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商船三井/船舶性能解析システム完成、安全運航支援

2001年11月18日/未分類

(株)商船三井は、ITを活用した安全運航を支援する船舶管理システム「TOMAS (Total Management System)」の構築に取り組んでいるが、『アブログ報告システム』『アブログ・データ解析システム』『ヌーン・リポート解析システム』の3システムが完成した。これにより、船の性能把握を目的としたシステムは全てが揃ったことになりる。
同システムは、運航船のより安全で、より効率的な運航を船上や陸上の船舶管理の現場で追求する海上従業員(機関長集団)がそのノウハウを生かし独自で開発したもの。
これら一連のシステム構築は世界でも類は無く、同社の運航管理業務の効率化を実現し安全運航に大きく寄与するものであり、運航サービスの質を、より一層向上させる。
同システムは、船からのデータ送信と性能解析までを体系的に結びつけ、船の運航・保全管理の適正化、およびグループ内での管理技術の蓄積と運航船へのフィードバックまでを実現するもの。
システム概要
1)アブログ報告システム、アブログ・データ解析システム、ヌーン・リポート解析システム
船の性能を把握する3システム共通の特徴
①全てのシステムが汎用コンピューターにプログラムをインストールするだけで船種・船齢・主機型式・内航・外航を問わず適用可能である。
②500隻にものぼる同社運航船の性能解析を迅速且つ定常的に行える。
③高額な設備投資を必要とせず、既存船にも容易に適用可能である。
2)3システムの性能
アブログ報告システム:航海日誌の要約版を電子化したもの。従来郵送で報告していた内容を電子化し、E-MAILで瞬時に報告する。
アブログ・データ解析システム:アブログ報告システムで報告されたデータを自動的に解析する。
ヌーン・リポート解析システム:E-mailで毎日報告されるヌーン・リポート(船舶の位置やスピードなど船舶の運航状況)を自動的に解析する。
3)TOMAS(Total Management System) の今後の取り組み
 TOMASシリーズは、上述の船舶性能を把握するシステムのほかに、メインエンジンの性能を把握するシステム、燃料油や潤滑油を管理解析するシステム、保全記録管理と保全計画を立案するシステムなどで構成し、これらをTotal Management、すなわち包括的に運用管理することにより、より厳密により合理的に船舶の安全運航を支援する。
1996年から自力開発に着手し、1999年に運用を開始、適用船の拡大をはかってきた。現在、4つのシステム(上述の3システムと保全記録管理/計画システム)が稼働しているが、メインエンジン性能解析システムや潤滑油管理・解析システム等の開発作業を行っており、それぞれ年度内完成を目指している。
アブログ報告システム(1999年稼動開始)
1.概 要:
アブログ(ABLOG)とは「ABSTRACT LOGBOOK」の略で、航海日誌の要約版。寄港地名、入出港日時、航海時間、船の位置、速力、燃料・潤滑油、停泊期間、機関運転データなどの船舶の動静を記録し一航海毎に船から提出されるのがアブログ報告書。本システムは煩雑であった従来の紙によるアブログ報告書を電子化した。
2.特 徴:
このシステム導入により以下のような業務の効率化を実現。
(1) 従来手書きで作成していたアブログ報告書を電子化することにより、E-MAILでの送受信を可能とし、陸上のコンピューター端末でアブログを閲覧できるようになった。また陸上でのデータベース化をも容易とし、全運航船に対する迅速なアブログデータの解析を可能にした。
(2) 計算機能を備えており、万一入力・計算ミスがあればエラー表示するため、乗組員による正確なアブログ作成を可能にした。
(3) 各データの傾向値(トレンドグラブ)も表示することで機関の運転状態の把握を容易にした。
3.適 用:グループ保有船に登載済み。現在、全運航船に設置範囲を拡大中。
アブログデータ解析システム(2001年10月末完成)
1. 概 要:
上記のアブログ報告システムが軌道に乗ったことで、データデース化が容易となったことから、陸上オフィスのコンピューターにおける自動解析システムを構築したもの。本システムを各船舶管理会社に導入することにより、次の運航状態把握作業を容易にする。
(1) 船舶が適正な主機の出力・速力・燃料消費量を維持しているかの監視。
(2) 船体や主機の経年劣化を把握して、保全状況を評価し、適正な保全を実施する事による燃費削減。
(3)主機・プロペラ・舵の故障、燃料性状に起因する燃焼障害など異常のモニタリング。
(4)事故発生時の迅速な原因調査と対策立案を行うための分析作業。
2. 特 徴:
(1) 排水量や気象、季節、海域等の条件を細かく指定することができるため、より複雑で多岐にわたる解析が可能。
(2) 一航海だけの短期間の解析、ドックから次のドック、あるいは竣工から現在までの長期にわたる解析など、幅広い条件での解析が可能。
3.適 用:年度内にグループの船舶管理会社に設置し運用開始する。
ヌーン・リポート解析システム(2001年10月完成)
1. 概 要:
船舶が安全に問題なく運航されているかに関する陸上オフィスにおける確認は、上述のふたつのシステムで行っている。しかし、アブログ報告書の作成・提出は一般的に航海毎という制約があるため、情報量と内容は十分でもリアルタイムでの船舶の運航状況を把握することはできないという欠点がある。この欠点を補完するため、E-mailで届く「ヌーン・リポート」( 本船の位置、スピード、エンジンの回転数、一日の燃料消費量、一日の航海距離、気象などの動静報告)のデータを、着信と同時に自動的に解析するシステムを開発したもの。
本解析システムにより次のような運航状態把握の作業を容易とした。
(1)船舶が適正な主機の出力・速力・燃料消費量を維持しているかの監視。
(2)主機・プロペラ・舵の故障、燃料性状に起因する燃焼障害など異常のモニタリング。
(3)新造船処女航海時のパフォーマンス把握。
 (4)船舶の位置とスケジュールの変化をチャート上に表示し、管理船の動静確認。
2.特 徴:
毎日船から送られてくるヌーン・リポートのデータを自動的に解析することから、現状の運航状態を陸上オフィスでリアルタイムに把握できる。
3.適 用:グループ保有船を担当する船舶管理会社に設置、順次運用を拡大している。
今後社外への販売も行う。

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