(株)ミスミグループ本社は、中国(華南)、アジア(タイ)、欧州へ、QCT配送センター建設を中心とした総額約11億円の投資を行う。
同社は、中国(華東)、北米両地域共に今期中の単月黒字化達成を計画し、駿河精機との経営統合の効果を追求し、世界展開を本格化、次の成長エンジンとするために、チームの枠を越えた大規模な投資を行うもの。
これにより進出した国毎にミスミの戦略コンセプトである「ミスミQCTモデル」の確立を目指す。
「ミスミQCTモデル」は、カタログ販売を起爆剤として流通経路の抜本的変革をもたらす「フロントエンド革新」と、商品の標準化を起爆剤としてモノ作りの抜本的変革をもたらす「バックエンド革新」の両サイドにおいて、Q(品質)、C(価格)、T(納期)の競合優位性を築きあげ、かつフロントエンドとバックエンドを一体のものとして変革していくミスミの戦略コンセプト。
中国展開は、昨年12月中国無錫工業区内に「無錫ミスミ村」を形成し、日本の協力メーカー3社での現地生産を開始した。
FA戦略商品であるシャフト等9商品の現地生産を行い、中国国内販売において日本水準の品質(Q)と、低価格(C)、短納期(T)を実現している。
今期は、自動車産業が発達している中国華南地区にフロントエンドの拠点としてのQCT配送センターと、バックエンドの拠点としての広州工場を立ち上げるため、投資を行う。
ミスミ「QCT配送センター」
所在地:広東省広州市花都区美国工業区内
総床面積4,200㎡
今期投資額約1億円
稼動時期2005年7月
駿河精機広州工場
所在地:同上(ミスミQCT配送センターに隣接)
総床面積1,300㎡
今期投資額約1.5億円
稼動時期2005年7月
アジア展開は、昨年年率30%を越える高成長を実現し、タイ市場は、自動車生産を中心に今後も高い成長が見込まれることから、フロントエンドの拠点としてのQCT配送センターと、バックエンドの拠点としてのタイ工場を立ち上げる。
QCT配送センターでの戦略商品の在庫化による短納期・即納体制(T)や、タイ工場でのパンチ&ダイなどの現地生産による価格競争力の向上(C)を実現する。
ミスミ「QCT配送センター」
所在地:ラヨーン県イースタンシーボード工業団地内
土地面積7,100㎡
総床面積2,400㎡
今期投資額約2億円
稼動時期2005年10月
駿河精機タイ工場
所在地:同上(ミスミタイQCTセンターに隣接)
・土地面積11,100㎡
・総床面積2,800㎡
・今期投資額約4億円
・稼動時期2005年10月
欧州展開は、2006年から2007年にかけてドイツ、東欧においてミスミQCT配送センター、駿河精機欧州工場を建設する。
欧州市場はこれまで経営資源投入の優先順位は低く、事業規模は小さく抑えていたが、今期中国、北米市場が単月黒字化を計画し次フェーズへ移行するなか、今期より戦略モードへ転換し、先行投資を開始していく。
ミスミグループとして、世界第二の市場である欧州FA市場に、フロントエンドとバックエンド一体となって本格参入を図る。
ミスミ「QCT配送センター」
所在地:ドイツフランクフルト近郊にて選定中
総床面積3,000㎡規模
今期投資額約2億円
稼動時期2006年1月(予定)
駿河精機欧州工場
所在地:ポーランドグダンスク経済特区内
土地面積21,000㎡
総床面積2,600㎡
今期投資額なし(来年度以降に発生予定)
稼動時期2007年1月(予定)
北米展開は、前期FAインチ商品(インチ単位規格)を投入し、従来のカタログやDMなどによる「空中戦」や営業部隊の増員による「地上戦」などの営業戦略に加え、北米大手の設計ソフトベンダーとの協力関係を構築し3D-CADへの組み込みを行うなどの「電子戦」を新たに加え、積極的にフロントエンドでの展開を図っている。
前期は計画をほぼ達成し、2005年度内の単月黒字化を計画し、今期は、さらに現地での品質(Q)、価格(C)、納期(T)の競争優位性を向上させるため、2005年度投資額で約1億円を投資し駿河精機米国工場に設備を導入、バックエンドを増強し、ことし7月よりFA戦略商品の生産品目を一気に拡大する。