西濃運輸(株)の平成15年3月期の経営成績と次期見通しは下記の通り。
経営成績
(1)当期の概況
当期におけるわが国経済は、堅調な米国・アジア向けの輸出やそれに支えられた生産の好調で回復の兆しが見られましたものの、個人消費、設備投資の本格的な内需回復には至りませんでした。加えて雇用環境の悪化、株価の下落が続き、景気は一段と停滞感を強めてまいりました。
貨物自動車運送業界におきましては、国内貨物総輸送量の減少が続く中、顧客の物流コスト削減にかかる運賃値下げ要請は依然として強く、また自動車運行の安全管理、環境保全対策強化などのコスト増加要因も重なって厳しい経営環境が続きました。
このような状況のもと、西濃運輸グループは収益力の回復、改善を図るため、グループを挙げて運行システム改革を中心とする経営の合理化によるコスト削減に取り組むとともに、収益性の高い商業小口混載貨物のシェア拡大を基軸とした新3ヵ年計画「商業小口貨物No.1計画」を策定し、事業の中心を国内商業小口貨物の輸送に置いて営業を展開してまいりました。
すなわち、同一経済圏(輸送距離200km以内)を移動する100kg以下の貨物獲得推進による物量確保と遠距離貨物(輸送距離700km以上)の運賃是正および重量の是正による適正運賃の収受を柱とする収入確保に加えて、スピードと効率性の高い運行オペレーションの推進による幹線輸送の合理化で人件費、用車料などの運行コスト削減を図りました。
また、施設面では保管、流通加工業務設備を併設した沼津(静岡県)、鶴見(神奈川県)の両トラックターミナルを新築移転し、扱い能力を増強するとともに、これら旧店舗の売却のほか、小規模店舗の統廃合も進めて合理化を図りました。
一方、国際輸送事業につきましては、4月1日付けでスティネス社(本社:ドイツミュルハイムアンダルール市)との合弁で西濃シェンカー(株)(本社:東京都)を設立し、同社の国際フォワーディング事業を営業譲渡したうえで、シェンカー社(本社:ドイツエッセン市)との戦略的業務提携を強化しました。
加えて、10月1日には同社の通関事業を会社分割して通関専門会社のセイノー通関(株)(本社:東京都)を新たに設立し、両社を国際輸送事業の両輪として機能させることによる相乗効果で競争力の向上を図りました。
この結果、当期の売上高は4 093億98百万円(前期比2.3%減)、営業利益は101億93百万円(前期比187.7%増)、経常利益は208億58百万円(前期比48.4%増)となりました。
また、当期純利益はセイノーグループ厚生年金基金の解散に伴う特別利益の計上もあって136億21百万円(前期比17.3%減)となりました。
当期のセグメント別の状況
①輸送事業におきましては、国際フォワーディング事業の営業譲渡、一部海外子会社の事業休止などもあって、売上高は2 975億13百万円(前期比2.8%減)となりましたが、主にコスト低減で営業利益は56億92百万円となりました。
②物品販売事業におきましては、買い替え需要によりトラック販売が復調し、売上高は933億21百万円(前期比0.7%増)となり、営業利益は28億46百万円(前期比1.5%増)となりました。
③情報関連事業におきましては、売上高は59億38百万円(前期比13.7%増)となり、営業損失は1億49百万円となりました。
④その他の事業におきましては、売上高は126億24百万円(前期比15.5%減)となりましたが、主にコスト低減で営業利益は21億7百万円(前期比24.6%増)となりました。
次期の見通し
わが国経済の今後の見通しは、不良債権処理によるデフレ経済の進行に加えて個人消費の低迷や設備投資の減少が続き、景気は厳しい状況で推移するものと予想されます。貨物自動車運送業界におきましても、環境保全対策費用の増加、貨物自動車運送事業法等の改正施行による競争の進展は、今年度国内貨物総輸送量の4年連続の減少予測とともに事業者の経営を一段と圧迫するものと予想しています。
こうした経営環境のもとではありますが、一方では現に自家用貨物自動車で運ばれている貨物量は年間25億トン(大半が同一経済圏内移動貨物)に達すると推定されています。
同社グループといたしましては、こうした膨大な自家輸送の貨物を取り込むべく、経営方針で述べました基本方針ならびに新3カ年中期経営計画2年目の「商業小口貨物No.1計画」を着実に実行し、引き続き経営効率の向上と利益体質の確立に努めてまいります。
次期の業績は、売上高4 100億円(前期比0.1%増)、経常利益195億円(前期比6.5%減)、当期純利益125億円(前期比8.2%減)を予定しています。
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西濃運輸/平成15年3月期の経営成績と次期見通し
2003年05月25日/未分類
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