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国土交通省/都市圏間における効率的で環境にやさしい物流体系の構築に関する検討会

2002年03月25日/未分類

国土交通省は、1月18日及び3月4日に都市圏間における効率的で環境にやさしい物流体系の構築に関する検討会 を開催したが、その検討内容について公表した。
検討会名 : 都市圏間における効率的で環境にやさしい物流体系の構築に関する検討会
目的 : 温室効果ガスの削減等の環境対策の観点からは、都市圏間における幹線物流を対象とした物流効率化施策等を継続的・体系的に講ずることが必要である。このため、環境負荷低減型の幹線物流システムの構築に向けた有識者(学識経験者、荷主関係者、物流企業関係者等)による意見交換を行うことにより、今後の適切な物流政策の立案に活かす。
構成員
座長 加藤 俊平 東京理科大学教授
委員 中泉 拓也 城西大学非常勤講師
松本 忠雄 花王(株)取締役ロジスティクス部門統括
田村 修二 日本貨物鉄道(株)取締役営業推進本部長
髙松 勝三郎 オーシャン東九フェリー(株)常務取締役営業企画本部長
田村 周三 川崎近海汽船(株)取締役内航第二部長
島村 勝己 日本通運(株)業務部長
事務局 大庭 靖雄 国土交通省政策統括官付政策調整官(物流担当)
(第1回)議事要旨
平成14年1月21日(月)14:00~16:00
国土交通省内会議室
主な議論の内容
環境への関心が高いと言っても、環境負荷低減だけを理由としたモーダルシフトは普及が困難であり、経済負担が少なくなるなどメリットがないと進展しないのではないか。
産業競争力を落とすことなく環境負荷が低減されるような仕組みが必要である。
一般的に海運や鉄道は、トラックよりも労働生産性が高いにも関わらず、トラック運賃の方が安いというのが現実。海運・鉄道のコスト競争力を高めることにより、結果として環境負荷の低減が実現されることが望ましい。規制緩和や制度の見直しなど小さな施策の積み重ねにより格差縮小が可能ではないか。
炭素税の議論もあるが、やはり痛みを伴う施策も検討の必要があるのではないか。例えば、その税収を環境に優しい交通機関の充実に当てるという手もあるかも知れない。
環境負荷低減は市場に委ねるだけでは進まない。インセンティブ付与など行政が政策的誘導を行う必要がある。
また、海上輸送の関係の制度も足かせとなっている部分があり、何らかの政策的対応が必要ではないか。
港湾を用いたモーダルシフトについては、施設を整備するだけでなく夜間のセキュリティコスト等ソフト面も充実させる必要がある。これは事業者では負担しきれない。
モーダルシフトの今後のターゲットとなりうるのは、既に取り組みが進んでいる長距離ではなく中距離と考えられる。ただし、時間やコストの問題、顧客ニーズに合わせて少量でも必要な時間に輸送しているという商慣行もあり、中距離のモーダルシフトは長距離と比較して大変難しく、積載率の向上も進みにくい。
鉄道は、積載効率の向上や貨物列車の連結両数の増加、運行頻度の増加などにより輸送力の増強が可能。顧客の利用距離帯別などニーズの差異・特徴を的確につかみ、環境負荷の低減につながる物流サービスを提供する必要がある。
荷物の小口化が進む一方で、トラックは大型化しつつあるなど、大量輸送機関としての海運、鉄道のメリットが失われつつあるのではないか。
エネルギー消費量削減に向け、輸送コストと輸送時間の代替の可能性を検討することが必要。消費者の側から見れば、運賃は商品コストの一部であり、サービスの一環と捉えられる。このため、コストを半額にする代わりに輸送時間を半日遅らせるという議論も現実的には難しい。
(第2回)議事要旨
平成14年3月6日(水)10:00~12:00
国土交通省内会議室
主な議論の内容
規制により安全性が確保されている一方で、過度な規制はチャレンジ精神を阻害する要因ともなり得る。外航海運は、外国人を登用するなどにより低コスト化を図っている一方、内航海運は、チャレンジ精神が失われている。
モーダルシフトを進めようという動きがある中で、貨物をプールする両端のヤードの整備が問題となる可能性がある。港湾関連用地等の確保については、事業者だけでは対応が難しい。
海運業界においては、規制緩和が進む中、共同運航、共同配船や後背地の施設の共同利用等によりコストを削減する一方で、サービス水準を高めるための努力を進めていかなければ生き残りは難しい。
モーダルシフトをはじめとする環境負荷低減の取り組みは企業のイメージアップにつながるため、積極的な姿勢を見せている荷主もいる。
物流では市場原理が優先されるので、モード間に運賃の差がほとんど無い現状ではモーダルシフトは進まないため、より踏み込んだ施策の検討が必要ではないか。
荷主の立場としては、輸送はフォワーダーに任せるため、海運事業者や鉄道事業者の方と直説話をする機会がない。事業者の方からの積極的な営業活動があれば、モーダルシフトのきっかけになるかも知れない。
現状の制度もコストを上げる要因となっているものがある。政策的対応が必要。現状の仕組みでは新規参入もどんぐりの背比べであり、過当競争を起こしている。大手の資本力による寡占化はあっても、運賃の低下は期待できないかも知れない。
自治体によってモーダルシフトに取り組む意識に差があり、税制など格差が生じている。自治体の意識も高めていくことが重要だ。
労務管理が厳しい海運業界はトラック業界に太刀打ちできない。モーダルシフトを進めるには、むしろ単価が同レベルとなるような仕組みが必要である。
トラック業界においても、きちんと労務管理は行われているものの、例えば雇用主兼労働者である個人のトラックドライバーについては過度に働いてしまうケースもあるかもしれない。こうした事例は業界の標準ではないが、業界の低コスト化には結果として影響を与えている。
内航海運については、モーダルシフト船はごく一部となっている。今後の積極的な導入を期待したい。
環境問題に高い関心を持っているメーカーは多い。工場内のCO2の削減だけではなく、物流部門においての取り組みが評価される仕組みも必要だろう。表彰されることも大事だが、それだけではなく、税制面での優遇措置や、補助金などのインセンティブを付与し、各社の物流コスト削減を促していくことが必要ではないか。
事務局側
それぞれの立場から率直なご意見を頂けたことに感謝したい。
モーダルシフトについてのこれまでの取り組みは、関係者の努力もあったが、進捗はあまり芳しいものではない。今回、物流業界のCO2削減という明確な目標が打ち出され、従来とは異なる角度で民と官、物流事業者間がパートナーとして協力することが求められている。
規制緩和の議論は、従来の進め方についての議論から一歩進み、緩和が進むことにより発生し得る新たなサービスを検討する段階を迎えている。こうしたサービスが、物流業界全体の活性化、ひいてはCO2の削減へとつながることが期待される。今後は実証実験等もあり、大いに知恵を出し合い、議論を続けたい。

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