富士経済は9月28日、次世代物流システム・サービスの市場を調査し、2025年市場予測として宅配ボックスは255億円(2016年比4.0倍)、AI音声認識活用物流システムは77億円(5.9倍)になると発表した。
ロジスティクスファシリティは、立体自動倉庫システムを中心に従来から安定した需要があり、構成比が大きい。近年では通販業界を中心に物流システムの自動化が進められていることから今後も堅調に拡大するとみられる。
IoTは物流のデジタル化、IT化の流れから近年市場が拡大しており、既に普及しているデジタルピッキングシステムや物流・倉庫管理ソフトに加えて、今後はスマートグラスや宅配ボックスが拡大するとみられている。
AIは物流での活用がこれからであり、今後AI音声認識活用物流システムやAI画像認識活用物流システムなどを中心に、急速に拡大していく予測だ。
ロボティクス・オートメーションは今後も成長が期待され、現場作業の自動化・省力化が促進される中で、AGV・アーム付AVG、次世代物流ロボット、物流向けパワーアシストスーツ、物流向けドローンといった新しいテクノロジーの導入が本格化し、市場は拡大するとみられる、としている。
注目市場として、AGV・アーム付AVG市場は2017年見込みで220億円、2025年予測で720億円としている。ネット通販市場拡大で、小型の搬送物が増加しており、小型のAGVの需要が増加。今後は労働力不足、自動化促進を背景に、製造業や物流業で自律走行型の無軌道タイプやアーム付AGVの導入が進み、市場は拡大するとみている。
宅配ボックス市場は2017年見込みで115億円、2025年予測で255億円としている。ネット通販市場の拡大により、宅配物を受け取る機会が増加しており、それに伴う再配達のなどの手間を解決する手段として戸建て住宅向けや、駅などの公共スペース向けが注目されている。ヤマト運輸や佐川急便が駅などに宅配ボックスを設置し、いつでも荷物を受け取れるサービスを開始したほか、参入企業も増加しているため、今後も市場は拡大すると予測している。
AI音声認識活用物流システム市場は、2017年見込みでは16億円、2025年予測では77億円としている。AI音声認識活用物流システムの活用により、ハンズフリー、合図フリーでの作業が可能になることから、物流業のほかにも、卸・小売などさまざまな分野で導入されている。人手で行っているピッキングや仕分け作業を中心に今後も導入が進み市場は拡大するとみられている。
なお、この結果は「次世代物流ビジネス・システムの実態と将来展望 2017」にまとめられている。報告書では次世代物流システムとして、ロボティクス・オートメーション6市場、ロジスティクスファシリティ6市場、IoT6市場、AI4市場、今後さらに活性化するとみられる次世代物流サービス5市場を調査・分析し、物流業界の将来展望を明らかにした。なお各市場は国内市場+日系メーカーの海外実績で捉えている。