IBMは、ことし1月に試験的運用を開始したストックホルム渋滞税計画(Stockholm Congestion Charging Scheme)から得られた初期データによると、この計画の実施によって交通量が25%削減され、公共交通機関の1日当たりの利用者数が4万人増加し、ピーク時の道路渋滞が劇的に解消されるといった成果があがっていることを発表した。
今回のソリューションの設計、開発、運用を担当する主契約業者であるIBMは、市の中心部24km2の区域で渋滞税システムの試験的運用を開始するにあたり、スウェーデン道路庁およびストックホルム市と緊密に協力した。
今回のプロジェクトでは、正確かつ効率的なシステムを確実に提供するために、IBMのコンサルティング、研究、テクノロジーのスペシャリスト間で連携体制が敷かれている。
計画は、マイクロ波タグとビーコンを利用したシステムとして、ヨーロッパの都市環境における最大規模の導入事例で、今回採用されたテクノロジーにより、市当局は渋滞税の金額を終日にわたって変動させることができるほか、ドライバーは渋滞税の口座引き落としが可能となり、システム全体の運用が大幅に効率化された。
試験的運用が1ヵ月を経過した時点での効果
・交通遮断線を通過する車両数が、1日当たり10万台、割合にして25%減少
・列車などの都市交通機関の乗客数が、1日当たり4万人増加
・ピーク時の混雑の劇的な緩和
・ルート変更による大きな交通問題は発生せず
・市内バスの平均速度上昇による、バス時刻表の再編成の必要
・駐車違反の罰金が29%低下
・渋滞税自動課金システムが初日から稼働
・1日当たり約35万台の車両が通過
ストックホルム市が渋滞税システムを実施するにあたり、3つの目標がありました。まず、ラッシュアワー時の市内交通量を10~15%削減し、バスと車をより利用しやすくして、さらに環境を改善することです。渋滞税は国税であり、その税収は公共交通インフラの整備のため、ストックホルム地域に還元される。
今回のストックホルムのシステムは交通遮断線をベースにしたもので、車両識別のため沿道にビーコンとカメラを設置した課金対象ゾーンの周囲に、18ヵ所の障壁のないコントロール・ポイントが置かれている。課金ゾーンを出入りする全ての対象車両は、ラッシュアワーのピーク時に最高となるように設定された渋滞税を、一日当たりの規定上限額以内で、時間帯に応じて課せられる。
渋滞税の支払いは、運転者に貸与された電子タグ読み取りによる口座引き落としなど、様々な方法で可能。
カメラおよび車両ナンバープレート識別技術が、タグを持たない車両の認識を行うほか、タグ読み取りの検証にも使われ、税金未納者に対する強制徴収の際の証拠記録も残します。トランスポンダー(中継器)を持たない運転者の税金支払いは、銀行振替、インターネット決済、およびセブンイレブンなどの店頭で行うことができる。
車載中継器を利用しているのは、こうした機器を使わない渋滞税システムに比べ、同システムがはるかに信頼性の高い捕捉率と、コスト効率のよい後方支援業務を可能にするためで、通行後の口座自動引き落としを伴う変動的課金の運営も、格段に容易になる。
ストックホルム市の渋滞税実験の詳細は、下記アドレスを参照。
http://www.stockholmsforsoket.se/
今回の試験的運用は7月31日までの7ヵ月間実施され、9月17日にはシステム継続の是非を問う住民投票が行われる予定。