川崎汽船(株)は、LNG船シミュレータを大幅に拡充した。
ボイラーを含めたLNG船荷役シミュレータは既に稼動して、効果的な訓練が実施されているが、今回、LNG船の主機関となっているタービンプラントの操作シミュレータを導入、これによってLNG船の総合的な操作訓練が可能となった。
東京都町田市にある川崎汽船研修所に設置された同シミュレータは、川崎汽船と川崎造船と川重テクノサービスが約1年の歳月をかけて共同開発したもの。
大きな特徴は65インチのリアプロジェクタディスプレイ画面に実写映像、写真、並びにコンピューターグラフィックで製作した3D画面を映すことで機関室内をリアルに再現し、画面上に表示される機関室内の操作スイッチや弁を3Dマウスで操作することで機関プラント全体がその通りに反応するというバーチャルリアリティーを実現している。
シミュレーションとしてプラントアップ・ダウン、入出港作業、通常航海、緊急時対応等の操作訓練が可能で、初心者から熟練者まで、個々のレベルに応じ幅広い訓練が実施可能。
特に、入出渠作業は実際に経験する機会が少ない中、実運転作業状態を再現するため非常に効果的な訓練が実施できる。
初めてLNG船に乗船しようとする船員に対しても、機関室内を実際に歩いている感覚で機器の位置や形を学習できるように、映像とCGで機関室内部を精密に再現した「機関室ツアー」という機能も兼ね備えており、要所要所において実写映像を360度回転で映し出し、視界内にある機器の説明が日本語か英語の音声と文字で行なわれる。