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ハリマ共和物産/3PL事業の具体的展開

2002年12月15日/未分類

ハリマ共和物産(株)の、ここ数年間の決算推移は下記の通りだが、卸業本体の売上が減少傾向にあるにもかかわらず、3PL事業の扱い高、全社としての経常利益は増加している。14年3月期の経常利益は過去最高を記録している。
卸部門の減少は平和堂の直取引とマイカル、ダイエーによるところが大きい。
ハリマ共和物産の決算推移
卸業売上 店出し  3PL事業 全社経常利益
12年3月期 329億  263億    30億5.8億
13年3月期 320億  256億    90億6.0億
14年3月期 307億  245億   160億7.6億
15年3月期予想 294億  235億   230億7.8億
3PLにより物流センターの稼働率が上がり、卸としてのコストが全体的に下がったことが利益増につながっている。平成10年に西川商事、同11年に三井商事と合併したころは、売上高も330億円にのぼったが、その時点の社員数は250人、しかも全社員が卸部門に従事していた。
これに対して現在の社員数は、退職者の補充を行わなかった結果、グループ全体では200人に減少し、卸部門(150人)と3PL(50人)という2つの事業部門に分散している。卸部門の売上高は294億円(14年3月期)と1割減少したが、これに関わる人員は4割減少している。
3PLによる新たな利益の創出が、グループ全体の収益構造も大きく変化させており、同期のROE(株主資本利益率)は7.6%、自己資本比率は37.8%、配当も12.5円(前年10円)に上昇した。連結ベースの経常利益率も2.4%に上昇したが、15年3月期にはこれが2.5~2.6%に上昇する見込み。
同社の物流拠点は、姫路の本社物流センターをはじめ、高槻、長岡京、下妻、神戸、そして外部委託の大淀センターがあるが、3PLはほぼ全拠点で行われている。最大の受託先は西松屋で、長岡京と下妻がその専用センターとして運営されている。
西日本を受け持つ長岡京センターは、4棟延べ床面積12 210㎡の規模で、13人の社員と150~200人のパート・派遣社員が365日24時間3交代勤務で、年間100億円程度の商品を扱っている。
東日本をカバーする下妻はさらに合理的で、長岡京とはほぼ同規模ながら、わずか10人の社員と、80人のパートで約90億円の商品をさばいており、高槻での扱い等も含むと、総取扱高(処理物量)は280億円におよぶ。
ただ、急増する物量(西松屋は2003年度に60店舗を出店予定)に対応するには、現在の体制でも不十分とのことで、2003年2月には九州に1万㎡規模の新たな専用センター(九州から広島エリアの西松屋30店舗をカバー)を建設する計画もある。
長岡京センターは、登録6万アイテム(在庫4万アイテム)という品揃えの多さで、しかも肌着(インナー・ベビー寝具も含む)・アウター・アウターベビー・雑貨(玩具・業界のベビー用品を含む)の4カテゴリーに分類された商品は、パッケージの形状やサイズもまちまちにまかかわらず、整然と棚に並べられている。
さらに、全体の90%を季節性の商品で占め、数カ月先行した入出荷管理が必要なため、常時、季節が3つくらい重なって動くという複雑である。
同センターでは、一部の年間商品を除けば、日用雑貨流通で一般的に行われている固定ロケーション管理、カテゴリー別管理を採用していない。最盛期には年間取扱高の20%を収容できるキャパが必要で、カテゴリー別の固定ロケーションでは通路やピッキングを含め、余分なスペースが必要になる。
変動が大きいために改廃が困難で、ソーターのバッチも細かくする必要があるなど、必ずしも効率的なピッキングにつながらないためである。
同社のロケーション管理は、柔軟性のあるゾーンロケーションが基本である。各倉庫には平均30のエリアがあり、その下に20-50ゾーンを区分し、流動性の大きな商品の入庫のスピードアップを図っている。
各アイテムと数量は入荷時に「ゾーン情報」と合わせてコンピュータに登録されるため、商品棚であれ、直積みであれ、どのゾーンに放り込んでも明確に掌握できるようになっている。
アイテム管理の基礎になっているのは、西松屋が独自に取り決めている13ケタのSKUコードである。これに対して物流コードを引き当て、ピッキングリストもエリア毎にゾーン順で出力される。ピッキングには1時間に2000データを処理できる直線ソーター(入口4カ所、商品の出口は100カ所)を用いている。
センターの日々の出荷データは、伝票ナンバーを付けて西松屋に電送する。西松屋はそれをベンダーに飛ばす。店ではSCMラベルでスキャンした結果が本部にオンラインされ、本部では物流データとのマッチングを行う。決してJICFSに基づく管理ではないが、このベースには日用雑貨卸として築き上げたEDIのノウハウが十二分に生かされている。
西松屋はこれまでこうした近代的な管理方式を用いていなかったため、ハリマグループへの委託後は収益が大幅に改善したとのことで、それが継続的、かつ発展的な取引拡大につながっている。
また、ハリマグループにすれば、日用雑貨のオペレーションとは全く異なるが、それだけに得るものも多い。ここまで至るには、かなりの試行錯誤もあったようだが、そうした実習と知恵の集積は今日のセンターの発展へとつながっており、将来の3PL事業の拡大に大きな可能性を示している。
3PLには一般にDC型とTC型があると考えられているが、ハリマ共和物産、およびブルームの考える3PLはそれだけにとどまらない。西松屋は物流委託するにあたり、自社の物流センターをすべて撤廃したが、これはその方がトータル・コストの改善につながることが明らかになったためである。しかし、ハリマグループではいま以上のコスト削減も十分に可能と見られている。
同社は、生産地から店舗配送に至るまでの一貫したローコスト・オペレーションを計画している。西松屋では商品の色決め、生産依頼、納期などを決めるが、工場でできたものを店頭までいかに運ぶか、計画的に商品を運ぶかは3PLの仕事である。
具体的には、商品の生産地に現地集積場を設け、これまでバラバラに出荷されていた荷物をまとめ、コンテナで国内へ運ぶ。同様に国内でも、まずコンテナの集積場に集まった荷物を各センターに割り振りする。これにより、各センターでは入荷のローテーションと効率が飛躍的に改善される。
後は従来通り店舗向けの加工を行い、配送する。そこまでの一貫した作業が3PLという考え方である。これは西松屋の物流を一括受託するために必要となる一連の工程となっている。
加藤産業、菱食、山星屋などの食品卸は日用雑貨卸より早くから3PLに取り組み(合併による余剰センターの有効活用等)、また運送会社や倉庫会社等が一括物流を模索する動きもある。日用雑貨卸の機能を活用する手法の1つとして注目されている3PL事業として具体的実践を行っている。
「3PLとは、決して運賃のみの配送代行ではない」(ブルーム取締役物流統括部長・土井久和氏)と語る。
なお、ブルームの14年9月期中間決算は、売上高が前年比136%、経常利益が同122%で、依然グループ全体への貢献度は大きくなっている。

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