(株)竹中工務店と(株)エヌ・ティ・ティ エムイー(以下:NTT-ME)は、愛知県常滑沖に建設中の「中部国際空港旅客ターミナルビル新築工事」において、島事務所と陸事務所(愛知県常滑市)間約4kmの海上を無線LANとFWAで冗長構成を取りながら繋ぎ、建築設計図などを効率的にやりとり出来る「遠隔工事事務所間情報通信システム」を構築し、本格的に活用をはじめた。
これまで建設事務所間における遠距離無線システムの利用はごく稀で、異なる無線方式で冗長構成を取ったものは今回が初めてのケース。本システムではサーバーの利用からPHSを用いた内線電話まで、陸地と全く変わらない作業環境を実現している。
愛知県常滑沖合いにある中部国際空港旅客ターミナルビルの工事事務所は、携帯電話による通話が不安定で海底ケーブルも敷設されないため、連絡橋が開通し通信ケーブルが敷設される迄の長期間、通信ネットワークが不通でコンタクトも一日数回就航する連絡船頼みという情報過疎状態が危惧されていた。
近年、工事事務所の著しいIT化からみてこの通信環境を改善するニーズが高いため、対岸の陸事務所と人工島工事事務所間の海上を、無線LAN及びFWAの二重化した回線で結び、建設現場との電話、E-Mail等あらゆるデータ通信は、この陸事務所経由で行うIT活用案を構築した。
海上における通信は、約4kmという長距離のため、中間の船舶運航等による回線断も考慮し、音声向きとデータ送信向きの2種類の無線方式に代替機能も併せ持たせる方式を採用。これにより、一方の無線が切断されても、もう一方の無線方式で陸島間の通信を確保できる。
電話は、音声を圧縮しデータに分けて送受信するVoIP [Voice Over IP]を採用することにより、別途に高速な無線回線を用意する必要がなくなり、通信コストの削減を実現した。
作業所職員間の連絡は、各自が構内PHSを携帯することにより、人工島現場・同事務所・陸事務所のどこにいても、同じ内線番号で連絡が取れるため迅速なコミュニケーションが可能となる。
また、電力の安定した陸事務所にサーバーを集約したことで、自社イントラネットの利用が可能となり、図面や現地の動画の送受信を人工島作業所でも快適に行うことができると同時に、データを安全に管理することができる。
建設事務所では、IT化が進みほとんどの文書が電子管理され、設計図から各種の注文書、納品書、廃棄物管理書など大量の文書のやりとりが必要となっており、通信過疎地である沖合い人工島における情報環境の整備は不可欠なテーマだった。
「中部国際空港旅客ターミナルビル」工事では、2002年3月から海上における無線LANを試行的に利用してきましたが、このたび本格的に活用を開始し、2004年9月の竣工時まで現場の快適な作業環境を支える予定。
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竹中工務店、NTTME/沖合い人工島の作業所で海上無線LAN活用
2002年06月20日/未分類
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