国土交通省は6月27日、東海道線・山陽線においても従来以上に貨物の受付が可能となる対策を進めるため、潜在需要・輸送力の活用・増送、輸送枠の取りやすさの実現に向け、荷主企業への利用を図る調査を実施し、その結果をとりまとめた。
具体的には、実証実験(実証的データ収集・分析)を実施し、予約状況の推移と輸送実績のデータなどから輸送力のギャップ発生の原因等を抽出・分析することを通じて、輸送枠の取りやすさや積載率向上等を可能とする方策を検討した。
課題を整理すると、鉄道輸送には荷主企業、利用運送事業者、JR貨物など多くの主体が関与しており、リスクを回避するために輸送枠を押さえておこうとする傾向があった。
例えば、実験対象となった平日の東京ターミナル~福岡ターミナル間直行の輸送枠は、1週間前の予約開始から早い段階で予約が満杯の状態となり、これが出線直前まで継続し、出線直前にキャンセルが多く発生するものの、直前であることから余席の利用困難といった実情が浮かび上がった。
このため、東海道・山陽線全線(東京タ~福岡タ間)の全輸送力のうち、上記の東京タ~福岡タ間直行
の輸送枠の設定は全輸送力の1~2割程度で、平日以外は、より大きな輸送余力が発生していた。
裏づけとなる東京タ~福岡タ間全線の積載率は、下り・全日:6割程度、下り・純平日:7~8割程度、上り・全日:5割程度、上り・純平日:6割程度に留まる結果となっていた。
こういった状況を改善する弾力的な輸送システムを実現する解決策として、予約開始から出線までの時間軸の中で、荷主、利用運送事業者から出来る限り精度の高い情報の迅速な入手体制の構築とJR貨物の予約情報等のフィードバック体制構築が必要である。
また、荷主ごとや利用する駅ごとに、荷主の実情に応じたきめ細やかな情報を利用運送事業者とJR貨物が連携して収集・蓄積し、今後の情報提供や輸送商品の開発に役立てていく必要もある。
直ちに着手する策として、商品としての「輸送ルート」の充実、予約前の事前情報の収集などのための工夫、事前情報に基づく供給輸送力の柔軟な調整、前広な輸送ルート調整などの運用改善をあげている。
あわせて、事前の荷主別・駅別の台帳の整理・活用の仕組みづくり、利用運送事業者の機動的輸送力の向上(集配力向上の工夫)も提言している。
■詳細な内容は下記URLを参照。
http://www.mlit.go.jp/common/000018272.pdf
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国土交通省/弾力的な鉄道貨物輸送システムを調査
2008年06月30日/調査・統計
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