住友商事（株）の在タイ物流事業会社であるナワナコン・ディストリビューションセンター社（以下：NNDC）は、同社が入居しているナワナコン工業団地（バンコク市郊外パツムタニ県）内の保税地域（FreeZone、以下：FZ）にて同社6棟目の倉庫を新設し、オペレーションを開始した。タイでのFZ内倉庫の建設は国内初。
FZはタイ政府が海外からの投資促進を目的として2002年8月に施行した新制度で、現在、ナワナコン工業団地とハイテク工業団地内の2地域が指定されている。
FZの特長は税関直轄である点で、タイには輸出加工区（ExportProcessZone、以下：EPZ）と呼ばれる保税区域が存在するが、EPZは工業団地公社（IEAT）の管轄となるため、貨物搬出入時にIEATから承認を得る必要があり手続に時間がかかる（搬入：約3日、搬出：約1日）。
一方、FZは税関直轄のため当該手続が不要で迅速な貨物搬出入が可能なことから、日系企業を中心とする顧客からFZ内倉庫を待望する声が高まり、今回の新倉庫建設を決定するに至ったもの。
新倉庫はFZの特長を生かし、顧客ニーズに立脚したVMIオペレーションサービスを提供する。
同サービスの主なメリット
1．リードタイムの大幅な短縮
日本から部材等の貨物を輸入する場合、通常は発注から納入まで最短で約10日間を要するが、FZ内倉庫で保税保管されている在庫貨物をJIT調達できるため、リードタイムを1～2日間に大幅短縮できる。
2．自社工場内在庫、倉庫スペースの削減
必要な時に必要な分だけJIT調達できるため、自社工場内在庫、倉庫スペースを削減できる。
3．流動資産の削減、キャッシュフローの改善
自社在庫の削減により、自社の流動資産削減、キャッシュフロー改善が図れる。
4．一括調達による物流コストの削減
通常、貨物がコンテナ1本分に満たない場合は輸送コストが割増となるが、NNDCが複数ベンダーの小口貨物を一括調達しフルコンテナ化することで、輸送コストを削減できる。
新倉庫の概要
所在地：ナワナコン工業団地内FZ
敷地面積：20 000㎡
倉庫面積：4 000㎡
特徴：VMIオペレーション／コンテナ対応の高床式倉庫／税関吏常駐による迅速な輸出入通関手続
