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中小企業庁/流通業務効率化を巡る環境変化に関する調査

2002年12月15日/未分類

中小企業庁は「流通業務効率化を巡る環境変化に関する調査」をまとめた。概要は下記の通り。
第Ⅰ章調査の概要
1.調査の目的
長期にわたる景気低迷から、企業のコスト削減に対する要請が強まり、流通コストについてもさらなる削減が求められるようになっている。このため、物流施設の自動化・機械化、配送の計画化、物流共同化、ユニットロード化など、流通業務の効率化に取り組む動きが広がっている。また、ダイレクトマーケティングの展開、製販同盟の広がりなどから、流通経路の短縮化を図る企業も増加している。
近年のITの進展から、新たな流通業務効率化の方法も現れている。例えば、EDI(電子データ交換:Electronic Data Interchange)により、商品販売情報や在庫情報などを異企業間で共有することが出来るため、川上の製造業(メーカー)が流通業の販売量データに基づき最終需要を予測し、これに基づき製品の生産・販売量を必要最小限にとどめることで、川上から川下までのトータルの在庫コストを抑える、サプライチェーンマネジメント(SCM:Supply Chain Management)が可能となっている。
このように、流通業務効率化の重要性が高まる中、その内容が変わりつつあることが予想されるため、本調査では、企業へのアンケート調査や先進的な物流効率化事例調査を通じ、企業の流通業務効率化の実態及びニーズを把握した。
2.調査の方法
実施にあたっては、統計資料等に基づき、わが国の流通の現状を整理した。
次に、全国の荷主(製造業、卸売業・商社、小売業)2 358社と物流事業者600 社の計2 958社を対象としたアンケート調査を実施し、取り巻く環境の変化、物流概況と物流課題、物流効率化策の取り組み状況、荷主企業における物流アウトソーシングの状況、物流共同化の状況、SCMへの取り組みの状況、行政支援策の活用状況等について調査した。また同時に、流通業務の環境及び実態と課題、具体的な改善方策等を把握するため、特に企業連携により課題克服に取り組む組合等を対象にヒアリング調査を実施した。
最後に、これらの調査結果を踏まえ、これからの物流効率化の方向を展望し、物流課題及び物流連携の動きを整理するとともに、物流効率化を促進する啓蒙活動の必要性と行政支援策のあり方を記述した。
3.調査結果の概要
(1)我が国の流通の現状
①景気低迷と低価格化の進行
我が国経済は長期にわたる景気低迷から、国内家計消費が収入の低迷により伸び悩んでいる。企業では消費喚起のための商品価格の低下、値下げ要請への対応に迫られており、あらゆる面でのコスト削減が必要となっている。
商品価格は、最近ではアパレル製品などにおいて、安価な海外生産の自社ブランド品の拡大やアウトレットモールなどの安売り店の増加によって、価格の下落幅の拡大が目立っている。実際、どの価格指数も低下傾向に転じている。
②流通構造の変化
小売店の商店数は長期的に減少傾向を辿っている。規模別にみると、中小零細小売店が一貫して減少する一方、大規模小売店は増加しており、格差が広がっている。流通の多段階性を測る尺度として用いられるW/R比率は、一貫して下落傾向を辿っており、流通経路が短くなっていることが窺われる。
③物流の動向
国内貨物量は重量ベースでみると、平成8 年をピークに減少し続けているが、トンキロベースでみると、概ね増加傾向を辿っており、輸送距離が伸びている。
一方トラック運送事業者数は年々増加しており、平成9 年には5 万社を超えるまでに至っている。また、営業用トラックの輸送量に占めるシェアをみると、物流のアウトソーシングの進展などから、重量ベースもトンキロベースも上昇傾向を辿っている。
(2)実態調査から見た物流の状況
①取り巻く環境の変化
アンケート調査により、市場の変化の進行度をみると、低価格化の進展の進行度は、現状は著しく進行しているとみるものの、現状から今後にかけ大きく低下しており、低価格化の一巡が窺われる。
流通構想の変化の進行度を見ると、SCMの進展の進行度が現状から今後にかけて大きく上昇している。
経営環境の変化をみると、商店街の衰退、中小小売業の転廃業の進展、卸売業の転廃業の進展等、流通業の統廃合に関わる回答が、現状、今後とも多くなっている。
②物流概況と物流課題
荷主企業の物流課題の把握状況を規模別にみると、各物流分野で特に問題なしとする回答が中小企業の方が多く、中小企業の物流に対する意識が低いことが窺われる。
物流コストに関する問題としては、輸配送コストの増加を問題点として挙げる企業が多い。
情報化に関する問題としては、電子化・情報共有化の遅れの回答が多い。
納品条件に関する問題としては、小ロット、多頻度オーダーの増加の回答が多い。
③物流効率化策の取り組み状況
荷主企業の物流課題の解決方法をみると、アウトソーシングの活用、仕入・販売先との条件の調整、社内物流組織の強化の回答が多い。
④荷主企業における物流アウトソーシングの状況
荷主企業の物流外部委託の状況をみると、輸配送(近距離)、輸配送(中長距離)が多い。
今後の物流の外部委託の状況をみると、製造業では倉庫・物流センター等施設、庫内荷役業務、商品管理業務、物流情報システム構築・運用が、卸売業・商社では庫内荷役業務、物流情報システム構築・運用、流通加工業務が多く、倉庫関係業務の外部委託が増加している。
⑤物流共同化の状況
共同化・連携の分野としては、近距離の集配、長距離の輸配送、トラック帰り便の相互利用、拠点・施設の共同利用が多い。
物流業が共同化事業を請け負う場合の問題点としては、業務プロセスの共通化の遅れ、荷主の機密保持意識、荷主企業間の情報通信システム基盤の整備不足の回答が多い。
⑥SCMへの取り組み状況
SCMの参加範囲の回答結果から、SCMのパターンを類型化すると、①原材料の供給者と製造業の部品メーカー、組立メーカー間のSCM(JIT納入などの展開)、②最終製品メーカー、メーカー販社、1次卸売業間のSCM(特約店や代理店までの展開)、③メーカー販社、1 次卸売業、小売業間のSCM(大規模小売店との戦略的同盟による展開)、④2 次卸売業、小売業間のSCM(地域の卸売業やスーパーと専門店などを中心とする展開)となる。
⑦行政支援の活用状況
中小企業流通業務効率化促進法(物効法)の認知度をみると、荷主企業では8%にとどまり、荷主企業の認知度は低い。一方、物流業での認知度は33%と相対的に高い。活用したいと考える物効法の支援施策をみると、物流業を中心に物流効率化専門指導員派遣事業、システム設計事業を挙げるものがみられる。
(3)環境変化に対応した物流効率化の方向
①物流効率に影響する環境変化と物流課題
卸売業は淘汰の危機に直面しており、従来の卸売業の金融機能、物流機能、情報機能は他業種に代替されつつある。これらに対応できるかにより、卸売業の二極分化が
進み、業界再編がさらに進むと思われる。
流通業は生き残りをかけるため、コスト削減とサービスレベル向上の両立が求められている。
流通業では、効率化とコスト削減、高付加価値サービスの提供のため、受発注のオンライン化、情報システムによる在庫管理、取引先等との情報ネットワーク形成等の情報システム化に積極的に取り組んでいる。
流通業の物流課題の解決方法として、物流事業者へのアウトソーシングや、仕入・販売先との条件調整に取り組む流通業が多く、複合的な連携により物流改革に取り組む動きが広がっている。
②流通環境の変化に対応した企業間連携の動き
流通の効率化に向けた取り組みとして、物流と生産や在庫と連動した情報システム化など自社内の物流改革のほか、戦略的同盟やSCMによる企業間連携の下に、新たな流通、物流体制の検討が進められており、物流改革の領域が自社内の物流から仕入先の物流や販売先の物流まで拡大している。
物流連携については、多様なパターンで展開されており、しかも連携の範囲が広がっている。
メーカー、卸売業、小売業間のタテの垂直的連携では、取引関係のある企業間で販売、在庫、受発注、生産計画などの迅速かつ一元的な情報還元による効率化策としてのSCMが代表的である。
同業種間のヨコの水平的連携では、メーカー、卸売業、小売業の各業種で実施されている共同配送や共同保管などの連携のスケールメリットによる効率化が代表的である。
このほかに、物流業者との連携、物流業者同士の連携、情報システム会社との連携、取引関係の全くない他地域の企業との連携など、多様な取り組みが展開されている。
③企業への啓蒙活動と行政支援策のあり方
物流効率化意識については企業規模による格差が大きい。中小企業では物流業務そのものに対する意識が低く、物流の改善等の重要性を認識していない企業が多い。
物流コスト水準の妥当性や物流改善策等の評価にとって、自家物流費も含めた物流コストの正確な把握、測定が重要であるにもかかわらず、そこまで実施している中小企業が少ない。
これらの背景として、中小企業が物流のコスト管理や問題の発見等を行うために人材、ノウハウ、情報などの経営資源が不足していることが挙げられる。このため、これらの企業を対象とした、物流改善の必要性についての認識を深めるための行政からの啓蒙活動が必要である。
詳しくは下記アドレス参照。
http://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/download/buturyu_hokoku.pdf

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