度の変化もあくまでも概念的に示したものである。実務への応用には、多くの要因を加えて分析する必要がある。

連載 物流の読解術 第40回:物流施設の最適な位置 -物流施設の配置計画を考える(4)-

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