国土交通省は9月10日、2020年1月から使用されるSOx(硫黄)規制適合油を用いた実船のトライアル運航を実施し、内航船12隻で正常な運航を実証したと発表した。
<バンカー船から規制適合油を補油されるトライアル運航中の内航船>
トライアル運航は、総トン数499~1万Gt超の計12隻の内航船を使用し、6月末~9月にかけて実施。国内石油元売りが生産した規制適合油を燃料配給船(バンカー船)から内航船に補油して実運航し、補油からエンジンへの燃料油の移送供給、燃焼に至るまでの船舶の状態などを計測した。
その結果、いずれの船舶についても、改造を行うことなく規制適合油への円滑な切替と正常な運航が可能であることが確認された。
また、今回のトライアル運航では、規制適合油への切替えにあたって新たに有益な知見が得られたことから、 海運業界への周知を図るため、3月に作成した規制適合油の使用に関する手引書に知見をとりまとめた。
得られた知見は、 「混合安定性」「硫黄分濃度」「高硫黄C重油から規制適合油に切替わる過渡期への対応策」に関する内容。
「混合安定性」については、船内で採取した燃料油のスポットテストの結果、運航中も混合によるスラッジ(固形物)の異常が無く、混合安定性の確保が確認された。
「硫黄分濃度」については、各船舶の燃料油貯蔵タンク内で高硫黄C重油の残油と規制適合油がほぼ均一に混合され、性状表などから計算した値と実際の計測値がほぼ合致した。
「高硫黄C重油から規制適合油に切替わる過渡期への対応策」については、動粘度調整装置の有無に応じた対応策を行うことで、円滑な燃料切替を行うことができた。
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