「サプライチェーン・マネジメントとロジスティクス管理入門」は、普段物流業とは全く縁のない学生向けを想定して記述されている。
最も基本的な、しかし重要な課題の「サプライチェーン・マネジメント改革は企業にとってどんなメリットがあるか」を考察した後、3章のオペレーション面の解説では、多くの企業が対応に苦慮している「ブルウイップ現象」を解説。このメカニズムと、その解消法の1つであるドラムバッファー理論を紹介。
さらにこの章では、意外と混同されがちなサプライチェーン・マネジメントとロジスティクスの違いに触れ、「サプライチェーン・マネジメントとは、ロジスティクスではブラックボックスであった生産にも分析の手を入れることだ」と極めて明瞭に定義づけている。
4-5章ではロジスティクスの最適化とそれに不可欠なソフトウェアの効果を論じた後、6章では軽視されがちな産業廃棄物などの静脈物流の概要も記述。最終章の8章では、医薬品、日用品など各業界が現在抱えている課題を列挙した上で、当面の解決にはRFIDの普及が有効だと説く。
「サプライチェーン・マネジメントとロジスティクス管理入門」
藤川裕晃著
日刊工業新聞社刊
定価2500円＋税
