国土交通省/イノベーション推進大綱中間報告

2007年02月26日 

国土交通省は、国土交通分野イノベーション推進大綱中間報告を公表した。

報告は、昨年10月以来、①ヒト・モノ・クルマの流れの円滑化、②安全・安心で豊かな生活環境の実現、③地域の活性化の推進、④社会資本整備・管理の効率化の、ICTのポテンシャルを発揮する余地の大きい4分野を中心に、省内はもとより民間からも幅広く施策やアイディアを募集し、国土交通分野におけるICT化の長期的可能性について検討を重ねてきた結果を中間的に整理したもの。

なお、民間提案は72社から合計160件あった。

今後は、5月の最終とりまとめに向けて、国土交通分野の将来像と今後の戦略としての具体的なICT化プロジェクトの内容をさらに充実していくとともに、国土交通分野のICT化を進めるための社会インフラとしての共通基盤の構築のあり方、その他の検討すべき課題等について、議論を進めていく。

中間報告の物流分野の内容
効率的、安全で環境に優しい物流の実現
国際競争の激化や米国同時多発テロ、京都議定書の発効など物流を取り巻く環境は大きく変化しており、それに伴い物流コスト・リードタイムの低減、セキュリティ確保及びCO2削減が物流をめぐる主要な課題となっている。

このため、効率性、安全性及び環境調和の各観点から、物流に関する技術・制度のイノベーションを行い、効率性・セキュリティ確保・環境調和を同時に実現する物流を実現する。

(1)国際競争力を支える効率的な物流の実現
国際競争の激化に伴う物流コスト・リードタイムのさらなる低減の要請や消費者の物流ニーズの高度化・多様化に対応するため、物流の一層の効率化が必要となっている。このため、荷役業務・貨物管理業務の効率化や物流に係る手続の効率化等により、物流の革新的な効率化を図る。

①貨物の位置・管理情報把握の効率化及びリアルタイム化
個々の貨物情報の把握について、これまでは各貨物の伝票をハンドリーダーで読み取り、必要なデータを情報の紐付け等行いながら入力するなどの煩雑な業務を要してきたが、電子タグ等を活用し、貨物の位置・管理情報の把握・確認の効率化を図ることで、大幅な荷役業務・貨物管理業務・出入管理業務の効率化、関係者の情報共有の円滑化を図る。また、貨物の位置・管理情報のリアルタイムな提供を可能とすることで、荷主や物流事業者の利便性を高める。

②貨物管理システムの高度化
情報技術を活用した貨物管理システムが活用され、輸送力の最大利用や貨物管理の効率化が図られる一方で、物流ニーズの多様化や高度化が進み、荷役業務・貨物管理業務の増大・複雑化が進んでいる。このため、貨物管理システムを高度化し、荷役業務・貨物管理業務の一層の効率化を図る。

③輸出入・港湾関係手続の簡素化、効率化及び電子化の促進
輸出入・港湾関係手続については関係するシステムが多く、システム間の連携も十分でない。また、一部電子化されていない手続もあり、利用者にとって真に使い勝手の良いシステムとなっていない。
このため、輸出入・港湾関係手続の簡素化、効率化及び電子化の促進により、国際貨物輸送の効率化、官民トータルの物流コストの低減及び利用者の利便性向上を図る。

④都市内物流効率化のためのシステムの構築
ヒト・モノ・クルマの流れに関する様々なデータを収集・蓄積し、リアルタイムな提供を可能とすることで、その時の状況に応じた最適なモノの流れを選択可能とする。また、蓄積されたデータを活用し、土地利用計画やまちづくりとも整合のとれた都市内物流のシステムを構築することにより、効率的な物流と良好な都市環境を確保する。

(2)物流におけるセキュリティ・安全性の確保の実現
米国同時多発テロ以降、物流におけるセキュリティ確保の要請が強くなってきており、また、ジャストインタイム等の物流ニーズの高度化により、時間厳守が要請される輸送事業者の安全確保が課題となっている。このため、リアルタイムな貨物への不正アクセスの把握の実現、危険物管理の高度化、貨物輸送におけるヒューマンエラーの低減等を図ることにより、物流のセキュリティ・安全性の確保を実現する。

①貨物の位置・管理情報把握の効率化及びリアルタイム化(再掲)
国際貨物のセキュリティ確保の要請が強まるなか、貨物をどのように管理・監視してセキュリティレベルの維持や危険な貨物の把握を行うかが課題となっている。このため、国際的なセキュリティ対策の動向を踏まえつつ、貨物の位置、状況及び貨物への不正なアクセス等の正確かつリアルタイムな把握(国際的なトレーサビリティの確保)の実現や電子タグの活用等によるコンテナ内の危険物の管理の高度化を図ることで国際物流のセキュリティの確保を実現する。

②貨物輸送におけるヒューマンエラーの低減
貨物輸送における事故の防止策として、これまで、事故防止意識の高揚(事故防止教育)等取り組んできたが、人間の集中力・注意力には限界がありヒューマンエラーの発生リスクは否めない。このため、情報技術を活用して、人間の注意力に対する支援や、今後我が国が直面する労働人口減少をもにらみ安全性を確保する省力化技術開発・普及を行い、ヒューマンエラー発生のリスクを低減する。

(3)環境と調和した物流の実現
これまで、物流部門ではモーダルシフト等CO2排出量の削減に取り組んできたところであるが、京都議定書の目標達成の約束期間である2008年~2012年まであと1年と迫る中、確実な目標達成には一層の取組が必要となっている。このため、省エネ技術の開発の促進や都市内物流効率化のシステムの構築等によって、物流の革新的なグリーン化を図る。

①省エネ技術の開発
世界有数の海運・造船国の我が国にとり、船舶の燃費・環境性能の評価技術の確立による効率的で競争力があり、かつ環境に優しい海運システムの構築は急務の課題である。このため、シミュレーション技術、衛星利用情報通信技術の活用、運航・海象データの解析・蓄積等を通じた船舶の燃費・環境性能評価技術を確立する。また、燃費と排ガス性能の表裏一体性を考慮し、技術開発を進める上で環境省等との連携を図るとともに、市場への新技術の普及促進のため、民間事業者の技術開発・技術導入への公的資金・技術支援を推進する。

②都市内物流効率化のためのシステムの構築(再掲)

③旅行荷物総合管理・運送システムの構築
旅行者にとってその時々に必要なもの以外の荷物の携行は、その肉体的な負担だけでなく、盗難等の心配といった精神的な負担も発生させることから、荷物にICタグを貼付し、そのタグに旅程を登録した上で運送業者に運送を依頼できるようにすることにより、荷物が指定の時間に指定の場所へ自動で運送されるシステムを構築し、「荷物のバリア」の解消を図る。

国土交通分野イノベーション推進大綱中間報告
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha07/01/010223/02.pdf

■民間提案一覧(物流分野)

・NTTデータ
東アジア圏内での総合的物流情報基盤の構築
ソフト面の物流情報基盤(港湾手続き・CIQに必要なデータ等の表現方法や、国内のトレー
サビリティシステムの海外への応用)を国が構築し、さらにそれを東アジア各国で共通化する
ことで、サービスが飛躍的に向上

データフラット化する国際海上物流について
①荷主、物流事業者間の物流関連情報を共有する「貿易・物流情報ネットワーク」の構築、
②コンテナ貨物をトラッキングするためのRFID等次世代デバイス開発、国際標準化等を通じ、「コンテナ貨物のトラッキング・ネットワーク」の構築
③港湾物流業務の情報化・自動化の推進
④コンテナセキュリティデバイスの開発、国際標準対応
を通じ、港湾物流情報統合プラットフォームを構築。物流を革新的に効率化・セキュリティ対策の向上

・日通総合研究所
小口貨物の拠点間自動搬送システム(東-名-大)
自動搬送ターミナルに集められた小口貨物が主に高速道路空間を自動走行するミニキャリアにより送り先の自動搬送ターミナルへ無人配送される集配システム

最適輸送ルート選択システムの開発運用
貨物輸送区間、ロット、リードタイム等によって最適な輸送ルート(輸送企業)を選択するシステムを作り運用し、インターネットで広く利用する。

「求車定温車求貨システム」
現状、殆ど片道だけとなっている定温輸送について、輸送区間・輸送数量・温度範囲をマッチング条件としたシステムを構成する。

物流EDI基盤の開発運用
荷主側と輸送企業側がアクセスできる物流EDI基盤を開発し、出荷オーダーの効率的な情報交換を運用する

物流におけるRFID利用を促進する中継器の開発
ロール・ボックスパレットにRFIDを取り付け、積載・取卸を記録して外部センサーに送受信する中継器を開発する

・日本アイ・ビー・エム(株)
物流イノベーション
①トラックや海上コンテナにRFIDやセンサーを取り付けることにより、貨物の動きを把握
②物流事業者からの求貨情報を収集
③これらの情報を統括するデータセンターを設置
することにより、
①全国規模の輸送最適化が可能に(物流版乗換え案内サービス)
②最適化シミュレーションを行うことにより、効果的な環境税や補助金を設定
③環境負荷が低いモード選択が真に経済的となるコスト構造を作ることが可能になり、経済性と環境負荷低減が両立する社会に

・日本オラクル(株)
つなげる・つながる社会
全ての乗り物と携帯電話の位置情報と時間を全国規模で一元管理し、活用する。

アドバンスト物流プラットホーム
無線ICタグを活用したサプライチェーンビジビリティによる物流コストの削減、在庫の最適化を目的とする国家レベルでの共用インフラストラクチャーの構築

・日本郵船/MTI
物流分野における日本発グローバルスタンダードとなる技術の開発
Step①3次元/高度情報化住所番号の制定⇒個人情報保護、物流サービス高度化など
Step②動いているモノの順番を管理する追認物流技術⇒製造業のコスト競争力向上/モーダルシフトの促進など
Step③動いているモノをを認証し活用する技術⇒動産を担保とした金融サービスなど
Step④知らないヒト同士がモノをやりとりする「スーパーシェアリング技術」の確立⇒モノを大切にし、お金がなくともモノを利用できる新しいコミュニティーの創出

・H・AGV・N(Highway Automated Guided VehicleNetworkSystem高速道路を無人搬送車によるネットワークシステム)研究会
「モノを運ぶため、何故人も一緒に移動するのですか?」
情報は瞬時に世界を駆けめぐるのに、モノを運ぶときいつも必ず人がついていないと移動できないのでしょうか?高速道路や大都市の線路上空を何故もっと有効活用しないのでしょうか?→ハイウエイネットワークシステムの構築
・ロジスティクスシティ(新しいトラック等のターミナル)の構築と高速道路内をUターンまたはループする方策
・航空、港湾、大規模建物、駐車場、駅舎等と高速道路の直結し、モノの輸送や生活の向上
・駅舎や線路等上空に階層型シティ(街)を構築
・高速道路の半自動運転化
・東アジア圏との物流一体化、高速道ノンストップ化の為の自律

・富士通
国際貨物のセキュリティ確保に向けた日本版リアルタイムコンテナ監視システムの構築
電子シール、センサーなどの技術開発と、コンテナのリアルタイム追跡を行うシステム開発を行うことにより、東アジア・ASEANを含めたセキュリティインフラを構築し、物流セキュリティの強化を図るとともに、物流オペレーションの効率化を支援する。

東アジア国際静脈物流プラットフォームの構築による円滑な資源循環の実現
リサイクル品輸送・処理情報の電子化や処理業者の認定・認証など、東アジアにおける静脈物流のプラットフォームを構築し、円滑な資源循環を促進する。

モーダルシフトの加速化へ向けた最適輸送ルート選択システムの構築とグリーンポイント制度の導入
輸送事業者が環境に最も優しい輸送モードを選択できるシステムを構築し、同システムにおける環境貢献度をポイント化した制度を導入することにより、モーダルシフトを促進する。型ICタグ標準化・共有化
・トラック等上面のソーラーパネル化、道路側壁等の緑化

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