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日産自動車/物流の効率化でCO2排出量削減

2005年10月02日/未分類

日産自動車(株)は、同社の2004年度における環境保全活動の実績をまとめた「環境報告書2005」を発行した。

物流に関する主な内容は下記のとおり。

CO2 排出量削減
サプライヤーとともに環境負荷を低減2004年度の物流におけるCO2の総排出量は、前年とほぼ同じで、約125万トン。

完成車や生産用・補修用部品の日本国内の輸送、及び国内港と海外港を結ぶ海上輸送(輸出入の輸送)における排出量。

日産は国内自動車メーカーでは最も広い範囲である、国内すべての輸送時でのCO2 排出量を把握し、残る海外における輸送のCO2排出量把握についても算出を進めている。

環境負荷の実態を着実に把握することで、具体的な改善につなげていくとともに、物流におけるCO2排出量削減への取り組みの重要性を、各国間・地域間で共通して認識していきたいと考えている。

しかし、現在の算出方法には課題もあり、現在のCO2排出量算出単位である「t-CO2/t・km」(2004年4月、環境省中央環境審議会による「貨物輸送機関の二酸化炭素排出原単位」)では、積載効率の向上によるCO2排出量削減の効果が反映できないということで、より実態を把握できる原単位を追求している。

物流時のCO2排出量
1,214(1,000t-CO2)2002年度
1,246(1,000t-CO2)2003年度
1,248(1,000t-CO2)2004年度

物流の効率化によるCO2排出量の削減
物流全体で効率化を図り、CO2 排出量を削減するには、部品メーカーや物流会社の協力が不可欠で、日産では、部品メーカーや物流会社から積極的にアイデアを受け付け、より一層の効率化を進める仕組みを設けている。

物流の効率化には、大きくは2つのアプローチがあり、一度に運ぶ量を増やして輸送本数を減らす積載率の向上と、トラック輸送から、CO2排出量の少ない船舶や鉄道に輸送手段を転換するモーダルシフトの推進。

積載率の向上
2000年から、日産は日本の自動車メーカーとしては初めて、日産が手配したトラックが部品メーカーをまわって必要部品を引き取る「引取輸送方式」を採用している(一部では複数の部品メーカーの混載輸送である、「ミルクラン方式」も採用)。

それまで一般的だった、部品メーカーがそれぞれ個別にトラックによる納品を行う「送り込み方式」に比べて、積載率が向上し、10トントラックで一日2,500台の納入があったものが、現在2,200台にまで削減された。

グローバルでは、中国でも引取輸送方式を採用、また今後はタイ等にも拡大していく予定。

部品を収める容器の工夫にも力を入れ、部品を効率的に収納するため、日産では55種類の容器を独自に開発し、空容器を戻す際は容積を減らせるように「折りたたみ式」も採用して、約10%積載率が向上した。

また、以前は試作部品の完成後に、部品の梱包形状(荷姿)の検討をしていたが、現在ではCAD(コンピュータによる設計支援ツール)を使用することで、設計段階で最も積載率のよい荷姿のシミュレーションを可能にしている。

2005年4月には、これを専門とする「ロジスティックス・エンジニアリング・グループ」を立ち上げ、より計画的に物流の効率化を図っており、複数の企業で共同輸送することによる物流の効率化にも取り組んでいる。

例えば欧州では、日産はルノーと部品の共同輸送を実施している。完成車輸送においては、以前よりルノーと英国-欧州大陸間で共同フェリー輸送を行っていたが、2004年1月からは、さらに他メーカーとも提携。行き帰りの便を相互に使用することで積荷を空にすることなく活用することが可能になった。

モーダルシフト
日本では、遠隔地向けの完成車及び部品の輸送を、トラック輸送から船舶による海上輸送へモーダルシフトを進め、現在では51%が海上輸送となっている。

しかし、船舶輸送では、内陸部にある各部品メーカーから船舶発着港まではトラック輸送を必要としている。そこで日産は、CO2排出量が船舶のさらに半分以下の鉄道輸送に着目し、関東-九州間において、各部品メーカーから九州工場に向けてトラックによって輸送していた部品(国内部品総取引額の約3%、取引量にして約0.5 %)を、鉄道コンテナ輸送に切り替えることを進め、2004年度中に完了した。

これは、同輸送量をトラックで輸送した場合のCO2 排出量を、約7割削減できるものと見込んでおり、今後は、関東-関西間での鉄道輸送の導入などを検討している。

クルマの発注は2~3月期に増えるという傾向があり、2005年の同期間に、上下段に各一台ずつのクルマを積載できる効率のよい2段式コンテナの専用列車「日産カーパック」を導入し、栃木工場から横浜本牧埠頭まで、計1,000台の輸出用スポーツカーを輸送し、今後も順次拡大を目指す。

連結子会社でも鉄道へのモーダルシフトの取り組みが広まっている。例えば部品メーカーのカルソニックカンセイ(株)では、厚木-広島間での部品輸送を従来の船舶輸送から、鉄道輸送に切り替え、月間16トンのCO2 削減効果を上げている。

廃棄物削減
廃棄物削減も物流の大きな課題で、部品は容器に収納され、パレットと呼ばれる荷台に積み重ねられて輸送される。日産では最終的には廃棄物となっていた従来の木製パレットに替え、素材をスチールやプラスチックなどに変更、早くからパレットのリターナブル化に取り組んでいる。

2001年からはルノーとのリターナブルパレットの共用化体制を推進し、ほぼグローバルで切り替えを完了しており、アジアでは中国などでも、リターナブルパレットを採用している。併せて、紙やビニールなどの緩衝材に関しても、使用の見直しをサプライヤーと検討している。

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