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国立情報学研究所など/サプライチェーンのCO2削減手法の実証実験で総務省採択

2009年07月30日/IT・機器

国立情報学研究所、日本ユニシス、凸版印刷は7月30日、共同研究「ICT利活用した物流・サプライチェーンにおける温室効果ガス削減技術の研究開発」により、総務省・地球温暖化対策ICTイノベーション推進事業の平成21年度新規課題公募に応募し、採択された。

研究内容は、ICタグを利用した排出枠取引手法と、プログラム最適化技術を利用した物流トラックの経路の効率化によるCO2排出量削減手法を実現するとともに、実際のサプライチェーンで実証実験を実施する。

実証実験では、物流に対する排出量削減とICタグの活用で商流による排出枠取引を一体化し、物流・サプライチェーンに対する新しいCO2排出量取引技術を検証、実用化を意図している。

研究は、2008年より国立情報学研究所が研究を進めてきたが、実用化に向けて、日本ユニシス、凸版印刷と共同で実証実験を2010年度後半に実施する。

研究概要は、ICタグを利用することにより、商品の原料調達から小売りまでの、サプライチェーン全体において、商品にICタグを利用することで、排出枠付き商品の実現と、簡単な排出枠取引やカーボンオフセットが容易になる方法を実現する。

排出枠量をICタグという形で商品に添付することで排出枠量を「見える化」し、商品の生産や物流で排出量が適正化されるようインセンティブを与えるとともに、ICタグをあたかも排出枠に関する有価証券のように利用できるようになることから、商品にICタグとして添付された排出枠を簡単に商品購入者に移転するなど、ICタグの受け渡しをするだけで排出枠取引ができるようになる。

<イメージ>

また、事業者間の排出枠取引だけでなく、一般消費者による排出枠付き商品の購入も視野に入れており、地域自治会や学校が排出枠を表すICタグをベルマークのように収集・利用すれば、排出枠の公共利用に道を開く先駆けとなるなど、広く排出枠への需要を喚起し、CO2排出削減を目指す。

さらに、プログラム最適化技術を利用した物流トラックの経路効率化によるCO2排出量削減手法物流トラック経路をプログラムとして扱うことにより、プログラミング言語のコンパイラ技術などで広く利用されるプログラム解析・最適化手法を、物流トラックに応用できる。

これにより、個々のトラックの集配経路の効率化や共同物流によるトラック台数の減少を実現し、効果的に物流におけるCO2排出量を削減できる。

実証実験では、凸版印刷が製造する紙製飲料缶「カートカン」を対象に、凸版印刷により同製品のための間伐材の調達、製紙、印刷、容器製造、販売からなるサプライチェーンにおいて、ICタグを使った商品への排出枠添付の手法を検証するとともに、国立情報学研究所により物流におけるトラック経路の効率化を検証する。

日本ユニシスでは、物流、商流に加えて金流まで含めた排出枠移転の管理システムの実現と既存排出枠取引との整合性の構築について、信託銀行などの協力を仰ぎながら、ICタグを排出枠に関する有価証券のように利用する場合を想定した商品販売者、購入者の口座管理、残高照会、移転の仕組みについて検証する。

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