財務省は、国際物流・貿易取引に関する研究会の第4回会合・議事要旨を公開した。
日時:平成16年(水)9:30~11:30
場所:財務省第3特別会議室
テーマ:民間企業によるリスクマネジメント (業務上のリスクマネジメント)
第4回会合の概要
(1)民間企業によるリスクマネジメント(Security & Safety) - DHL事例
ディー・エイチ・エル・ジャパン株式会社取締役本部長・矢口 達夫氏
コンプライアンス・プログラム、最近の貨物の傾向、貨物のリスク管理、施設管理、顧客管理、社員教育等についての説明。
http://www.mof.go.jp/singikai/buturyu_boueki/siryou/ka160218a.pdf
(2)グローバル化に伴う三井物産のリスクマネジメント体制(信用リスクを中心に)
三井物産株式会社コーポレートリスクマネジメント部長・今村 直芳氏
効率的な与信管理手法、取引先信用リスク管理のグループ企業への展開、統合リスク管理等についての説明。
http://www.mof.go.jp/singikai/buturyu_boueki/siryou/ka160218b.pdf
(3)東芝におけるリスク管理
株式会社東芝海外事業推進部長・納見 正昭氏
安全保障輸出管理の仕組み、東芝の安全保障輸出管理、外為法の遵守、米国輸出管理法の遵守等についての説明。
http://www.mof.go.jp/singikai/buturyu_boueki/siryou/ka160218c.pdf
(4)意見交換
民間側出席者からの主な意見の概要
○米国輸出管理法規に違反した場合、当該違反企業宛ての米国からの輸出ができなくなる。第三国経由での米国からの物資等の調達もできなくなり、当該処分が行われた場合の影響は非常に大きいので、米国輸出管理法規遵守のためのコンプライアンス管理が重要であると考えている。
○業務について自社のコンプライアンス管理を行っていくに当たっては、最近増えてきている派遣社員等アウトソーシングへの対応が課題である。そのため、派遣社員にも企業の一員であるとの認識をもってもらうための各種施策を講じている。
○物流におけるリスクマネジメント強化のためにはハード、ソフトの両面において非常にコストがかかる。その結果得られるベネフィットとしては企業イメージや顧客満足度の向上など抽象的なものは挙げることができるが、数値などの具体的な形で挙げるのは難しい。
○各種リスクマネジメントをしっかり行っている企業とそうでない企業とに二極化している傾向が見られる。これは企業風土や文化、理念に基づく認識の違いに起因しているものと考えられる。したがって、民間企業が個々の取引先について行っている信用リスク管理や米国のC-TPATのように、これからは役所においても個々の企業ごとにリスク管理を行うことが重要であると考えられる。客観的かつ公平な視点で企業の格付けが行われるのであれば、差別待遇であるとの問題も出ないのではないかと思う。
○二極化している状況においては、リスクマネジメントをしっかり行っている企業の中にそうでない企業が参入してきた場合、前者の企業はどう対応すべきなのかという問題が生じると考えられる。異業種間も含めた業界での話合いや情報交換、さらには国際的なルール作りをして、各企業の競争条件を合わせるといった考え方もあり得るのではないかと思う。
○個々の企業ごとにリスク管理を行っていく上では、社員の教育レベルの維持・向上も含めた各企業ごとのコンプライアンス確保のための体制や事故・違反の履歴が重要な情報であると考えられる。
○インボイスが改ざんされる可能性もリスクの1つではないかと思う。取引において最も重要な書類であるインボイスは、特に改ざんされないようにしなければならない。
○インボイスを電子化することによりインボイスの改ざんリスクはなくなるものと認識している。また、こうしたリスクを低減するためには、取引先とのコミュニケーションをしっかり行い先方をよく知るということが重要であると認識している。
○最近は、取引先であるアジア各国企業についての財務データも随分と入手できるようになっているが、信用リスク管理の最も根底をなす公認会計士による監査が行われた決算書まではなかなか入手できる状況にはない。ただし、いくつかの興信所では中国企業に関する情報サービスなどを開始している。