JX日鉱日石エネルギーは8月31日、今冬の東北地方への石油製品の供給安定化に向けた対策を発表した。
震災により、仙台製油所の生産開始予定が2012年3月末なため、グループ他製油所での増産と東北地方へ転送量を増やし、他地域から東北地方へのタンクローリーの移送等による供給体制の復旧を図る。
震災前では、仙台製油所での生産・貯蔵とグループ他製油所から東北地方各地の油槽所への転送、油槽所での貯蔵、製油所・油槽所からサービスステーション(SS)へのタンクローリーによる配送が、基本的な石油製品供給体制だった。
被災影響により現在も稼働率が約7割にとどまっている鹿島製油所は、ネックとなっていた桟橋能力の回復により、11月を目処にフル稼動が可能な体制となる。
仙台製油所では、被災により停止している桟橋が9月以降順次再開し、被災した製品タンクが9月以降順次復旧することから、現状約10万klとなっている製品タンク容量は12月時点で約40万klまで復旧する。
このため、灯油についてはほぼ震災前並みのタンク容量を確保するとともに、10月末時点で、東北地方の石油製品在庫を昨年度実績を上回る水準まで積み上げ、冬場の需要増に備える。
さらに、11月までに出荷設備を現在の9レーン(ガソリン・灯油・軽油)から36レーンに増強するとともに、冬場の需要期には出荷時間を延長することにより充分な製品出荷能力を確保する。
東北地方における配送強化として、タンクローリー配備を11月までに震災前の約250台体制を確保するとともに、バックアップ用として追加配備を計画している。
なお、被災により仙台製油所の生産が停止と、被災後の復旧が困難である気仙沼油槽所を廃止すること等を踏まえて、今冬の地域需要に応じたタンクローリー配送圏を整備する。