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米UL社/海上貨物輸送の安全対策技術で日米合同実証実験に協力

2007年09月03日/国際

製品の安全試験・認証などを手掛ける米Underwriters Laboratories社 (UL社)は8月31日、年間数億トンにのぼる米国向け海上貨物の安全強化を目的とした「海上貨物追跡タグシステム」の構築に関する検討作業に技術的支援を行うことで合意した、と発表した。

太平洋を往来する海上貨物の量が極めて多いことから、日米間の海上輸送ルートが第2段階のシステム統合実験の対象に選ばれ、この実験では、コンテナに無線ICタグを取り付け、出発港での貨物船への積み込みから洋上輸送、到着地での積み下ろしにいたるまでを追跡する。

UL社は、国土交通省、米国国土安全保障省に協力し、100個のコンテナに取り付けられた無線ICタグの通信能力評価を担当。これらのコンテナは4月28日に米国カリフォルニア州に向けて日本を出港し、8月中に最終目的地である米国内の内陸施設に到着する。

同システムは、米国国土安全保障省国土安全先端研究計画局が2003年12月にスタートした中小企業技術革新制度の一環として、資金援助を行っているプロジェクトのうちの一つで、同局では国土安全保障省科学技術局、国内核物質探査局が管轄する中小企業技術革新制度の管理運営を行っている。

UL Japanは、1万kmにおよぶ海上・陸上輸送途上でコンテナが様々な環境条件にさらされる中で、システムが正しく作動するかを検証するために電磁的両立性試験を実施した。予備試験は成功を収め、貨物コンテナは米国ロサンゼルス港、ロングビーチ港に面するサンペドロ湾に向けてすでに横浜港を出港し、到着後貨物列車かトラックで米国中西部の施設まで輸送され、無線ICタグを回収して最終的な評価試験が行われる。

UL社の海上貨物追跡タグシステムは、船舶搭載衛星送受信機、コンテナにとりつける無線ICタグ、安全なインターネットデータ処理センターなどで構成。無線ICタグは超小型センサー、データ記録用コンピュータ、無線送受信機、慣性補正機能付きGPS追跡システムが小型で安価な筐体に一体化されたもので、タグに内蔵された慣性式位置検出機能は、GPSからの信号が途切れたり、マルチパスの影響を受けたりした場合でも、正確にコンテナの現在位置を特定できるようになっている。

同社は、慣性補正機能付きGPSの主なメリットとして「港やコンテナ船側で個々のコンテナの位置情報記録を行う必要がない。コンテナにとりつけられた無線ICタグは、何ら外部からの助けを必要とせず、自ら刻々と現在位置を記録し、コンテナの現在位置・履歴は、インターネットゲートウェイ機能を有する船舶か港から2km以内にタグ付きコンテナが近づけば、情報として取り出すことができる」と説明。

位置報告用のネットワークを構築するために、各コンテナ船には一体型の低コスト衛星送受信機が装備され、港にはインターネットで結ばれた低コストのゲートウェイを設置、リアルタイムでコンテナの特定・追跡を行い、在庫管理が容易となる、としている。

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