日立製作所は9月9日、組立型製品を対象に、総コストが最小となる生産計画を迅速に決定できる高速最適化技術を開発したと発表した。市況変化や為替変動などによる急激な需要の変化にも対応する。
同技術は、需要に応じた生産ラインにおける勤務時間の増減、稼働率の上昇や低下などの生産能力調整と生産品目・数量・日程を同時に決定するもので、大規模な最適化計算を簡略化する手法により、生産計画決定の迅速化を実現した。
リコーと共同で、同技術をリコーの複写機、プリンタなどの製品組立工場の生産管理プロセスに適用したところ、生産能力増減時のコストを抑制する生産計画の作成に要する時間を72%短縮できることを確認した。
情報機器などの生産ラインでは、需要に応じた生産ラインにおける勤務時間の増減、稼働率の上昇や低下などの生産能力調整と生産品目・数量・日程の生産計画を決定し、生産コストや在庫を適正に管理する必要がある。
従来は、生産計画業務における生産能力の調整では、生産品目・数量・日程をもとに工程別作業量を計算して必要な生産能力を求めるという方法が一般的だった。この方法では、急激な需要の変化に対して、頻繁に生産ラインの稼働率などを上下させる必要があるという計算結果となり、生産能力増減のコストが増大するという課題があった。
そこで、需要が変化した場合でも、できるだけ安定した生産能力で対応でき、迅速に生産計画の最適化を実現できる技術が求められている。
同社は、急激な生産能力の増減を抑制する条件と生産能力の調整コストや生産・在庫コストを考慮した、総コストが最小となる最適な生産計画を迅速に作成できる技術を開発した。
リコーと共同で、同技術を適用した生産日程計画システムを、リコーの生産計画作成業務にて評価した結果、生産能力増減時のコストを抑制する生産計画の作成に要する時間を72%短縮し、週次の計画作成工数全体を4.91時間から3.39時間に短縮できることを確認した。
今回の成果は、9月10、11日に開催されるスケジューリング・シンポジウム2010(主催:スケジューリング学会)で、リコー、日立が共同で発表する。