国土交通省の交通政策審議会海上分科会国際海上輸送部会は6月28日、安定的な国際海上輸送の確保のための海事政策のあり方について、中間取りまとめを行った。
これまでに行った5回の集中審議の結果、日本の外航海運事業者が国際競争力を確保するため、海外の事例にならって手厚い優遇制度を整えるなど、「外国の外航海運事業者と同等の条件」で競争できる環境整備が必要とした。
日本籍船、日本人船員の確保についても、「非常時においても、日本籍船・日本人船員の役割は大きく、平時からこれらを一定規模確保することは喫緊の国家的課題」として、事業者に日本籍船・日本人船員の計画的増加・確保を求める法整備など新たな制度的枠組みの構築が必要と指摘。
具体的な施策として、外国の外航海運事業者との間の国際的な競争条件の均衡化を図ることに加え、日本籍船・日本人船員の計画的増加を図るため「トン数標準税制の導入について早急に具体的な検討を進めることが必要」と強調している。
また、日本籍船・日本人船員の確保を促進するため、①国土交通大臣による日本籍船・日本人船員の確保目標についての基本方針の策定②外航海運事業者による計画的増加目標、計画的増加策などを内容とする国際海上輸送確保計画の作成、国土交通大臣の認定申請③国土交通大臣の認定を受けた場合の課税特例(トン数標準税制)の適用、適切な計画遂行の担保措置(勧告、公表など)、日本籍船に対する譲渡規制、航海命令の適用――などの施策を提案。
これらの施策とともに、金融面での支援、承認船員制度の見直しなどの必要性も指摘し、今回盛り込まれた諸施策の効果も検証しながら、定期的に見直しを行い、船員税制、船舶保有コストの低減策なども検討すべきとした。