UPSは、小口貨物輸送用の本格的な水素燃料電池トラックである「ドッジスプリンター」3台を開発した、と発表した。1台目は米ロサンゼルスに既に実用配備され、残り2台もサクラメントとミシガン州アンアーバーに近く配備される予定。
同社は昨年5月、米環境保護庁(EPA)、ダイムラー・クライスラー社と共に、水素燃料電池トラックを北米で事業用として配備するため、水素燃料電池の共同開発に着手したことを発表した。
続く今年3月、ダイムラークライスラーが水素燃料電池を開発。UPSは、この電池を使用したトラックの試験使用をミシガン州南東部で開始した。水素補給については、EPAの実験施設を利用した。同時に、UPSとダイムラーは、輸送事業への本格導入を前提にした水素電池使用の中型トラックの走行実験も独国内で開始した。今回のドッジスプリンター3台は、こうしたトラックの試験使用や走行実験での結果をもとに完成させたもの。
ダイムラークライスラーによると、「スプリンター」は、加速性能がガソリンやディーゼル車に匹敵するほどに高まったという。
UPS首脳は、ガソリンやディーゼル車よりもエンジンの耐久性が高いためメンテナンス費用が少なくて済むこと、エンジンをボンネットに搭載しないためにトラックの新しいデザインが可能になること、貨物の積載容量がディーゼル車より10%増大することなどのメリットを挙げている。今後の課題については、水素補給施設を増やすことと、水素電池トラックの生産コストを削減することを挙げている。
UPS首脳によると、同社の8万8000台の輸送トラックを順次、水素電池使用の車種に変更していきたい考え。