プロロジスは6月29日、経済産業省が公募し、採択が決定した2023年度「再生可能エネルギーアグリゲーション実証事業」を開始すると発表した。
<プロロジスとして初めて蓄電池を導入する「プロロジスパーク草加」(太陽光パネルは設置完了後のイメージ)>
この実証は、経産省が公募した2023年度「蓄電池等分散型エネルギーリソース次世代技術構築実証事業」のうち「再生可能エネルギーアグリゲーション実証事業」に、プロロジスを含むコンソーシアムが応募したもの。
コンソーシアムは、テラスエナジーをコンソーシアムリーダーとし、豊田通商やプロロジスを含む全9社で構成される。環境共創イニシアチブ(SII)が6月14日に採択を発表し、6月29日より来年2月までの期間、本実証に取り組む。
再生可能エネルギーは発電量が天候に左右されるため、発電予測・余剰自己託送予測の精度向上が不可欠。本実証ではテラスエナジーが提供する、発電電力の利用最適化や発電予測・余剰予測等を行う総合 VPP(バーチャルパワープラント)プラットフォームサービス「ReEra」を用いて検証を行う。プロロジスが行う実証に用いる「ReEra」の機械学習には、運営中物流施設「プロロジスパーク草加」に設置予定である蓄電池と太陽光発電等のデータを活用する。
実証事業1.は「再エネ余剰アグリゲーション実証」。 太陽光発電の発電予測・余剰予測の精度向上、複数の再エネ発電所を束ねて統合制御(アグリゲーション)することで得られる「ならし効果」によって、計画上の発電量と実際の発電量の過不足(インバランス)低減の検証を行う。
実証事業2.は「発電側蓄電池の利用最適化のためのマルチユース制御実証」。自家消費と自己託送時の効率化・コスト減を目的に、蓄電池を機械学習や統計モデルを用いて制御し、インバランス調整を検証、さらに、卸電力市場取引、容量市場、需給調整市場の取引市場での取引による経済性向上を検証する。
実証事業3.は「需要側蓄電池の利用最適化のためのマルチユース制御実証」。蓄電池の充放電制御による電力使用のピークカットを検証。さらに、卸電力市場取引、容量市場、需給調整市場の取引市場での取引による経済性を検証。
プロロジスパーク草加における蓄電池設置では、グループとしては初となる。この蓄電池ははピークシフト・カットによる施設のエネルギー効率の向上、再生可能エネルギーの利用促進、および環境への負荷軽減を目的としている。
蓄電池はPowerX 20ft High Cube (20 フィートコンテナ型蓄電池)。サイズは20フィートコンテナ(ISO規格)、電池セル種類はリン酸鉄リチウムイオン(LFP)、蓄電池容量は2.7 MWh、生産地は岡山県。
なお、プロロジスは、運営する物流施設で発電した太陽光電力の自家消費、自己託送を含めて、自社施設におけるグリーン電力活用を進めている。
この実証で、自家消費・系統安定化サービス・卸電力市場取引の最適化を可能にする蓄電池のマルチユース機能を検証することで、プロロジスが運営する物流施設への蓄電池設備設置を加速させる。また、自己託送時の計画上の発電量と実際の発電量の差異(インバランス)低減の検証を行うことで、各施設間でのグリーン電力の融通拡大をめざす。
特に「プロロジスパーク草加」においては、屋根面の太陽光発電設備、ピークカット用の蓄電池の設置が決まっており、本実証での知見を活かし、物流施設における太陽光発電設備と蓄電池設備の最適化の可能性を模索する、としている。