全日空商事とアイネットは2月21日、両社の宇宙事業拡大、および日本の宇宙産業発展に貢献することを目指し、宇宙事業に関する経営資源の相互活用に向けた包括的業務提携契約を締結したと発表した。
アイネットの有人/無人宇宙機の開発・試験・運用の知見と、全日空商事の航空産業サプライチェーンの知見・ネットワーク・商社機能を組み合わせて、日本の衛星サプライチェーンの強化を後押しし、衛星の量産化に向けた変革に挑む。
航空産業を主軸に様々な産業界の知見と、宇宙産業の知見を結びつけられる、結節点としての役割を両社が果たせるよう努めていくとしている。
衛星サプライチェーン強靭化に向けた両社の共同プロジェクトは、既存の衛星コンポーネントと比較して、品質(Quality)、価格(Cost)、納期(Delivery)に競争力があり大量製造可能なCOTS品の開発を目指す。
この開発は航空産業を主軸とした様々な産業のメーカーと共同で行い、国内およびアジアの衛星事業者への販売を実施する。将来的には衛星のモジュール・バスへの展開も目指す。COTS品の開発・製造、および衛星の量産化においては、様々な産業界で洗練されたQCDの知見結集が必要不可欠。新しく宇宙事業への参入を考えている産業界の参画を呼び掛けている。
また、アイネットが長年培ってきた宇宙産業の技術的知見と、全日空商事がグローバルな航空産業で磨いてきた商社機能を組み合わせることで、国内外の様々な既存コンポーネントの調達業務(コンポーネント選定・受発注管理・為替ヘッジ・物流手配・輸入通関等)をパッケージ提案できるようにする。これにより衛星事業者は、安価な部品を短納期での調達が可能となり、自社の衛星開発に専念することができる。
日本では宇宙産業に多くの企業が参入してきており、これまで以上に発展していくことが見込まれている。一方、宇宙産業で利用されている機器や部品は、その多くを海外からの輸入品やカスタマイズ品に依存していることから、コスト高への懸念が高まっている。
今後、業界の持続的な発展にとって課題となりうる要因の一つと認識している。両社のこれまでの取り組みアイネットと全日空商事は上記の課題を解決すべく、これまでに検討を重ねてきた。全日空商事の幅広いネットワークを活かして、宇宙事業参入に意欲がある非宇宙系企業を呼び込み、アイネットはこれまでの衛星の技術的知見を持ち寄ることで、複数社の企業とコスト競争力のある新たなコンポーネントの開発に着手し始めた。今後も多くの企業の参画を募り、共創することで宇宙産業の課題解決を推進していくとしている。
物流最前線/冷凍食品を共同物流、ロジスティクス・ネットワークの挑戦続く