NECは、医薬業界を対象に、SAP社のERPソフト「SAPR/3」を活用した会計・生産など基幹業務システムの構築を、最短で6ヶ月という短期間かつ経済的に実現するシステムテンプレート(ひな型)「StarProcessforPharmaceutical(スタープロセスフォーファーマシューティカル)」を製品化し、販売を開始した。
NECでは、キッセイ薬品工業（株）から、「StarProcessforPharmaceutical」を活用した会計・購買システムを受注した。本システムは、2005年4月の稼動開始を予定している。
キッセイ薬品は、会計情報の有効活用、決算の早期化、購買関連業務の生産性向上などを目的に「SAPR/3」の導入を決定した。また、「StarProcessforPharmaceutical」が有する標準的な業務処理機能を最大限活用することにより、システム構築のコスト、時間、労力の削減を図っている。
「StarProcessforPharmaceutical」は、「SAPR/3」が有する会計・生産・販売などの標準機能を使用しながら、医薬業界固有の受注処理、トレーサビリティ確保を目的とした製造ロットの管理情報を付加した出荷処理、サンプル製品の出荷処理などへの対応を可能とするもの。
また、NECが新たに確立した独自の「SAPR/3」導入方法論に基づいたシステム構築を行なうことや、既存システムとのデータ連携機能を提供することで、「SAPR/3」を活用した基幹業務システム構築を短期間かつ経済的に実現することを可能とする。
「StarProcessforPharmaceutical」の主な特長
医薬業界固有の業務処理に対応した機能を提供
「SAPR/3」が有する会計・生産・販売・購買・固定資産管理の標準機能を使用しながら、医薬業界固有の受注処理、トレーサビリティ確保を目的とした製造ロットの管理情報を付加した出荷処理、サンプル製品の出荷処理、急な在庫不足時における医薬卸会社間での医薬品の移送・補充による請求処理などへの対応を可能としている。
また、オプションとして、医薬品の製造管理および品質管理に関する基準「GMP」に準拠した管理機能や、米国食品医薬品局(FDA)が制定した医薬品の開発・製造における電子記録・電子署名に関する規定「21CFRPart11」への対応機能、医薬卸会社向けのリベート管理システムを容易に開発可能とするプログラム部品群を提供する。
さらに、NECがこれまで培ってきた「SAPR/3」導入ノウハウに基づき新たに確立した、独自の「SAPR/3」導入方法論を活用したシステム構築を行なう。
本方法論は、要件定義書・設計書・テスト計画書などの文書類を整備している。これらにより、「SAPR/3」を活用した基幹業務システムの構築を最短で6ヶ月という短期間かつ経済的に実現することができる。
医薬業界向けの各種システムとのデータ連携機能を提供
医薬業界におけるEDI標準規格「JD-NET」および「NHI-VAN」に準拠したEDIシステム、製造管理システム(MES)、実験データ管理システム(LIMS)などとのデータ連携機能を提供する。
これにより、「SAPR/3」を活用した基幹業務システムと既存システムとの連携を効率的に実現することができる。
システムの運用保守に関する総合的なアウトソーシングサービスを提供
コールセンター業務やIT資産管理業務などを代行するビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)サービス、アプリケーションの保守サービス、災害対策・停電対策などが施されたNECのデータセンターを活用したハウジングサービスやホスティングサービスなど、「SAPR/3」導入後の運用保守に関する総合的なアウトソーシングサービスを提供する。これにより、安定的なシステム稼動やシステム運用コスト削減を実現することができる。
「StarProcessforPharmaceutical」の希望小売価格は3000万円(税別)で、5月末から出荷を開始する。NECでは、「StarProcessforPharmaceutical」について、今後3年間で10ユーザへの販売を見込んでいる。
また、NECでは、今後、「StarProcessforPharmaceutical」をベースに食品・化粧品・化学業界向けのシステムテンプレートを順次製品化する。
