宇部興産は9月30日、タイの子会社であるウベケミカルズアジア社でカプロラクタム・ナイロンの生産能力を増強すると発表した。
中国をはじめとするアジア地区でのカプロラクタム・ナイロンの需要拡大に対応する。
需要拡大が続くカプロラクタムについては、2万T／年の能力増強を決めた。総投資額は約30億円で2011年12月に完工し、2012年1月から商業運転を開始する。増強によって、ウベケミカルズアジア社のカプロラクタム生産能力は13万T／年となる。
ウベケミカルズアジア社は、カプロラクタムを自家消費するナイロン6新設備の稼動開始にともない、外販量が減少するため、今回の能力増強によりカプロラクタムの供給不足へ対応するとともに、外販量減少をカバーする。
ナイロン6は特に中国をはじめとするアジア市場で順調な伸びを示しており、樹脂（エンジニアリングプラスチック）用・繊維用ともに旺盛な需要が続いている。同地域では昨年来、ナイロン6の大型重合プラントが相次いで立ち上がり、カプロラクタムの供給が足りない状況になっている。
インテークマニホールドなど自動車部品向けの需要が好調なナイロンコンパウンドについても、5000T／年の能力増強を決定した。2011年12月に完工し2012年1月から商業運転を開始する。増強により、ウベケミカルズアジア社のナイロンコンパウンド生産能力は1.1万T／年となる。
ナイロンコンパウンドの用途は、二輪・四輪車向けがほとんどであり、今後自動車生産台数の伸びが期待される中国・インド・東南アジア地区での需要伸長が期待される。
タイは同地域と自由貿易協定（FTA）を締結しており、宇部興産はウベケミカルズアジア社を拠点として地域の旺盛な需要に対応する。
建設を進めていたナイロン6樹脂の増設新設備（5万T／年）を10月から段階的に商業生産を開始する。同設備は、マプタプット工業団地や周辺地域（ラヨ－ン県）で起こされた行政訴訟にともない一時停止対象となっていたが、タイ中央行政裁判所が事業再開を認めたことを受け、当初計画より1年遅れての操業開始となった。
