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日本郵船ほか/バイオマス燃料バイオマス輸送船建造で基本合意書

2024年05月14日/IT・機器

日本郵船、NYKバルクプロジェクト(NBP)、Drax Group、常石造船の4社は5月13日、在日英国大使館でバイオマス燃料バイオマス輸送船建造に向けた基本合意書(MOU)を締結したと発表した。

<契約締結式の様子>
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<バイオシップ完成予想イメージ>
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4社は実現すれば世界初となる木質ペレットを燃料とする船舶(バイオシップ)の開発などを通じて、木質ペレットの海上輸送の低・脱炭素化に関して共同で検討を行う。

バイオシップ建造に先駆け、積み荷である木質ペレットを燃料として使用するバイオマス燃料プラントの研究・開発を行う。このプラントはガス化装置を使用して木質ペレットからガスを発生させ、そのガスを使って発電機を動かすことで電気を生み出す機構で、発電された電気は船の推進力や船内電源の一部として使用する。

<バイオマスプラントのシステム概略図>
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このバイオマス燃料プラントで使用されるガス化装置は熱分解ガス化方式を採用。木質ペレットを高温で不完全燃焼させ、一酸化炭素や水素、メタンなどの可燃性が高い成分をより多く含ませることで、木質ペレットを直接燃やすより効率よく発電が可能になる。また、ガス発電装置にはガスエンジン発電方式を採用することで、船内の限られたスペースで木質ガスのみを用いる効率的な発電が可能となる。

4社の役割は、日本郵船が海上輸送の低・脱炭素化に関する知見の提供、NYKバルクプロジェクトが木質ペレットの海上輸送に関する船主・運航者としての知見の提供、Drax Groupがプロジェクト起案者、木材ペレットの海上輸送の低・脱炭素化に関する問題提起、常石造船が船舶設計・建造およびバイオマス燃料システムに関する技術知見の提供となっている。

なお、海運業界では世界的に舶用燃料のアンモニア、水素などのゼロエミッション燃料への転換が進む中、小型のバルカー(ハンディサイズバルカー)は、船体サイズに起因する燃料タンクの大きさの制限などの理由から燃料転換が難しく、自然環境に配慮した運航が課題となっていた。

そこで、木質資源を扱うDrax社の木質ペレットを燃料として使用することに着目し、バイオマス燃料を使用した船舶の開発をすすめることで、Well to Wake(燃料を生産し、輸送し、船上で使用するまでのプロセス全体と、そこで発生するすべての排出物のこと)でGHG排出削減率22%を目指す。また、2029年末までにバイオシップの建造を目指し、4社共同で検討を進める。

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