経済産業省は、SCM推進の観点から、我が国における商慣行の実態と関係者の意識・意向を調査し、その改善方向について報告書をとりまとめた。
本報告書では、リベート・協賛金、返品、物流センター・フィー支払い、多頻度小口配送といった商慣行とSCM推進の関係についての評価はメーカー・卸・小売ごとに大きく異なっており、協力の基礎が十分でないとの示唆が見られることや、電子データ交換時の様式等の標準化とその採用の遅れについてがSCMを阻害するとの意識が持たれていること等が分かった。
改善の方向性としては取引当事者間で取引の条件等を明確にしておくことや情報化については電子データ交換のデータ様式等の標準化を一層推進することが重要であることが確認された。
以上については、個々の事業者間取引等における商慣行の見直しが望まれるとともに、経済産業省としても、SCMを推進する観点から、取引データを企業間でやりとりする際のデータ様式等の標準化及び標準の普及に向けて積極的に取り組んでいく。
1.事業目的・意義
・流通コストを低減し産業の更なる効率化を図るためにはサプライチェー、、ン全体の最適化による在庫の一層の削減や物流サービス水準の向上等が不可欠。
・返品制度や店着価格制、ITによる電子データ交換(EDI)様式の不統一などの商慣行が阻害要因の一つとなって、企業の壁を越えた情報の共有や協働が進まず、サプライチェーン全体の合理化、効率化を妨げているのでは、ないかとの問題意識から商慣行の実態と関係者の意識・意向の調査を行い改善方向について検討した。
2.本調査研究の概要(ポイント)
(1)主な調査結果
① 本調査では、我が国の消費財(加工食品、雑貨、医薬品、家電)のメーカー・卸・小売を中心としてアンケート・ヒアリング調査を行なった。
② 各種商慣行の存在、SCM推進の妨げになっているか否かへの評価、その理由についての見解等は、当該企業がメーカー・卸・小売りのどれに当たるかや、メーカー・卸・小売りの中でも業態の違い又は主取扱商品の属する業界によって大きく異なっていることが明らかになった。
③ こうした大きな意識の相違はSCMの前提である協働・コラボレーショ、ンの基礎が十分でないことを示唆している。
(2)改善の方向性
①各種商慣行に共通する課題
・歴史的に形成されてきた商慣行とSCMからの要請の調整が必要
・全体としてのコスト削減の視点からの改善が必要
・商慣行一般ではなく個々の取引関係の視点からの改善が必要
②個々の商慣行に特有の課題
・リベート・協賛金制度
種類・体系を簡素化した上で、支給条件を予め明確にし、新しく取引を開始しようとするものにも公開することによって、透明性を高める。
・返品制度
条件を予め明確にしておくことが望ましい。
・物流センター・フィー(注)支払い制度
徴収そのものを否定するのではなく、算定基準を明確にし、公開する。ことによって透明性の高いものとした上で絶対額を合理的なものとする
(注)「物流センター・フィー」とは、卸売業者やメーカー等の納入業者が、大手スーパーの物流センターや配送センターに納入する際に、その物流施設の利用料として支払う料金。
・多頻度小口配送
配送条件とコストを明確にした上で、負担が売り手と買い手の間で一方的なものとならないよう予め取り決めて実施する。時間指定配送の要請も同様。
・情報化への取り組み
これまで以上に企業が標準を使用する姿勢を持つことと、標準ビジネスプロトコル及び標準ビジネスプロセスモデルを搭載した誰もが使いやすい共通システムを構築すること等の普及方策が必要である。
また「オンライン費用の分担の要請」等については、売り手側に一方的、に負担を要請し不利益を与えることのないような行動が求められる。
問い合わせ先
経済産業省商務情報政策局流通政策課
担当:村山、小野
電話03-3501-0092
詳細は下記アドレスを参照。
http://www.meti.go.jp/kohosys/press/0004682/0/031110scm.pdf
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経済産業省/SCM推進のための商慣行改善調査
2003年11月13日/未分類
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