NECは6月28日、ブラジルの大手私立病院のアインシュタイン病院に、RFIDを活用して医療器具の院内での在庫・所在管理を行うリアルタイム所在管理システムと、医療用冷凍庫の温度管理システムを納入したと発表した。
同病院のベッド数は約500床。リアルタイム所在管理システムは、輸液ポンプなど約500個の医療器具に、RFIDタグを装着することで、院内の無線LANを通して器具の場所や数を把握することが可能となる。医療器具の多くは、必要な患者の治療や医療行為に合わせ、院内を移動することが多く、アインシュタイン病院ではこれまで、器具の所在や数量をスタッフが定期的に病室を回り、目視で数え、管理シートに記入することで把握していた。
NECのシステムを活用することで、スタッフは中央のパソコン画面に映し出された院内の地図上で自動的に器具の所在が把握できる。これにより、器具を探す時間の削減や、数量のカウントミスなどを防ぐことができる。また、RFIDタグには、器具の導入年月の情報も書き込まれており、交換時期をシステム上で把握することによって、資産管理も可能となる。RFIDタグの情報を無線LANを通して収集する院内のネットワークもNECが構築している。
アインシュタイン病院は、院内の冷凍庫に温度センサ付きRFIDタグを導入した。院内には、血液保管用、生体組織保管用、薬品保管用などさまざまな冷凍庫があり、それぞれに厳しい温度管理が必要となる。スタッフが一日に数回、各冷凍庫を見回り、繰り返し行う温度チェックをRFIDタグで一括して行うことが可能であり、冷凍庫内の温度に異常がある場合、管理者にアラームを通報する。
医療器具へのRFIDタグの活用は、先進的な取り組みであり、アインシュタイン病院では、このたびの器具の位置管理、冷凍庫の温度管理に加え、今年度は患者の安全確保のためにもRFIDの導入を検討していく。
