川田工業(株)と産業技術総合研究所は、(株)安川電機、清水建設(株)と共同で人間型ロボットHRP-2プロトタイプを開発した。
HRP-2プロトタイプは、身長154cm、体重58kg(バッテリ含む)、腰2軸を含む30自由度を有し、軽量多自由度を実現している。
また、股関節が片持ち構造で隘路の歩行が可能な点、電装系の高密度実装によりバックパックを不要とした点に特徴がある。
今後、「不整地歩行、転倒制御、転倒回復動作等の人間型ロボットの共通基盤技術」及び「人間との共同作業等の応用技術」の研究開発に利用される予定で、最終成果モデルHRP-2は、内部APIを公開する計画で、ユーザーによるソフトウェア作成が可能であることから、研究開発用プラットフォームとして市販することも検討中で、人間型ロボットの研究開発に大きく寄与するものと期待される。
共同開発の分担は、川田工業が主担当として設計製作を行い、産業技術総合研究所知能システム研究部門ヒューマノイド研究グループが全体仕様設計、安川電機が腕部仕様設計、清水建設が視覚部仕様設計を行った。
HRP-2プロトタイプは、経済産業省が1998年から5ヵ年計画で実施中の「人間協調・共存型ロボットシステムの研究開発」の一環として、新エネルギー・産業技術総合開発機構から(財)製造科学技術センターへの委託・産総研との共同研究により開発された。
なお、最終成果モデルHRP-2の外観デザインは、アニメーション「パトレイバー」のメカデザイナーとして著名で現在放映中のアニメーション「ラーゼフォン」の監督を務める、出渕 裕氏が担当する計画。
研究の背景
我が国の産業用ロボットの市場規模は、世界最大だが、1980年代から年間5 000億円~6 000億円程度で横ばい状態にある。理由は、「ロボットに出来る仕事の種類が増えなかったこと」と、「出来る仕事の種類が増えるほど技術革新が進まなかったこと」にある。
ところが、人間型ロボットにおいては、1996年に本田技研が人間型ロボットP2を発表して以来、幾つかの人間型ロボットが開発され、一つの技術エポックを迎えている。
最近では、2000年に本田技研がASIMO、ソニー(株)がSDR-3Xを発表し、ASIMOのイベントへのレンタルも開始された。しかし、これらのロボットの利用目的は、現在までのところエンターテインメント分野に特化されており、「仕事をする人間型ロボット」を志向していない。ロボットの市場規模を飛躍的に拡大するためには、ロボットに出来る仕事の種類を大きく増やすことが必須。
HRPは、人間型ロボットの応用事例を研究することにより、「働く人間型ロボット」の実現可能性を世の中に示すことを目的としている。20世紀最大の商品の一つは自動車であったが、人間型ロボットは21世紀最大の商品の一つになる可能性を秘めており、HRPはその第一歩となるものと期待されている。
この様な背景の下で、HRP-2プロトタイプは、「HRPで実施中の応用5分野の一つである屋外共同作業応用を実現するための人間型ロボットHRP-2」のプロトタイプとして開発された。
今後の予定
2002年度上半期に最終成果モデルHRP-2を開発予定。これを用いて、不整地歩行、転倒制御、転倒回復技術の実現、屋外共同作業への応用の実現を図る。HRP-2は、内部APIが公開される予定で、ユーザーによるソフトウェア開発が可能となる計画。2002年度下半期以降に、研究開発用として外販することも検討中。
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川田工業、産業技術総合研究所/働く人間型ロボットHRP-2プロトタイプを開発
2002年03月25日/未分類
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