商船三井は5月19日、三菱ガス化学と2023年4月28日に、メタノールと重油の二元燃料に対応したメタノール輸送船1隻の長期定期用船契約について基本合意したと発表した。
この船は韓国の現代尾浦造船で建造され、2025年に竣工予定。
商船三井が1983年に日本初のメタノール専用船「甲山丸（初代）」を三菱ガス化学向けに竣工させて以来、両社はメタノールの海上輸送を中心にパートナーシップを築いてきた。この船は国内荷主が長期用船する初のメタノール二元燃料船となるが、両社は本契約締結により、メタノールの海上輸送のさらなる発展を目指すとしている。
＜循環型メタノール燃料＞
メタノール燃料は、従来の舶用燃料を燃焼した場合に比べ、燃焼時の硫黄酸化物(SOx)排出量を最大99％、粒子状物質(PM)排出量を最大95％、窒素酸化物(NOx)排出量を最大80％、二酸化炭素(CO2)排出量を最大15％削減することができる。既に実用化されており、世界で主要な130港程度で供給・補油が可能。
多様な排出源から回収したCO2と再生可能エネルギーを利用して製造された水素を合成し生産されたeメタノールや、バイオガス由来のバイオメタノールなど、非化石原料由来のメタノールを活用すれば、排出されるネットGHG 排出量の更なる削減につなげて行くことも可能。
商船三井は世界最大級のメタノール輸送船隊19隻を運航しており、内、メタノール2元燃料船については2016年から運航を開始した。現在5隻のメタノール2元燃料船を運航しており、これら5隻のメタノール燃料による累積運転時間は、約3万5000時間に達し、GHG排出量を削減している。本年1月には、商船三井が保有する「Cajun Sun」でバイオメタノールを活用した世界初の Net Zero Voyageをパートナーと達成するなど、海運業界の先駆けとして環境負荷低減に取り組んでおり、海運業界が用いる代替燃料のサプライチェーン上における様々な取り組みも進めている。また、環境循環型メタノールストーリーを通じて、環境負荷の低減を掲げている。
■新造メタノール船仕様
載貨重量トン数：約4万7802トン
主機関：HYUNDAI-MAN B&W 6G50ME-C9.6-LGIM-EGRBP
