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経済産業省/ロボット産業に係る政策(21世紀ロボットチャレンジ)(案)への意見募集

2001年07月22日/未分類

経済産業省ではロボット産業の重要性に着目し、日本において成長の期待できる新たな産業の一つとしてとらえ、この分野が円滑かつ健全に発展するために必要となる政策の基本的考え方とその実現のための政策体系の概略を策定中。
政策体系を検討するにあたり、この案を公表し広く意見を募集している。
意見募集要項は下記の通り。基本的考え方(案)も要綱に引き続き掲載している。
意見募集対象
「経済産業省におけるロボット産業に係る政策の基本的考え方(案)~21世紀ロボットチャレンジ~」
募集期間
平成13年7月19日(木)~8月20日(月)
提出方法
経済産業省製造産業局産業機械課 ロボット政策担当あて
(1)郵 送:〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1
(2)ファックス:03-3580-6394
(3)電子メール:ohkawa-tatsuo@meti.go.jp
※ 日本語で提出。
※ 意見については、住所、電話番号及びファックス番号を除き、すべて公開される可能性がある。
※ 御意見に対して、個別に回答はいたしかねますので、その旨御了承ください。
経済産業省製造産業局産業機械課
担当:大川
電話:03-3501-1511 (内3821)
電話03-3501-1691 (直通)
経済産業省におけるロボット産業に係る政策の基本的考え方(案)
~21世紀ロボットチャレンジ~
平成13年7月
産業機械課
1.背景・基本認識
 我が国はロボットの要素技術であるセンサー技術、視覚認識技術、機構設計技術等の面でかなりの技術力を有するにもかかわらず、その応用分野については生産現場で使用されるロボット、アミューズメント用ロボット等一部にしか産業化まで結びついているものは見られない。こうした技術力を有しているにもかかわらず、これら要素技術の応用分野が広がっていないのは、技術を開発している研究者・技術者がシーズ指向であって、真のニーズに根ざした研究開発が少ないこと、また、従来のロボット産業に携わる企業に新規分野への意欲が少ないこと等によるものと考えられる。
 ロボットを「外部(内部)環境を関知し、収集された情報に基づき適当な物理的動作を行う機械システム」と定義すれば、既に「ロボット」は家庭生活(全自動洗濯機など)、公共の場(自動ドアなど)、産業活動(マニピュレータなど)をはじめ、様々な場面で様々な機能を提供している。一方、昨今の技術革新はいわゆるヒューマノイド型ロボットの実現・応用可能性を広げるとともに、一般の人々の間でも、新たな応用分野への期待(医療・福祉・介護、災害防止・救助、アミューズメントなど)も高まっている。
 ロボットは医療・福祉、危険な作業の代替、人が行えないような場所での作業、アミューズメント等、まだまだ大きな広がりを持つ可能性を秘めた技術分野であり、(社)日本ロボット工業会の報告によれば、2010年には約3兆円、2025年には約8兆円の市場規模も期待されるなど、優れたアイデアに基づく独創的な製品群が次々と輩出されることにより、市場が飛躍的に拡大する可能性がある。しかしながら、現在のところ、産業用ロボット以外の分野では、近年新たなロボットの応用分野として期待されている医療・福祉用ロボットや災害対策等の極限環境下での作業用ロボット、さらには家庭生活において用いられるロボットに関しては、世界的にもその開発・応用は進展していない状況にある。
 このような現状において、我が国は、既に産業用ロボットの分野において世界に冠たる技術的蓄積があるほか、世界的にもトップレベルの研究開発能力とそこから生まれた成果を実現するハード・ソフト両面における産業群が発達しており、今後のロボット産業の発展に果たすべき役割は大きい。また、ロボット分野の技術と応用のフロンティアを拡大していくことは、より潤いのある人間生活の実現と国際社会への貢献との両面において、極めて意義の大きな国家的事業であると位置づけられる。
 こうした状況に鑑み、経済産業省としては、我が国のロボットに関する優れた要素技術を活かし、実応用の先導的な事例が着実に蓄積されることにより、様々な分野においてロボットが産業として開花し、新規分野におけるロボット市場の拡大が期待されるため、こうした応用分野のフロンティアを開拓していくような政策が重要であると考える。また、将来的には、ロボット産業の発展の段階に合わせ、研究開発から実際のロボット活用の円滑化にわたる幅広くかつ体系的な政策を講ずることにより、新たな応用分野におけるロボット産業が、将来の日本の基幹産業の一つとして成長することを促進することが必要と考える。
2.政策の考え方
 我が国のロボット技術開発においては、大学等で開発された基盤的技術が実際の商用のロボットに応用されることが少ないという問題が指摘されている。また、既に国内に存在する産業用ロボットメーカーが、新規のロボット産業に進出しない背景には、
・ロボットの応用ニーズが不明確であり、今後の市場規模が分からない、
・現行の法律や安全基準等がロボットの活動を前提としておらず、人間と同一の空間で活動するロボットの商用化のためには制度的障害が大きい。
などの問題が指摘されている。
 このため、具体的な先導的応用分野を念頭に置いた実用レベルに近いロボット技術とそのシステム開発、多様なロボット開発の基盤となる要素技術の開発、新たなロボットの応用分野にチャレンジするベンチャービジネス等の支援、高いレベルでの研究と先端的応用分野の開拓を実現する物理的な研究インフラの充実、実社会におけるロボットの活用を円滑にするための制度・仕組みの整備といった社会的システムの構築などを、産学官の有するポテンシャルを十分に活用しながら一体的に推進していくことが不可欠である。
 具体的には、①ロボットの応用に係る国民の具体的ニーズの把握、②応用実証支援、③要素技術開発、④ロボットの普及のための制度・仕組みの整備、⑤開発インフラの充実、を総合的に行い、ロボットの実用化と需要喚起を行う。
(1)ロボットの応用に係るアイデアの発掘
ロボット関連企業及びロボット産業への新規参入企業が産業用以外の新規のロボット産業に参入しにくい背景には、一般の人々のロボットに対するニーズがはっきりしないこと、及び現在のロボット技術でどのようなロボットが実現可能であるか、また、ある機能を実現するのに必要な技術は何かが明確でないことにある。
このため、広く国民からロボットに対してどのようなニーズがあるかについてアンケート形式での調査を行い、社会に求められるロボットについて広く一般に示す。
(2)ロボット開発支援
①実用化支援
(1)により発掘されたロボット応用アイデア募集事業で集まったアイデアのうち周辺の技術開発により実現可能性のあるもので、特に政策的に推進する必要があるもの(経済波及効果が大きい、公共的応用の性格の強いもの等)に関して、実際の応用を念頭に置いた研究開発を行う。ロボットの応用可能性の広さとその実現によるメリットを社会全体に示すことにより、新たなロボットの応用分野が開拓され、更に市場への波及効果で実応用に取り組もうとする主体の活動を円滑化する。
<具体的適用分野>
 ロボットの応用分野は、大別するとA.人間の代わりに(a)危険な作業を行う(災害現場での救助等)、(b)効率的にあるいはミスなく作業を行う(製造工程の自動化等)、(c)人間が好まない作業を行う(廃棄物の分別等)、B.人間ができないことを行う(狭隘部の作業等)、C.人間の動作・作業をサポートする(モビルスーツ等)、D.AからCに整理されないまったく新たなロボットの応用分野(癒し効果や愉しみ等)に整理できる。こうした分類ごとに、先導的かつ技術的にも波及効果の高い具体的な応用事例を設定し、集中的な資源配分と産学官の開発サイド及びユーザの知恵の結集の下で、新たな応用分野の開拓を推進する。
 具体的な応用分野の事例としては、
A(a)災害救助ロボット
A(b)事故の起きない「自働車」
A(c)全自動アイロン掛け機
B健常者同様に移動できる「車椅子」
C人体装着型モビルスーツ
D幼児をあやすロボット
等があげられる。
②要素技術開発支援
より高度なロボットの実現のボトルネック的な障害になっている要素技術について、開発の支援を行う。
具体的には、(1)センサー関係技術、(2)知識情報処理、(3)動作制御技術、(4)動作機構、(5)実用化技術、に係る技術開発を提案公募型により推進する。
【センサー・認知・判断関連技術】
・センサー技術(例えば超高分解能視覚、超高感度音・臭いセンサー、生命反応センサー)
・センサー搭載技術(能動内視鏡など)
・実世界情報の分析・理解技術
・危険状況察知及び警告技術
など
【制御関連技術】
・不整地・障害物踏破技術
・通信網、GPSなどを用いた半自律運転技術
・安定走行技術
・遠隔操作技術
・自動情報蓄積システム
・学習・判断機能実現技術
・通信遅れ補償リアルタイム遠隔制御技術
・分散機能の分散協調制御技術
・行動計画知能
・人体装着型パワーアシスト制御機構
・人間-ロボット、ロボット-ロボット協調作業制御技術
など
【機構設計・構築関連技術】
・高機能・大出力・多自由度アクチュエータ開発
・少アクチュエータ機能設計技術
・脚・車輪ハードウェア設計技術
・バッテリー高密度化技術
・構造部材の軽量化技術
・人間への情報提示技術・ヒューマンインタフェース技術
・人間に優しい材料技術
・モダリティーを制限された使用者向けヒューマンインタフェース
など
【実用化技術】
・耐性標準規格・試験技術
・安全基準に係る標準技術
・使用者の安全性確保技術
・制御ソフトウェア信頼性検証技術
・人の持続的な関心を誘起する行動要素に関する研究
・ユーザモデル生成と適応化技術
など
(3)ロボットの応用を支援する制度整備
 ロボットの普及のためには、技術的ブレークスルーが必要なだけではなく、社会がロボットを身近に受け入れやすい制度整備を行わなければ、ロボットの需要の増加は見込めない。そのため、以下のような制度整備を行う必要がある。
・ロボットについての会計・税務処理上の基準、ロボット安全基準、ロボットの使用等に係る国際標準等を定めることにより、ロボットが新たな分野において普及するための基盤整備を行う。
・法律、社会制度等によりロボットの使用が制限されるであろう分野(医療、福祉、介護保険等での取扱、エネルギー関係等)に関し、ロボットが活用されるよう制度整備を行う。
例)
・安全基準の策定
・活用実態に即した償却年数の設定
・ロボットの活用の制約となるような関連法規の整備・改善
(4)開発インフラの充実
ロボットは前述のようにセンサーやアクチュエーター等を組み合わせることにより成り立つが、その開発のためには、各要素毎に高度な知識と研究設備が必要不可欠であり、またロボット特有の設計に関する知識と応用実験が必要となる。このため、大学・国立研究所等を中心として、ロボットに関する研究施設の整備を推進することが重要である。また、優れたアイデアを形にするロボットファウンドリーの整備を行う必要がある。
また、実践的なロボットの設計・加工技術の習得が可能なカリキュラムの構築と学科の整備を進める。
(5)将来的な課題と政策
将来的に、ロボット産業が進展し、商業ベースでのロボットが普及し始めた時点においては、その発展の段階に合わせ、ロボット産業の市場の拡大を後押しする政策を行う必要がある。
①官公需によるロボット需要の喚起
産業の黎明期にあって、市場が未成熟な場合には行政自信が購買主体となり、ロボットの市場の成熟を助けることが重要であると考える。病院や公民館・各種役所内での公益性の高い分野でロボットを活用することを検討する。
②ロボットに対するパブリックアクセプタンスの醸成
ロボットが社会に浸透し人間と同じ空間で活動するためには、社会全体でロボットに対する理解を深めるため、自動車の交通マナーのようにロボットを使って行う活動に関するマナーの定着、ロボットが安全に活動するためにロボットにしてはならないことの整理とキャンペーン等によるその広報、などを行う必要がある。

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