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三菱総合研究所/2004・2005年中国・東アジア経済見通し改訂

2005年01月04日/未分類

(株)三菱総合研究所は、2004・2005年中国・東アジアの経済見通しを改訂した。

2005年の中国経済は、2003―04年の金融引締め政策が東部地域を中心に浸透し、中西部の固定資産投資も一段落することから2004年度予測の9.0%から、1.0%ポイント低下し8.0%成長、東アジア全体でも5.6%の成長率に留まることが予測している。

2005年の中国経済の減速により、収益面で日本において最も影響を受けやすい業種は、電子機器、続いて鉄鋼・金属、自動車の順。

2006年に発効が予定される日本・フィリピンの経済連携協定による日本経済への影響は、2006-2020年累積でGDPの押し上げ効果は最大0.007%に過ぎず、経済面での効果は期待できない。

I.2004・2005年の中国・東アジア経済見通し
今回の改訂見通しでは、2005年の中国経済が8.0%(8月期予測7.9%)、NIEs諸国が3.4%(同3.5%)、ASEAN4カ国が4.3%(同4.3%)の予測結果となっている。

中国が2004年9.0%から1%減速する背景には、2003―04年中の中国引締め政策が2005年に浸透、NIEs、ASEANともにこの中国内需減速の影響を輸出面から受けるため。

この結果、東アジア全体の経済成長率は全体で5.6%と、前回見通しに比べ0.1%の下方修正を行った。

2004年は、まず中国が1-9月期までの高成長により9.0%(8月期予測8.7%)を達成することが見込まれ、この2004年7―9月期の中国経済の予想を超える拡大に牽引され、NIEs諸国が2004年4.8%(同4.4%)、ASEAN4カ国が5.2%(同5.1%)と、今次見通しでは2004年については、全ての地域において上方修正を行っている。

2005年の中国・東アジア経済は、2004年の高成長の反動により、減速の足を速めることが予想される。インフレ圧力が高まる中国が2005年中に再利上げを実施することになれば、中国の内需減速と周辺地域への影響はさらに拡大することが予想される。

II.中国経済減速が与える日本経済への影響
人民銀行が、再利上げにより2005年中に貸出基準金利が累積+1%引き上げられた場合の国内外への影響を試算した結果、次の結果が得られた。

まず、利上げの日本の企業収益への影響は、特に電子機器、自動車、鉄鋼・金属業界において大きく、各セクターの企業業績をそれぞれ3.7%、1.4%、1.9%押し下げることが示されている。

日本以外の国々では、近年、対中貿易取引が拡大傾向にあった韓国、ASEAN諸国の電子機器業界の収益悪化が顕著であり、それぞれ企業業績が1.4―1.8%悪化する試算結果が得られている。

III.日比経済連携協定が与える日本経済への影響
2004年11月末に日本―フィリピン両政府間で締結合意に達した日比経済連携協定は、日本が農産物自由化、労働力移動を協定内に含める初めての協定。

しかし、農林水産物の輸入は、パイナップル、モンキーバナナ、キハダマグロなど一部の輸入に留まり、看護士、介護福祉士の受入人数上限については、現在、両国政府間で協議されている。

試算結果では、2006年協定発効以降、資格取得者が年平均300名、3年間の資格取得準備就労者が年平均900名増加したとしても、2006-2020年累積で日本のGDPの押し上げ効果は最大0.007%と小さく、経済面での効果は期待できないとの結論が得られた。

また移入労働力が国内労働者をクラウドアウトすることによる所得面での影響も、この3つのケースでは極めて小さな影響に留まっている。

IV.東アジア共同体の展望
2004年11月のASEANプラス3首脳会議(ビエンチャン)では、2005年の東アジアサミット開催と、今後の東アジア共同体設立に向けた各国の協調が採択されている。

こうした状況を踏まえ、2004年春チェコ、ハンガリー、ポーランドが欧州共同体への加盟に用いられた経済収斂基準(コンバージェンス・クライテリア)を用い、東アジア主要国の経済収斂度がいかなる状況にあるのかを試算した。

結果を見ると、政府債務、財政赤字は、フィリピン以外の国々は、基準を満たしているが、消費者物価では6カ国中3カ国が、基準を満たしていない。

また金利については、短期金利を用いた場合には、6カ国中5カ国が基準をクリアしている。しかし、東アジアでは各国経済の成熟度が異なっており、例えばベンチマークとなりうる長期金利が存在する国が少ないため、EUの経済収斂基準を当てはめることができない。

したがって、東アジア経済統合に向けては、ひとつの金融政策を採用するEU型統合プロセスよりも、FTA、EPAを二国間で複数進めることにより、統合化の基礎を整備して行くことが現実的であると考えられる。

問合せ
株式会社三菱総合研究所
政策・経済研究センター経済研究チーム永野
TEL03-3277-5628
FAX03-3277-0521
nagano@mri.co.jp

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