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経済産業省/新総合物流施策大綱第2回フォローアップ

2003年10月02日/未分類

経済産業省は、新総合物流施策大綱第2回フォローアップについての概要を発表した。
平成13年7月6日、政府は「新総合物流施策大綱」(以下「新大綱」という。)を閣議決定し、今後政府として取り組んでいく新たな物流政策の方向性について取りまとめた。
新大綱では、平成17年度を目標年度として、コストを含めて国際的に競争力のある水準の市場の構築、環境負荷を低減させる物流体系の構築と循環型社会への貢献等の目標を設定した。
今年度はその中間年に相当する。政府は、この新大綱に沿った物流政策の展開、進捗等について年1回程度フォローアップを行うこととしている。第1回フォローアップは、平成14年8月7日に、総合物流施策推進会議了解の上発表し、主に「6つの数値目標」の進捗等について整理した。
第1回フォローアップ発表後においても、内需が低迷し、デフレが進行する厳しい経済環境の中にある一方、我が国経済活動はグローバル化が一層進展している状況において、物流の効率化への要請が日増しに高まっている。
一方で、イラク戦争、重症急性呼吸器症候群(SARS)等が国際物流に停滞をもたらす等、グローバル化した我が国経済活動に少なからず影響を与えた。
また、食の安全・安心に関する消費者ニーズやリサイクル促進等に関する社会的ニーズに見られるように商品のトレーサビリティ(履歴管理、追跡可能性)を確保する要請が高まっていることに加え、米国同時多発テロ事件等を受けたコンテナ等の物流面での保安(物流セキュリティ)対策の強化が求められている等、社会の変革に適時適切に対応していくことが求められている。
総合物流施策推進会議においては、これらの社会の変革を踏まえ、物流施策の進捗を取りまとめ、「新総合物流施策大綱第2回フォローアップ」として、発表するもの。
新大綱策定以降の社会情勢と物流施策の動向(省略)
施策の進捗
新大綱策定以降、その方向性に基づいて着実に推進してきた各施策の進捗状況を示す数値を取りまとめた。新大綱で示した数値目標については、その目標年次、数値を併記した上で、達成状況を報告する。
①国際競争力のある社会実現のための高度かつ全体効率的な物流システムの構築
(ア)高度かつ全体効率的な物流システムの構築
物流の共同化・情報化・標準化の推進
○ITSの実用化展開
【ETCサービス料金所】
平成13年度末685箇所→平成14年度末850箇所
【3メディア対応型VICSのサービス地域】
平成14年39都道府県→全47都道府県で達成
○ユニットロードの標準化
【パレタイズ可能貨物のパレタイズ比率】
目標:平成17年までに約9割平成13年度で75%
【標準パレットの比率】
目標:平成17年までに欧米並、平成13年度で約5割
ユニットロード普及実態調査の結果、主にパレタイズ可能貨物のパレタイズ比率、標準パレットの比率とも横這いであることから、業界特性に合った対応等を図りつつ、今後も普及啓発を行っていく。T11型パレットは、ISO化の最終投票段階にあり、国際標準化が進むことによって、標準パレットの比率が高まることが期待される。
○国内物流EDI標準(JTRN)の普及促進
【物流EDI利用企業のJTRN(平成8年7月策定)利用比率】
平成15年1月調査(初調査)で24%
規制改革、行政手続の簡素化・効率化
○物流二法(貨物自動車運送事業法、貨物運送取扱事業法)の改正(平成15年4月改正法施行)
【利用運送事業において創設された海運2種への参入件数】411件
物流関連社会資本の整備推進等
○複合一貫輸送に対応した内貿ターミナルの拠点的整備等
【陸上輸送半日往復圏の人口カバー率】目標:21世紀初頭までに約9割平成14年度79%
目標の達成に向けて、内貿ターミナルの拠点的整備を着実に実施している。
○マルチモーダル施策の推進
【自動車専用道路等のICから10分以内に到達可能となる主要な空港及び港湾の割合】目標:21世紀初頭までに約9割
平成12年空港:46%、港湾:32%
→平成15年度末空港:57%、港湾:42%(見込み)
全体として、目標の達成に向けて着実に進捗しているものといえる。
引き続き、効率的な輸送体系の構築に向けて空港・港湾等へのアクセス道路を重点的に整備することとしている。
○都市内物流の効率化
【三大都市圏における車両の平均走行速度】
目標:21世紀初頭までに25km/h
大綱策定当時:21km/h
【トラックの積載効率】目標:21世紀初頭までに50%以上
平成12年:43.7%
平均走行速度、トラックの積載効率ともに、現状で大幅な改善がされてはいないと思われるが、都市圏における共同配送や通過交通の迂回等による交通量の削減に向けて、各種の実験の成果が発表される等してきているところであり、これらを含め、所要の施策を推進する。
(イ)国際物流拠点の機能強化
海上輸送の効率性と船舶航行の安全性の向上
○海上ハイウェイネットワークの構築
【船舶航行のボトルネック解消率】
平成13年76%→平成14年78%
※平成18年度までに、90%を目指している。
大都市圏拠点空港の整備
【三大都市圏の国際空港における国際航空貨物容量】
平成12年290万トン→平成14年310万トン
輸出入手続の簡素化
【輸入コンテナ貨物について、入港から貨物がコンテナヤードを出ることが可能となるまでに必要な時間】目標:平成17年度までに2日程度
(全貨物)大綱策定時3.6日→平成13年3.1日
(コンテナ)→平成13年2.4日
平成14年度以降も、リードタイムの短縮を目指し、港湾の24時間フルオープン化、輸出入・港湾手続の簡素化に向けた各種の取組が進捗している。
輸入コンテナ貨物がコンテナヤードを出た後の輸送との円滑な連携
○車両の大型化対応
【総重量25t車対応高速自動車国道、高規格幹線道路等の総延長】
平成12年4.4万km→平成14年度末約5万km
②社会的課題に対応した物流システムの構築
(ア)地球温暖化問題への対応
輸送機関の単体対策
○低公害車の普及促進
【低公害車の登録数】
(型式)平成12年12月末79型式→平成15年3月末312型式
(台数)平成13年度約154万台→平成14年度約242万台
平成22年度までのできる限り早期に、低公害車の導入台数1 000万台を達成する。
モーダルシフトの推進
【モーダルシフト化率】目標:平成22年までに50%
平成11年40.4%→平成12年39.6%
近年の低下傾向に歯止めを掛けるために、「モーダルシフト促進に向けた平成15年度アクションプログラム」を着実に遂行することとする。
(イ)大気汚染等の環境問題への対応
輸送機関の単体対策
○トラック等の低公害化の促進(低公害車普及促進対策費補助)
【DPF・酸化触媒の導入補助実績】
平成14年度:5600基
【低公害トラックの導入補助実績】
平成14年度:693台
(ウ)循環型社会実現のための静脈物流システムの構築
○港湾における静脈物流拠点とネットワークの形成の推進
【リサイクルポート指定】
平成15年4月に13港を追加指定。現在全国計18港。
【循環資源流動のうち海上輸送の分担率】
平成7年4.5%⇒平成12年8.6%
リサイクルポートにおいては、循環資源の取扱促進に向けた運用等の改善、官民連携の促進、岸壁等の港湾施設の整備により循環資源の国内輸送コストの低減を図り、平成19年度までに循環資源国内輸送コストを、平成14年度比で1割削減する
(エ)事故防止等物流の安全問題への対応のための施策
○交通管制センターの高度化、光ビーコンの整備、信号機の高度化改良等
【光ビーコン整備】
平成13年度末約3万台→平成14年度末約3.8万台
③国民生活を支える物流システムの構築
○食品の鮮度保持流通のためのコールドチェーンシステムの整備
【市場における低温卸売場・冷蔵庫施設等の整備】
平成14年度8地区、平成15年度に4地区(予定)
【水産物の産地流通加工施設の整備】
平成14年度11施設、平成15年度6施設(予定)
○緊急用河川敷道路の整備
【緊急用河川敷道路の整備延長】
平成12年度末約230km→平成15年度末約255km
Ⅳ物流施策実施体制
国においては、物流施策関係省庁による総合物流施策推進会議のもと、新大綱に基づき、協調して物流政策の展開に努めている。新技術の開発等においては、利用者部門と提供者部門になる双方の省庁間で随時連携をしながら、かつ、双方の立場の事業者等の意見を随時取り入れながら
取組を推進する等、一層連携は強化されてきている。
また、各地方公共団体等から、物流関連の構造改革特区の申請があり、平成15年5月23日の第二弾認定までに全国15地域で国際物流関連特区が認定されている。税関の臨時開庁手数料の軽減による貿易の促進事業が中心であり、国際港湾・空港等における24時間フルオープン化の一環であると捉えることができるが、各地域において、新大綱の方向性の一部を構造改革特区の枠組みを使用して積極的に実現しようとするものであると考えられる。
このように、物流関連の構造改革を一つの足掛かりに、地域経済を活性化しようという動きが活発になっているが、一方で、全国10のブロックにおける国の出先機関と地方公共団体、事業者団体等が参加する地方総合物流施策推進会議の枠組をより有効に活用することにより、一層の効果が期待できると考えられることから、平成15年度は、同会議の活用方策について、検討を進めていく予定である。
今後の重要課題等
今般のフォローアップを総括すると、新大綱の示す各方向性について、社会情勢を鋭敏に捉えた新しい政策が展開される等、関係者が一丸となって目標の達成に向けた動きを促進していることが分かるが、その成果についてはまだまだ具体化しておらず、6つの数値目標についても後退しているものもある等、一層その取組を加速していく必要がある。
①国際競争力のある社会実現のための高度かつ全体効率的な物流システムの構築に向けて
<グローバル化の一層の進展に対応した物流全体の最適化~アジアにおける国際物流の更なる効率化のための各国との連携強化~>
企業活動のグローバル化が一層進展する中、物の流れ全体の最適化を図るサプライチェーン・マネジメントを国際的にも実現するための環境整備が重要な課題となっている。
これに対応するため、近年貿易量が大きく伸びているアジア諸国との連携の強化を図るとともに、国際標準に則った物流EDIの整備・普及、海外における物流人材の高度化の支援、コンテナ・パレット等機材の標準化、ロジスティクスの普及啓発等を行っていく。
特に、本年は「日本ASEAN交流年2003」であり、ASEAN(東南アジア諸国連合)地域との間の国際輸送の円滑化に向け、「日ASEAN交通大臣会合」等の枠組みの中で、物流の円滑化に向けた長期行動計画を平成16年度中に策定することを目指している。
<新技術の普及の促進>
物流の共同化、情報化及び標準化という観点から、基盤整備を引き続き行っていく。特に、IT等の新技術の開発と利用においては、利用率の向上による全体効率の大幅な向上が見込まれるものの、その効果を十分に発揮するところまで普及が進んでいないものもある。このため、利用者の利便性を追求しつつ、中小企業等もその費用・人的負担に拘束されず積極的に参加できるようにビジネスモデルにも配慮しながら、普及を促していく。
<3PLビジネスの促進に向けた支援方策の検討>
1990年代に米国で登場した新たな物流サービスである「サード・パーティ・ロジスティクス(3PL:荷主から物流を一貫して請負う高品質のサービス)」は、荷主企業の本業への経営資源集中や物流部門における規制緩和等を背景に高い成長を続けており、我が国においても、今後、高い成長が期待される。
国土交通省では、平成14年度に米国の3PLの実態調査を行ったところであり、今後は我が国での当該事業の発展に向けた環境整備に必要と考えられる事項について調査することとしている。特に、人材育成に関しては、3PLに必要な知識を系統立てて取得できるような効果的な教育プログラムの研究・開発を行うこととする。
②社会的課題に対応した物流システムの構築
<地球温暖化対策推進大綱の目標の着実な具体化>
平成14年3月に策定された地球温暖化対策推進大綱の目標達成に向けて、「モーダルシフト促進に向けた平成15年度アクションプログラム」を着実に推進すること等を通じて、より具体的な成果を挙げていく必要がある。
<グローバルな静脈物流システムの構築>
さらに、我が国の廃棄物処理の状況は依然として厳しい状況が続いており、循環型社会の実現は依然喫緊の課題であるといえる。鉄屑等の循環資源は国内のみならず国際的に再利用を促進することにより、再利用率を向上させ、グローバルな視点からの循環型社会を構築する必要がある。
循環型社会形成推進基本計画(平成15年3月閣議決定)にも記載されているように、輸出港の集約等により、グローバルな資源循環に寄与するべく、効率的な国際静脈物流システムの構築に向けた検討を行う。
③国民生活を支える物流システムの構築
<コンテナ等物流セキュリティの強化と効率性確保の同時達成>
Ⅱ.でも述べたように、国際貨物に紛れてテロ等に使用され得る物資が輸送される事態を未然に防止するための取組が国際的に盛んになっていることから、我が国の物流セキュリティを向上させ、国民の安全確保に向けて具体的な動きに入っていく必要がある。
このような状況を踏まえ、物流セキュリティの強化を図ると同時に、コストを含めて国際的に競争力のある水準の物流市場を構築するため、「安全かつ効率的な国際物流の実現」を関係省庁の連携により推進する。
具体的には、先進諸外国や国際機関等の動向を調査、把握し、海上人命安全条約(SOLAS条約)改正に対応した国内法制度の整備とその適切な実施やFAL条約の早期批准に向けての検討を進め、入出港手続や必要書類の簡易化、統一化を推進する。
また、電子タグ、電子シール(開封を電子的に記録する封印)等を活用したコンテナ貨物等の追跡・
管理に関する技術の活用方策等について検討を実施し、国際的な標準に沿った、物流の効率化にも資するシステムを確立することに努める。
<トレーサビリティの確保>
商品トレーサビリティについては、RFIDの導入促進に向けた実証実験を行うとともに、業界の特性ごとに商品履歴情報の内容・管理方法の標準化、情報の信頼性の確保の検討等を進め、社会的な要請に早急に応えていけるように、取組を促進していくこととしている。
特に、食品のトレーサビリティについては、平成15年度に実施しているITを使用したトレーサビリティシステムの開発・実証実験の結果等を踏まえながら、その導入を推進していく。
このように、物流を取り巻く状況は依然厳しいものであるが、政府としては総合物流施策推進会議を中心としてこれらの課題に取り組んでいくとともに、地方公共団体との連携、民間事業者等との適切な役割分担により、新大綱に掲げた理念の実現に向かって進んでいくこととする。
詳細は下記アドレスを参照。
http://www.meti.go.jp/kohosys/press/0004557/1/030930buturyuhonbun.pdf

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