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農林水産省/「卸売市場制度改正等に関する検討事項(メモ)」

2003年09月28日/未分類

農林水産省は、「卸売市場制度改正等に関する検討事項(メモ)」を公表した。
 
近年の食品に対するニーズの変化等に対応した流通の効率化等を図るための施策の基本的な方向が、本年4月に「食品流通の効率化等に関する研究会」の報告書において取りまとめられた。
 
この報告書を踏まえ、今般、卸売市場制度の今後のあり方等について、広く関係者に議論をいただく検討の素材として、「卸売市場制度改正等に関する検討事項(メモ)」を作成した。
 
今後は、この検討事項(メモ)を素材として、生産者、消費者、市場関係者はもとより、広く国民の意見を聴くとともに、関係機関との協議も含め所要の調整を行った上で、本年中を目途に、具体的施策のあり方についてのコンセンサスを得ていく。
 
■卸売市場制度改正等に関する検討事項(メモ)
Ⅰ 改正の趣旨
 
(1)卸売市場は、多様で鮮度の高い生鮮産品を志向する食文化・生活様式に適合した流通システムとして、生鮮産品(青果、水産物、食肉、花き)の流通において基幹的役割を果たしている。
 
(2)一方、近年における国際化の進展の下で、市場への出し手である生産者サイドでは構造改革の必要性が高まっており、①生産・流通を通じた低コスト化、②有機農法等安全・安心な農水産物提供による高付加価値化、③契約取引の推進等多様な販路の確保等の対応が求められている。
 
(3)また、消費者の低価格志向が進む一方で、食の安全・安心に対する関心が増大するとともに、食の外部化、本物志向、地産地消への関心の高まり等の多様なニーズが生じており、実需者サイドでも、①消費者の低コスト志向への対応、②消費者が求める安全・安心な食品の確保、③多様な食に対するニーズへの対応等が必要とされている。
 
(4)このため、生産サイドと消費サイドの架け橋となる卸売市場が今後とも基幹的流通システムとしての役割を果たすことができるよう、
① 商物分離取引の拡大や市場の再編等による低コスト流通の実現
② 品質管理の徹底等、食の安全・安心の確保
③ 規制緩和による、ニーズに対応した商品提供機能の強化
等を内容とする卸売市場制度改革を進め、生産サイド・消費サイド両面の期待に応えられる「安全・安心」で「効率的」な流通システムへの転換を図ることとする。
 
Ⅱ 改正等を検討している主な事項                       
1.食の安全・安心の確保への対応
食の安全・安心に対する国民の要請に対応して、卸売市場流通段階における安全性確保を強化するため、品質管理の徹底等を卸売市場整備基本方針等の記載事項に追加する方向で検討する。
2.卸売市場の効率的な整備・運営
卸売市場の適正な配置を通じた流通の効率化を図る観点から、市場の再編整備に関する事項を卸売市場整備基本方針、中央卸売市場整備計画及び都道府県卸売市場整備計画の記載事項に位置付ける方向で検討する。
また、本年成立した改正地方自治法に基づき、卸売市場の管理・運営業務の民間委託を推進するための方策についても併せて検討する。
 
3.商物一致規制の緩和
情報技術等の進展の成果を踏まえ、電子商取引の導入による卸売市場流通の効率化を図るため、一定の要件を満たす電子商取引について、一定数量の範囲で開設者が認めたときは、開設区域内外において商物分離取引を認める方向で検討する。
*一定の要件:規格性のある品目について、品種、産地、鮮度の目安となる指標等の適正な価格形成を図る上で十分な情報が、売買に参加し得る者(当該市場において許可等を受けた仲卸業者、売買参加者)に広く提供され、これに基づき取引が行われるとともに、引渡方法があらかじめ定められている取引方法によること
 
4.卸売業者、仲卸業者の取引規制の緩和
(1)第三者販売、直荷引きの弾力化
国内農水産業者や外食業者・加工業者・小売業者等と、卸売業者・仲卸業者との連携強化による商品提供機能の強化や、地方の卸売市場のネットワーク化を通じた効率化を図るため、以下の場合で開設者が認めたときは、卸売業者の第三者販売や仲卸業者の直荷引きを認める方向で検討する。
① 生産者と仲卸業者との連携や、卸売業者と実需者との連携を継続的取引契約により取り決め、その取決めに基づいて産地開発、商品開発・提供を行う場合
② 複数の市場相互間の機能分担等を、取引関係者全般に明らかにされる継続的枠組みとして取り決め、その取決めに従い取引を行う場合
 
(2)買付集荷の自由化
生産者の意向を踏まえた機動的集荷を行うとともに、卸売業者の経営の自由度を高めるため、現行制度上、例外的な位置付けとなっている買付集荷を全面的に認める方向で検討する。
 
(3)報告書類の簡素化
関係者の負担軽減の観点から、市況に関する大臣への報告の廃止を始め、提出書類の簡素化を図る方向で検討する。
 
5.卸売業者、仲卸業者の経営体質の強化
(1)仲卸業者の経営健全化措置の導入
仲卸業者の経営体質の強化を図るため、経営の自己管理の目安となる財務基準を設定し、経営悪化した場合に早期改善措置を講じていくための仕組みを業務規程で位置付ける方向で検討する。
(2)卸売業者、仲卸業者の業務内容の多角化
卸売業者、仲卸業者の業務内容の多角化を図るため、卸売業者の兼業及び支配関係法人に関する届出制の廃止、卸売市場外での販売に関する規制の廃止等兼業に関する規制を緩和する方向で検討する。
 
6.卸売手数料の弾力化等  
(1)卸売手数料の弾力化
取引内容やサービスの多様化に対応し、全国一律に業務規程で卸売手数料を定めなければならないとする仕組みを廃止し、卸売業者が機能・サービスに見合った手数料を弾力的に徴収できるようにする方向で検討する。
その際、概ね3年程度の準備期間経過後から段階的に弾力化を進め、卸売市場制度の見直し後概ね5年程度の間に取引全般について弾力化する方向で検討する。
(想定される弾力化のスケジュール)
取引内容やサービスが当事者間で個別に決定される性格の強いものから弾力化
・予約相対取引  
平成19年度(改正法公布後概ね3年後)より弾力化
・予約相対取引以外の相対取引
平成20年度(改正法公布後概ね4年後)より弾力化
・上記以外の取引
平成21年度(改正法公布後概ね5年後)より弾力化
 
(2)出荷奨励金及び完納奨励金の取扱い
出荷奨励金及び完納奨励金については、取引全般の手数料弾力化に併せ、業務規程例による開設者の承認制の指導は廃止する方向で検討するが、奨励金が果たす機能に応じ、継続的な実施も含め、当事者間で決定できるようにする方向で検討する。
 
7.取引情報公表の充実
取引の透明性の確保の観点から、取引情報の公表内容の充実を図ることとし、卸売業者による公表内容に以下を追加する方向で検討する。
① 卸売予定数量の公表 規格別、取引方法別の数量(なお、この場合において商物分離取引分、第3者販売分を分けて公表)
② 卸売終了後の公表  規格別、取引方法別の数量、価格(なお、この場合において商物分離取引分、第3者販売分を分けて公表)
 
8.業務規程認可手続きの簡素化
業務規程に関する認可事項を限定し、認可手続きの簡素化を図る方向で検討する。
 
Ⅲ 改革に向けたスケジュール
(1)生鮮産品の流通を巡る状況が急速に変化している情勢を踏まえ、卸売市場法改正案を次期通常国会に提出するとともに、改正法成立後、改正内容を速やかに実施する方向で検討する。
(2)具体的には、改正後の卸売市場法に即した業務規程の改正作業を平成16年度中に完了し、平成17年度からは新たなルールの下で卸売市場を運営する方向で検討する。 また、これに併せ、平成17年4月を目途に、新たな卸売市場整備基本方針及び中央卸売市場整備計画を策定し、その後遅滞なく、都道府県卸売市場整備計画を策定する方向で検討する。  
(3)このような改革を進めつつ、卸売手数料について、Ⅰの6のとおり、平成21年度から取引全般について弾力化する方向で検討する。
 
(参考) 制度検討と関連する予算・金融・税制改正要望
今回の制度検討に関連して現在要望を行っている予算、金融、税制上の措置は以下のとおり。
 
1 卸売市場の効率的な整備・運営
①卸売市場施設整備事業の抜本的見直し(予算措置)
卸売市場施設整備事業については、HACCP的な管理が可能な高機能施設の整備の推進による食の安全・安心への対応の強化、PFIの推進による民間の創意工夫を活かした事業の効率的実施を図るため、以下の考え方に基づく事業の抜本的見直しを行う方向で財務省に要望する。
ア 水産物、食肉を扱う施設であって、大規模増改築等建造物の新設を行う整備においては、HACCP的な管理が可能な高機能施設(低温化、外気の遮断が可能な構造等)とするものでない限り採択しない。
イ 市場整備におけるPFIの導入を強力に推進する観点から、大規模増改築等建造物の新設を行う整備においては、PFIにより事業を実施するものでない限り原則として採択しない。
ウ 以上につき、継続事業を除き、16年度新規採択事業から実施する(PFIの原則義務付けについては、PFI手続きに要する期間を踏まえ、17年度新規採択事業から実施)。
 
②食品流通改善資金の貸付金の使途等の見直し(金融措置)
卸売業者と仲卸業者が連携した市場の効率的整備を促進する等の観点から、食品流通改善資金のうち卸売市場近代化資金について貸付の相手方の区分を廃止する等の措置を講じる方向で財務省に要望する。
 
2 卸売市場流通における物流の円滑化
① 物流新技術を活用した食品流通効率化対策(予算措置)
生鮮食品流通の効率化を推進する観点から、以下の取組を行うための予算を財務省に要望する。
ア 物流管理効率化新技術確立事業
検品、分荷等の物流業務において無線ICタグを活用した新しい効率的物流管理手法を確立するためのシステム開発、実証を行う。
イ 通い容器利用拡大事業
(ア) 通い容器規格標準化事業
通い容器の汎用性向上のため、その標準的な規格確立のための容器開発と、取引EDIを活用した容器の効率的回収を図るための標準モデルを設計する。
(イ) 生鮮食品物流効率化通い容器利用拡大事業
通い容器の効率的回収を図るための標準モデルを活用し、実地において効率的な管理回収システムを構築するための実証等を行う。
ウ 取引EDIシステム普及定着事業
これからの取引、物流効率化の基盤となる取引EDIの一層の普及を図るため、研修等を実施し、人材育成等を推進する。
 
② 地方卸売市場連携物流最適化推進事業(予算措置)
地方の卸売市場の集荷力向上を図るとともに、出荷者の出荷コストの軽減や消費者に対する鮮度の高い地域農水産物の供給機能の向上にも資するよう、産地、地方卸売市場、実需者等の地域の流通関係者による物流最適化のための連携手法の検討と共同集荷等の連携した取引システムに基づく最適な物流システム確立のための実証を行うための予算を財務省に要望する。
 
③ 中核的地方卸売市場に係る固定資産税の特例(税制措置)
中核的地方卸売市場に係る固定資産税の課税標準の特例措置(5年間1/2軽減)の適用期限を2年間延長する等の措置を総務省に要望する。
 
3 卸売業者、仲卸業者の経営体質の強化等
① 仲卸再編促進支援事業(予算措置)
仲卸業者の経営体質の強化を図るため、市場開設者による仲卸業者の統合大型化、経営改善の見込みのない仲卸業者の早期の再編を促すための計画策定や、市場開設者が仲卸業者に対し、専門家の知識を活用して、財務指導、統合合併指導等を行うことにより経営の近代化、合理化を促すための取組を支援するための予算を財務省に要望する。
 
② 合併等に係る登録免許税の特例(税制措置)
産地の大型化、輸入農産物の増加等により卸売市場関係者の経営が悪化していることを踏まえ、卸売業者、仲卸業者の合併統合を推進する観点から、卸売市場法に基づく卸売業者の合併等に係る登記の税率の軽減措置を延長するとともに、その対象として新たに仲卸業者を追加する措置を財務省に要望する。
 
③ 食品小売業の活性化対策(予算措置)
魅力ある食品小売業を振興するための人材育成と農水産業と小売業とのネットワーク形成等による新たなビジネスモデルの開発を支援するための予算を財務省に要望する。

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