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新日鉄住金/貨物倉の腐食を大幅低減、高耐食性厚鋼板を初適用

2015年08月04日/IT・機器

新日鉄住金は8月3日、石炭を積載する貨物倉の腐食を大幅に低減する画期的な高耐食性厚鋼板「NSGP-3」が、今治造船グループの多度津造船で建造されたばら積み貨物船「PLAINPALAISに初めて採用され、同造船所で引き渡しが行われた。

<NSGP-3初適用船「PLAINPALAIS(載貨重量トン数8万1600t)」>
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<高塩化物環境下におけるNSGP-3の耐食性(環境模擬試験)>
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<NSGP-3を適用した貨物倉>
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新日鉄住金は、2007年に原油タンカー用高耐食性厚鋼板「NSGP-1」を世界で初めて開発・実用化し、2014年には、原油タンカー用高耐食性厚鋼板「NSGP-2」が世界で初めてタンク天井部用として船級承認を取得した。

豊富な開発・実用化の知見を基に、添加する合金元素の種類と添加量の最適化を図り、貨物倉の腐食を大幅に低減することができる厚鋼板「NSGP-3」を開発した。

「NSGP-3」は、溶接や加工を従来の鋼材と全く同様に施すことが可能で、船の建造に特別な施工管理がいらず、トータルコストの低減につながることも大きな特長。

貨物倉に使用されている鋼板は、海水や石炭に含まれる塩化物が存在する乾湿繰返しの環境で、激しく腐食することが新日鐵住金による実船の調査によって明らかになっている。

使用される鋼板には腐食分を想定した厚みの板を採用すること(腐食予備厚の付与)が国際船級協会連合(IACS:International Association of Classification Societies Ltd)の規則に定められている。また、塗装による防食措置といった手段を講じる場合もあるという。

しかし、局所的に腐食減耗量が腐食予備厚を上回った場合に鋼板の交換が必要となるケースや、積荷・荷役装置との接触によって塗装が剥離し、腐食が進展するなど、鋼板の切替えや塗装の塗り直しが発生するケースがあり、これが、船舶の維持管理費を増大させる一因となっているという。

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