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総務省/「郵便におけるリザーブドエリアと競争政策に関する研究会」報告書策定

2006年06月29日/未分類

総務省は6月20日、総務大臣主催で第9回「郵便におけるリザーブドエリアと競争政策に関する研究会」を開催し、下記の報告書案を公表した。

報告書案(要旨)
経緯等
・信書便法施行以降、一般信書便事業への参入がないことを踏まえ、郵便におけるユニバーサルサービスを確保しつつ、競争の促進によるサービスの一層の多様化、国民への利益還元を実現するための施策について、幅広く検討を行い、報告書をとりまとめた(平成18年1月から6月まで計9回開催)。
・検討について、我が国の郵便・信書便事業の現状及び諸外国の動向について調査分析するとともに、事業者及び利用者の意見を聴取した。

事業者と利用者の意見
[事業者]
(参入条件について)
・郵便ネットワークの開放(配達業務等の委託を可能とする)、対面受付・集荷による引受、一部地域からの段階的参入等を認めて欲しい。
・産業政策的な視点から段階的な自由化が望ましい。
(ユニバーサルサービスの提供について)
・提供義務が課されるのは郵便事業体のみとすべき。
・利用者の利便性から参入事業者に対しても一定の縛りは必要。
(リザーブドエリアについて)
・郵便のユニバーサルサービスを確保するために何らかの保護策が採られるとしても、将来的にはリザーブドエリアは撤廃されるべき。
・外形基準でリザーブドエリアを規定すべき。
・現行の定性基準から定量基準に変更する場合でも、現行の非信書領域(軽量メール便等)のサービスに配慮して欲しい。
[利用者]
・郵便への民間参入については基本的に賛成。
・規制緩和に当たっては、①クリームスキミングにより料金が高くならないこと、②個人情報の保護が維持されること、③宛先に安心・安全に届けられることを前提にしてほしい
・配達頻度等について地域により差が出ないようにして欲しい。

郵便における競争を促進する施策
[目標とする競争市場]
①多様な競争を通じたサービスの価格低廉化等のメリットが利用者に享受されるよう、規制は最小限のものであること
②基礎的な通信手段である「郵便」に関して、全国あまねく公平なユニバーサルサービスが確保されていること
③参入事業者について、通信の秘密、個人情報の保護、適正な送達が確保され、利用者が安心して利用できるものとなっていること
④郵便事業株式会社の提供する「郵便」サービスが、いわゆるラストリゾートとして利用者から信頼されていて、社会の安定、公共の福祉を実現するシステムとして機能していること

[目標についての基本的考え方]
(ユニバーサルサービスについて)
・基本的な要素は守りつつ、制度的に確保すべき範囲や水準は、社会経済情勢や国民のニーズの変化に応じて、柔軟な対応が行われるべきである。
(リザーブドエリアについて)
・中長期的には、特定の事業者のための「独占範囲」や「参入条件」としてのリザーブドエリアは撤廃し、ユニバーサルサービスを維持する措置を事業者全体で講じるべきである。
(利用者の保護について)
・提供されるサービスの信頼性を担保する必要があり、通信の秘密や個人情報の保護、適正な送達の確保など、利用者が安心して利用できる制度を新規参入事業者に義務づけるべきである。
・民間参入による競争促進が行われる中でも、郵便はいわゆる「ラストリゾート」として機能するような環境を整備することが望ましい。
(監督規制のあり方について)
・事前の参入規制から事後の監督規制へと重点をシフトさせ、規制の内容は利用者保護の観点から、最小限なものとすべきである。

[目標に向かう時間軸]
・郵便における競争政策の検討は、中長期的な視点に立った取り組みを行うことが望ましい。その上で、競争の促進状況や諸外国の動向、郵便事業株式会社の経営の自由度の実態等を踏まえ、上記目標の実現について適宜前倒しを図っていくべきである。
・まずは、当面講ずべき措置としての規制緩和を行い、その後も定期的(例えば3年ごと)に継続的な見直しを行うべきである。

提言(当面講ずべき施策~平成19年10月に予定されている郵政民営化に向けて)
[リザーブドエリア]
・当面は、現行のリザーブドエリア(信書便制度の下での民間参入)を維持する。
・郵便は、日常生活から訴訟事務等まで含め、不可欠な通信手段であり、ユニバーサルサービスを維持することが困難な事態は極力回避する必要がある。このため、参入条件に加え、不測の事態に備えた安全装置(補完的なリザーブドエリア)として、「ユニバーサルサービス基金」をあらかじめ用意しておくことが望ましい。

[オープンネットワーク型の競争の促進]
・複数の事業者が協定等を締結して行うサービスの提供は、当事者の責任の分担関係等が明確であれば、一般信書便役務においても、認められるべきである。
・オープンネットワーク型の競争促進のためには、事業者による郵便ネットワーク(配達業務)への接続を可能とする必要がある。接続の具体的条件については、当事者の申出に基づき行政庁が関与する等、実効性のある制度とする必要がある。

[ユニバーサルサービス]
・郵便事業株式会社がユニバーサルサービスの提供義務を負うとともに、一般信書便事業者もそれに相当するサービスの提供義務を負う。
・制度の継続性・安定性に配慮する必要があることから、当面は、関係法律による改正後の郵便法に定めるユニバーサルサービスの範囲や水準を維持すべきである。

[利用者の保護]
・憲法上の要請である通信の秘密の保護、あるいは個人情報の保護について、参入事業者は、関係法令に従い、引き続き適切な取り扱いを行うことが求められる。
・適正な送達の確保について、誤配達の防止等の措置を確実に講ずる必要がある。

[監督規制]
・現在、一般信書便物の引受方法として、信書便差出箱(郵便ポストに相当するもの)のみが認められているが、対面による引受等を容認すべきである。
・民間事業者の参入意欲を高める観点からは、特定の地域からサービスを開始し、一定の期間内(例えば3年程度)に段階的に全国展開していく形態の参入も考えられるが、この形態については関係者との十分な調整など慎重な対応が必要である。

[施策の見直し]
・競争の進展状況等を踏まえ、一定期間(例えば3年)経過後に見直しを行う。

同研究会の目的は、平成15年4月の「民間事業者による信書の送達に関する法律」施行以降、一般信書便事業については参入がないことを踏まえ、郵便における競争の促進によるサービスの一層の多様化、国民への利益還元を実現するための施策について、諸外国の先進事例や我が国の通信や物流のネットワークの変化等を踏まえ幅広く検討するため、開催している。

検討内容は、郵便における民間参入の条件と競争政策の在り方と全国あまねく公平なサービス提供の確保とリザーブドエリアの関係等。

構成員名簿
井手秀樹/慶應義塾大学商学部教授
宇田左近/マッキンゼー・アンド・カンパニー・プリンシパル
梶川融/太陽監査法人総括代表社員
黒川和美/法政大学経済学部教授
國領二郎/慶應義塾大学環境情報学部教授
高橋温/住友信託銀行株式会社取締役会長
中山弘子/東京都新宿区長

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