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経済産業省/「自動車リサイクル部品活用促進調査」の結果報告

2002年07月28日/未分類

経済産業省自動車課では、自動車リサイクルの有効な手段の一つである自動車リサイクル部品の活用を促進するための方策について調査を行い、その結果をとりまとめた。
本調査は、平成13年度委託事業として、(株)富士総合研究所及び自動車部品流通戦略研究所を事務局として実施したものであり、学識経験者、自動車ユーザー、リサイクル部品事業者、整備事業者、自動車メーカー、自動車部品メーカーから構成される「自動車リサイクル部品活用促進調査委員会(委員長:早稲田大学理工学部 永田勝也教授)」を組織し、検討を行った。
具体的には、リユース部品(中古部品)とリビルト部品(再生部品)について、以下のアプローチから調査を行い、その結果を調査委員会において審議し、自動車リサイクル部品の現状分析と課題抽出を行った。
・リユース部品における品質表示と保証内容に関する現状調査
・リビルト部品の実態調査
・自動車リサイクル部品に対する自動車ユーザーの意識調査
特に、自動車リサイクル部品の普及促進を図るためには、整備事業者を通じて自動車ユーザーに品質情報や保証内容が正確に伝わることが重要であるところ、リサイクル部品事業者が整備事業者に提示する品質表示と保証内容に関するガイドラインを、自動車リサイクル部品の関係者が協力して自主的に策定していくことを提言し、その方向性と内容に関する考え方を示した。
今後、本調査の結果を受けて、リサイクル部品事業者が関係者と議論を重ねることによって、産業界の自主的な取り組みとして、自動車リサイクル部品の品質表示や保証内容に関するガイドラインが策定され、これをもって自動車リサイクル部品の利用がさらに拡大されることに期待する。これは、今般制定された「使用済み自動車の再資源化等に関する法律」の円滑な施行にも資するものであり、経済産業省としては、引き続き業界関係者の連携の下での取り組みを支援していく。
「自動車リサイクル部品活用促進調査」の結果概要
1.調査目的と調査体制
自動車リサイクルの有効な手段の1つとして、自動車リサイクル部品の活用が期待されている。しかしながら、業界推計によれば我が国補修部品市場に占めるリサイクル部品のシェアは約4%と低水準であり、その活用をさらに促進するためには、自動車リサイクル部品がかかえる諸課題を明らかにするとともに、これを解決するために必要な取り組みを関係業界に示すことが求められている。
このような背景を受けて、リユース部品(中古部品)とリビルト部品(再生部品)それぞれについて、補修部品市場における現状把握を行うとともに、その結果をもとに課題の整理を行い、自動車リサイクル部品の活用を促進するために必要な取り組みについて提言することを目的に調査を行った。
本調査は、株式会社富士総合研究所及び自動車部品流通戦略研究所を事務局として実施した。また、調査にあたっては、学識経験者、自動車ユーザー、リサイクル部品事業者、整備事業者、自動車メーカー、自動車部品メーカーによって構成される「自動車リサイクル部品活用促進調査委員会(委員長:早稲田大学理工学部 永田勝也教授)」を組織し、審議を行った。また、当該委員会には、経済産業省のみならず国土交通省からも関係者が出席し、産学官の有識者による議論を行った。
2.自動車リサイクル部品の現状
リサイクル部品(リユース部品、リビルト部品)の実態について以下の観点から調査を実施し、現状分析と課題抽出を行った。
(1)リユース部品における品質表示と保証内容に関する現状調査
現在、リユース部品(中古部品)については、業者間取引のための品質基準がグループごとに策定され、運用されている。さらに、そのような基準にもとづく品質検査の結果が、一部の部品について「検査証」という形でリサイクル部品事業者から整備事業者に対して提供されている。しかし、自動車ユーザーに対しては、このようなリユース部品の品質に関する情報が十分に提供されていない。また、整備事業者に対する情報提供についても、検査証が付与されずに販売されるケースもあり、検査証における品質表示の方法についても統一されていない。
一方、納品後の不具合等に対応するための「保証」の付与については、機能部品において広まりつつあり、クレーム対応も行われているが、必ずしも保証書が添付されているわけではない。
今後、リユース部品を販売する際に当該部品の品質情報を提供するとともに、これにもとづく保証を付与することによって、整備事業者や自動車ユーザーがリユース部品を購入・利用しやすい環境を整備することが望まれる。
(2)リビルト部品の実態調査
既往の調査事例が少ないリビルト部品について、国内のリビルド事業者、流通事業者、整備事業者に対するヒアリングを実施し、詳細な実態調査を行った。その結果、市場全体の傾向として、リビルト部品市場では品目ごとに業態が細分化されているが、事業の多角化や自動車メーカー、自動車部品メーカーの参入等も進み、市場は拡大傾向にあることがわかった。
今後、リビルト部品をさらに普及させるためには、リビルト部品の原材料となるコアの円滑な返却や取り付けミスの防止などについて、整備事業者に周知徹底することにより、リビルト部品の安定的な供給・利用のための環境を整備する必要がある。また、リビルト部品は出荷時の品質検査や保証の付与により、整備事業者から新品部品並の高い信用を得ている一方で、自動車ユーザーによる認知度は極めて低いことから、一般消費者の認知度向上についても今後の改善が望まれる。
(3)自動車リサイクル部品に対する自動車ユーザーの意識調査
リサイクル部品がどのような条件やアプローチなら自動車ユーザーに受け入れられるのかを探るため、インタビュー形式のユーザー意識調査を実施した。その結果、リサイクル部品の認知度は、まだまだ低いレベルにとどまっている一方で、商品説明を聞くと価格メリット等を理由にリサイクル部品の利用に対して興味を示すユーザーが多く見られた。このことから、リサイクル部品に対する潜在的な利用ニーズは少なくないと考えられる。ただし、実際にリサイクル部品を利用するにあたっては、車齢や交換する部品の種類などの条件に依存する面が大きく、ニーズの偏在性があることも確認された。
3.自動車リサイクル部品の普及促進に向けた今後の取り組み
上述の調査結果を踏まえて、リサイクル部品の普及促進に向けた今後の取り組み策について、委員会による議論・検討を行った。特に、リサイクル部品事業者が品質に関する情報提供や保証の付与を行うことによって、整備事業者や自動車ユーザーが安心してリサイクル部品を利用できるような環境を作り、その利用促進につなげていくために、品質表示および保証内容のあり方について、詳細な検討を行った。
(1)自動車リサイクル部品における品質表示と保証内容の考え方
業界が主体となって品質表示および保証内容に関するガイドラインを策定し、リサイクル部品事業者がこれに従って商品供給を行うようになることが望ましい。こうした共通の品質表示基準を導入することによって、商品の比較検討が容易になる結果、リサイクル部品市場のさらなる活性化がはかられるなどの効果が期待される。
品質表示に関しては、検査項目を統一した上で品質検査証を付与することを推奨する。その際、外装部品についてはキズの状態を正確に伝えること、機能部品については、動作確認や目視による状態確認の結果を客観的に明示することが重要である。
保証内容については、納品時トラブルの対応を示すことが必要である。外装部品については、代替部品との交換程度で十分と思われるが、機能部品では、数ヶ月間の保証期間を定めることが望まれる望ましいと考えられる。その際、再組み替え工賃なども保証の対象に含めれば、整備事業者の利用意欲を高めることができる。
また、必要に応じてガイドラインを改訂するための手続きをあらかじめ定めておくなど、ガイドラインの策定と合わせて、その運用に係る仕組みづくりも行うことが重要である。
(2)取り組みの進め方
今後、品質表示ならびに保証内容に関するガイドラインの策定・運用などを具体化していくためには、本業界の関係者がリサイクル部品の普及促進に向けて自主的に取り組んでいくことが重要である。そのためには、リサイクル部品事業者をはじめとする多くの関係者が、業界団体等を活用して十分な連携をはかることが必要と思われる。さらに、そうした取り組み状況や得られた成果を広く公表することによって、リサイクル部品に対する自動車ユーザーの認知度ならびに信用度が向上し、ひいてはリサイクル部品の利用促進につながっていくことを期待する。
委員会名簿
<委員長> 
永田 勝也/早稲田大学理工学部機械工学科  教授
<委員>
今別府 勝/本田技研工業株式会社 部品用品販売部  主任
大橋 岳彦/株式会社大橋商店  代表取締役
岡橋 葉子/岡橋マーケティング研究所  所長
小林 俊一郎/日産自動車株式会社 国内部品営業部  主担
近藤 港/株式会社ビッグウェーブ  代表取締役会長
清水 信夫/株式会社ユーパーツ  代表取締役社長
長崎 真一/株式会社デンソー サービス部 第一サービス室  室長
中山 四郎/株式会社松井製作所  顧問
山口 隆二/株式会社ビーエーシー・グローバル・インク  会長
山下 英紀/トヨタ自動車株式会社 サービス部  課長
<オブザーバー>
塚越 静雄/社団法人日本自動車工業会 業務統括部  グループ長
佐々木 均/社団法人日本自動車整備振興会連合会 指導部  部長代理
白土 博也/社団法人日本自動車部品工業会  理事
藪下 正三/社団法人日本自動車連盟 公益事業部 調査企画課  課長
竹林  久/社団法人日本損害保険協会 自動車損調PT 産廃研究PT  リーダー
佐藤 卓治/全国自動車電装品整備商工組合連合会  専務理事
新井 賢太郎/日本自動車車体整備協同組合連合会 業務課  課長
永澤 卓也/日本自動車リサイクル部品販売団体協議会  理事
深沢 広司/リビルド工業会全国連合会  会長
富吉 賢一/経済産業省 製造産業局 自動車課  企画官
山本 和徳/経済産業省 製造産業局 自動車課  課長補佐
田村 修司/経済産業省 製造産業局 自動車課  自動車部品係長
林  純二/国土交通省 自動車交通局技術安全部 整備課  課長補佐
<事務局>
中本 隆宏/株式会社富士総合研究所 社会システム研究室 主任研究員
岸田 裕一/株式会社富士総合研究所 社会システム研究室 主事研究員
白柳 孝夫/自動車部品流通戦略研究所  所長
森本 かおり/自動車部品流通戦略研究所  主任研究員
 

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