イオンネクストは、2023年から展開するネットスーパー「Green Beans(グリーンビーンズ)」専用物流施設「誉田(ホンダ)CFC」(千葉県千葉市)を公開。物流最適化を支えるAIロボットピッキングや、重労働作業をサポートするロボットを初披露した。
イオンネクストは、イオングループ初のネットスーパー事業会社。英国のOcado(オカド)とのパートナーシップ契約により、最新技術を搭載したロボットやソフトウェアなどを活用し、注文から配送までをワンストップで担っている。
配送エリアは東京23区、千葉、神奈川など首都圏を中心に展開し、登録会員数はスタート時の約1万人から60万人に増加。取扱品目は生鮮食品やチルド、日用品、医薬品など約3万8000以上に拡大している。
こうした需要拡大と業務効率化へのニーズに対応するため、誉田CFCでは最先端のロボティクスに加え、新たに2つの自動化ロボット「オングリッドロボットピック」と「オートフレームロード」を導入した。
誉田CFCは地上3階建て、延床面積は5.1万m2、常温、冷蔵、冷凍の3温度帯倉庫。自動倉庫では格子状のレールを走行する「ボット」と呼ばれるロボットが、CFC内のグリッド(商品棚)を移動しながら、注文に応じて必要な商品が入ったトートを、指定の場所まで運搬している。
新たに30台導入した「オングリッドロボットピック」は、ボットと連携しながら、顧客が注文した商品をピック&パックする。AIが、さまざまなサイズ・形状・重量・傷つきやすさを持つ商品を、その場で認識・判断し、袋詰めまでを行う。
グリッド(商品棚)上から商品を直接取り出すことで、従来人手で実施している場所の省スペース化と生産性の向上を実現。ピッキングの対象商品数は約3000品目から開始し、2025年度中に、約1万品目の商品をピッキングする見込みだという。
「オートフレームロード」は、配送直前の注文ボックス(トート)を、配送用フレーム(台車)に自動で積み込むロボット。今回、2台導入した。
この作業は配送準備の中でも特に重労働となっているが、画像認識カメラとAIにより、トートの形状や重さ、フレームの状態をリアルタイムで把握することで、ロボットが最適な位置に自動で積載する。これにより100~150人分の作業に置き換わり、また配送車への積載効率や重さのバランスにも配慮した設計となっているという。
既存のロボット設備についても紹介。入荷作業で使われていた「バキュームリフター」は、作業者の負担を軽減するためのハンドクレーン型バランサー。重い飲料ケースの入荷作業などに活用されている。
このほか、入荷商品の台車を2台搬送できるAGVや、1分間に50枚以上の袋をトートにかける自動袋掛けマシーンなども公開された。
■イオンネクスト誉田CFC最新ロボット公開
<左から、イオンネクストデリバリー野澤知弘社長、イオンネクスト バラット・ルパーニ社長、太田正道副社長>
同日、経営陣による事業方針発表会も行われた。このなかでイオンネクストの野澤知広副社長は、今後の施設計画などについても説明。
野澤副社長によると、現在ネットスーパー事業の配送を担うドライバーは約600名。7時~23時の間、顧客が指定する時間に1時間ごとの配送枠で商品を届けている。
特徴的なのは「デリバリークルー」と呼ぶ配送ドライバーは、全て自社の社員であること。誉田CFCへの入庫後、配送時も「Green Beans」専用トラックの冷蔵室内で温度管理を行い、鮮度を維持。CFCをハブとして中継拠点(スポーク)から顧客へ配送を行う、独自の「ハブ&スポーク」モデルで、徹底したコールドチェーンとタイムリーな配送を実現している。
なお中継拠点については、東京・平和島、川崎・高津など、現在9拠点開設しており、今年度中に14拠点に拡大する計画。
CFCについても、2026年には東京都八王子市に2棟目を開設、2027年には埼玉県久喜市に3棟目のCFCを開設する予定で、「埼玉のCFC出荷量は、ここ(誉田CFC)の倍近くになるだろう」と語った。
バラット・ルパーニ社長は「コールドチェーンが徹底していることは、どこにも負けないと思っている。今後、オリジナル商品の拡大、利便性の向上、配送エリアの拡大にフォーカスし、さらに改善を図っていきたい」とコメント。最新のAIとロボティクス×物流が実現する次世代型ネットスーパー事業は今後、ますます加速しそうな勢いだ。
■詳しい事業方針については流通ニュースを参照
イオンネクスト/ネット専用スーパー「Green Beans」開始2年で会員60万人突破