日本インフォア・グローバル・ソリューションズは、タカラトミーグループ全体のロジスティックスの企画・管理・運営を担うタカラトミーロジスティクスに、インフォアの倉庫管理システム「Infor SCM Warehouse Management」を中心とした物流システムを導入し、物流体制の刷新を支援した。
システム刷新の目的は、納品精度率を向上し在庫差異率を低下させることにより、高品質・ローコストオペレーションを実現することや、最適在庫管理、最適拠点、最適輸送ルートでの配送など、変化に対する対応力を強化すること、業務プロセスやコストの可視化やトレーサビリティによる実績管理の強化により情報提供力を向上させることにある。
タカラトミーロジスティクスは、輸入した製品(一部国内から仕入れ)を、おもにカートン単位で国内卸売会社に配送する「メーカー物流」と、他社の商品も含め仕入れした商品をピース単位で小売会社に配送する「小売物流」に分けて、物流を管理・運用している。
同社は、これまで約20年前に構築したシステムを使用して、荷分け業務や伝票発行業務を行っていた。
旧システムからの刷新を行ううえで、タカラトミーには主に2つの課題があった。まず、2006年のタカラとトミーの合併により、タカラトミーの荷量は倍増したことだ。
これによって、繁忙期の業務対応力と納品精度の安定性の確保が必要となった。次に、業界内のリーディングカンパニーとして、受注状況や在庫状況をリアルタイムに把握できる一貫物流の構築も課題となった。
旧システムにおいては、詳細な物流データを抽出するために個別のスキルを要したため、この点を簡素化し、データの可視化を実現する必要があった。
これらの課題を解決するためには、プラットフォームとなる物流システムの導入が必要不可欠であり、短期間・低コストで内部統制に対応したシステムの稼働が保証されるパッケージ製品を導入することを決めた。
物流システムの導入に際し、複数の他社製品と比較・検討した。理由としては、他社製品に比べ、必要となる物流業務要件が既存の機能で網羅されており、フィット率が高かった。在庫管理や入出庫管理だけでなく、各物流工程の進捗を管理できるなど管理機能が豊富であった。物流業務に必要な機能が豊富で、かつ標準機能で装備されているため、低コストで導入ができ、コストメリットが高かった。
2008年春にプロジェクトを開始し、2010年5月にカットオーバー。8月16日から本格稼動した。プロジェクトメンバーは約50名(タカラトミー:20名/ インフォア:30名)で、システムスコープは、倉庫管理システム、物流全体制御管理システム(複数拠点にまたがる在庫管理、物流プロセス管理、配車支援など)、輸送管理システム。
物流システムを刷新したことによって、小売物流の一日の処理能力が20万ピースから35万ピースまで向上し、繁忙期の荷量にも対応できるようになった。
今までひとりの作業者が複数の工程を担当するなど属人化されていた作業が、工程別に分けられ、システムを介して指示された作業を行うなど、業務プロセスが可視化、簡素化されたため、スキルトランスファーが容易になる。
物の動きをリアルタイムでトラックできるようになり、実績管理や各作業工程の進捗も管理することができる。
今後、タカラトミーロジスティクスは、この新物流システムを活用し、リアルタイムでデータを把握することで、安定した納品を実現するなど高品質・ローコストオペレーションを図る考えだ。
少子化が進む状況下において、国内だけでなく海外拠点における物流網の最適化も視野に、サプライチェーンの強化に取り組んでいく。