国土交通省港湾局は、港湾におけるソフト面の取り組みの一つとしてコンテナ輸送の効率化を実現するため、各々の物流関係者が有する輸出入に関する情報を関係者間で共有できるようにする「海陸一貫物流情報システム」の開発を行っており、システム開発にあたって、2月18日から3月15日まで博多港において実際の物流貨物を対象とした実証実験を行った。
海陸一貫物流情報システム実証実験の結果について
目的
近年増加が著しい輸出入コンテナ輸送の一層の効率化を図るため、海陸一貫物流情報システムについて検討し、実証実験を実施。
システムの具体的な目的は次のとおり。
(1)貨物の位置情報及び通関等の手続情報の共有による業務の効率化
(例:事務の効率化、荷主の生産工程、販売過程の最適化、トラック運行の効率化等)
(2)コンテナ輸送の時間短縮
(例:即時搬出システムにより、船から降ろされたコンテナを即時に搬出する)
(3)コンテナターミナル周辺道路の渋滞解消
(例:カメラ映像による道路の混雑状況やターミナル内所要時間を確認してトラックを配車する)
海陸一貫物流情報システムの構成
開発したシステムは、次の項目から構成。
(1)輸出入コンテナ情報照会
コンテナ番号、ブッキング番号、B/L番号によって輸出入コンテナの情報を照会。これにより、コンテナの位置、手続きの状況が確認できる。
(2)作業情報システム
会社毎に定めた会社コードを利用することにより、多数のコンテナを扱う物流関係者が自社に関係する全てのコンテナを船別、関係会社別等に分類して照会できるとともに、関係する会社との指示、確認等の作業の情報伝達を行うことができる。
また、即時搬出システム、空コンピックアップシステムも組み込まれている。
即時搬出システム:特に急ぐ輸入コンテナ貨物について、コンテナを船から降ろしたらすぐにターミナルから運び出すための手続きを行うシステム。
空コンピックアップシステム:輸出貨物を詰めるための空コンテナをピックアップするとともに、倉庫へ運び、コンテナヤードへ搬入するよう指示し、確認する作業を関係者間で円滑に行うためのシステム。
(3)その他(ゲート前映像、ターミナル混雑状況照会)
ターミナルゲート前のカメラ映像、ターミナル内所要時間(ゲート入場~出場)情報を照会できる。これにより、ターミナルの混雑状況が確認できる。
このシステムは、インターネットによりパソコンで利用できるとともに、携帯電話でもコンテナ搬出許可、ゲート前映像及びターミナル内所要時間を照会できる。
実証実験の結果
(1)システムの利用状況
実験期間中のシステム利用状況は以下のとおりで、ゲート前映像、ターミナル内所要時間照会や輸出入コンテナ情報照会を中心に活用され、有効であることが確認できた。
パソコンを利用したアクセス件数
実証実験期間中の合計アクセス数 18 897件
(参考:期間中にターミナルへの搬入された実入りコンテナ数は輸出6 653本、輸入8 997本、計15 650本)
平日の平均アクセス数 約1 000件
携帯電話を利用したアクセス件数
実証実験期間中の合計アクセス数 4 886件
平日の平均アクセス数 約260件
利用頻度の高い項目
(パソコン利用の場合)
ゲート前映像 3 146件
ターミナル内所要時間 1 835件
輸入コンテナ情報照会 2 142件
輸出コンテナ情報照会 947件
(携帯電話利用の場合)
コンテナ搬出許可照会 1 329件
ゲート前映像 537件
(2)実証実験の効果
システムの実証実験は、国が主体となって輸出入コンテナ輸送に関する通関等の手続き情報を含めた情報の共有化を目指す初めての試みであり、実験によって以下のような効果が確認された。
貨物の位置情報及び通関等の手続情報の共有による業務の効率化
輸出入コンテナに関する位置、手続き情報を本システムで一元的に照会可能となり、輸出入関係者の業務効率化に有効であることが確認された。特にトラックの運行効率化には有効。
システムの活用により、関係者が情報を電子的に取得することが可能となった。得られた情報の積極的な活用によるワンインプット化、ペーパーレス化が促進されるものと期待される。
コンテナ輸送の時間短縮
即時搬出システムにより、事前に所定の通関等の手続き条件を満たした貨物をターミナル到着後速やかに搬出することが可能となった。なお、即時搬出システムについては対象コンテナが少なかったため十分なデータが得られていない。
コンテナターミナル周辺道路の渋滞解消
博多港では既に平成12年11月から輸入貨物のターミナル搬出可否情報を携帯電話等により照会してターミナル周辺の渋滞解消に大きな効果をあげてたが、本実証実験ではより詳細な情報を加えるとともに、ターミナルゲート前カメラ映像とターミナル内所要時間を照会可能とし、トラックの効率的な配車やターミナル混雑の確認等に有効だった。
(3)今後の課題
今回実験を行った海陸一貫物流情報システムが今後より使いやすいシステムとなるように、利用者から出された次のような要望や課題について改良する必要がある。
コンテナ情報照会について、メニューや画面を利用しやすい構成にする。
作業情報システムについて、システムの利用方法や運用ルールの徹底を図る。
即時搬出システムについては範囲を広げて、包括保税輸送許可貨物等も対象にする。
空コンピックアップシステムについて、輸出コンテナの作業情報システムと一体化させ、関係者への指示、確認といった業務の流れに合わせて利用しやすくする。
携帯電話での照会や入力等については、今後の機器や通信サービスの発展に対応してより使いやすいものとする。
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国土交通省/海陸一貫物流情報システム実証実験を結果報告
2002年04月01日/未分類
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